一昨日、Ume氏とカッコーの声がするようになったと話した。そう思っていたら、ここにきてヤマナシの白い花も咲き出した。この花が咲けば、追いかけるようにコナシの花も咲く。昨日ときょうの暑さで森全体が初夏の装いを急ぐかのようで、白樺に一歩先を譲ったダケカンバも、ついに芽吹き始めた。
そうしたなか、うっかりして見落としてしまった物もあった。タラの芽である。忘れていたわけではなく、気にはしていた。貴婦人の丘を過ぎてから右に大きく曲がるが、その道路の右手に、何本かのタラの芽の木があって、それを指標木の一つにしていた。ところが目敏い誰かが、いつの間にか採ってしまったらしく、そんなこととは知らずにまだまだと安気に構えていた。
それを昨日、久しぶりに上ってきたTDS君によって気付かされた。毎年二人で採ったタラの芽の一部を、共通の友人である東京のFMZ君に送っていたのに、今年はそれができなくなってしまった。採取の時季が過ぎていた。
欧州のなだらかな森林で行われている伐採の方法を、この急峻な日本の山岳でも、そのまま取り入れていると聞く。搬出用の道を作るため急な山肌を無残にも重機で削り、伐採と並行して多量の木材がそこをキャタピラー付きの搬出機で運び出され、それで終わりである。切り株がまだ土留めの効果を持っているうちはいいが、それほど長くはない。仮に植林が行われたとしても、土砂の崩落を止めるほど育つまでには時間がかかり、古い切り株もとっくにその役目を終えてしまっている。
山のことなど何も分からない人たちが、経済性という視点からだけで森林法の改正案を審議している。あの人たちはしかし、改正法が施行されても、その結果を知ることもなければ、責任を求められることもない。お互い様だが、もうこの世にはいないのだから。
6月初旬に予定している撮影会の詳細については5月16日、No.66のブログをご覧ください。写生、探鳥も大歓迎です。
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