入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「春」 (63)

2019年05月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今の牧場の様子はほぼきょうの写真のようなもので、複雑な緑系統の色彩が谷を埋めるまでにはもう少し時間がかかる。しかしだから山桜の花が冴える。すでにオオダオ(芝平峠)近くのコブシの木には白い花が咲いたし、同じく白いクロモジの花も咲いた。これから自然のすることを目の当たりにできるということは、完成を急ぐ画家の作品を傍で眺めている助手のようなものかも知れない。

 第1牧区のどん底の左手、「舞台」と呼んでいる丘に2匹の鹿がいた。逃げていく姿を目で追っていくと、沢を渡りミズナラの疎林の斜面を登り、予想していた通りの侵入場所へと向かった。ところが、何故か牧柵の直前で停止した。鹿の跳躍力からすれば、そのまま柵を飛び越えるのは難しいことでも何でもない。と思ったその途端、まるでそれこそ電気にでも触れたかのように向きを変え、逆方向へ逃げ去った。
 いつもなら、あのままきれいな弧を描いて楽々と牧柵を越えて行ったことは間違いない。電気牧柵のことを知っていたか、あるいは急にその衝撃を思い出したのか、それしかあの奇妙な行動の説明はつかない。
 次第に鹿は学習していく。白いリボンワイヤーには途轍もなく恐ろしい痛撃力があるが、鼻で触れたりせず、自慢の跳躍力を活かして飛び越えれば安全だということを、やがては知ってしまうだろう。そして、電圧を維持するため、草刈りや保守に励む人間を「馬鹿なやつ」と言って嗤うかも分からない。
 猿を飼っていた人の話だが、毎日檻の中へ出入りする飼い主の行動をじっと観察していた猿は、或る日勝手に自分で入り口の戸を開けて出ていってしまったそうだ。飼い主の顔が目に浮かぶ。

 かんとさん、いつも素晴らしい天体写真ですが、今回はまた一段といい絵が撮れたのではないですか。傑作に添える言葉が難しいです。ありがとうございました。明日から掲載させてもらいます。

 営業案内「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」およびその(2)です。下線部をクリックしてご覧の上、どうぞご利用ください。



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