さて今回の能楽講座では、総論というか、能の歴史、能や能舞台の特長、流儀の歴史などのカタいお話(だいぶ脱線はしたけれど。。)をしてから能面を展示して見て頂きました。
今回はお見せするだけで終わってしまったけれど、次回以降には能面の使い方の実演をしたり、扱い方を教えて能面を実際に顔に掛けて体験して頂こうと思っています。
ぬえは一代目の能楽師で、内弟子に入門した頃は自分の持っているもの、というのは なぁんにもありませんでした。能楽界では能楽師を親に持つ能楽師が圧倒的な人数を占めるわけだけれども、そういう人たちはほとんど家にいくばくかの面・装束・道具類はそろえているわけで、そういう立場の人くらべて、自分が絶対的に不利な立場にいるのだと気づいた ぬえは、内弟子の時代から「毎年、必ずひとつは道具を集めていく」という事を堅く心に決めました。これは今でも心がけています。
そんなワケで今回お見せした面はほとんど骨董屋で集めたものなのです。ぬえは東京では骨董市や骨董屋にはかなり頻繁に出かける方ですが、それだけに留まらず地方に行く機会があって時間が許せば骨董屋さんを覗いたりします。もう骨董屋さん通いも20年になってしまいました。骨董屋さんで「なにか能に関係する道具が出たら教えてください」と言って名刺を渡すと。。たいがいは「ええ?。。能の道具。。?。。ふふん。わかりました」と言われて。おいおい、なんだよその含み笑いをしながらの「ふふん」ってのは。。(/_;)
それでも骨董屋では これまでに本当に「出会い」がありました。ちょっとビックリするような物も ぬえは所蔵していますし、自分が手に入れないまでも、ほかの能楽師に紹介して差し上げたり、って事も何度もある。やっぱり足で探すものだと思います。そして最近では何か出物を見つけた友人からの情報の方が多くなってきました。「おい、ぬえくん。こんな物があの骨董屋に出されていたぞ」。。こういう情報を頂くと、ぬえは必ずその日のうちに見に行く事にしています。
まあ。。友人は能楽師ではないから、「能面が出た」、なんて言われても、その90%はオモチャなんですけれど。。それでも必ずその友人には感謝して、次もなにか見つけたら知らせてもらうようにお願いしておきます。そうしている中で、能面を見つけた、と友人の報告で ぬえがある骨董屋に行ってみると、その能面はオモチャだったのだけれど、同じ店の中で江戸期のある宗家による金泥の極め書きがつけられた小鼓の胴が破格の値段で売られているのを発見した、という事もあります。この胴は ぬえが買ってしまうと死蔵になってしまうので、その流儀のしかるべき小鼓方に紹介してあげました。
今回展示した能面10数点は、それほど古いものは少ないのですが、多くはこうして ぬえが一つひとつ集めたものです。ただ、ぬえの師匠は能面についてたいへん造詣の深い方で、どうも少なくとも東京では能面については一番詳しいらしい(ぬえにそう言った能楽師が何人かいるので本当らしい)。ぬえは能面を手に入れた場合、必ず師匠にご覧に入れているのですが、その時に面の善し悪しや面のどこに注目して入手するべきかをずいぶん教えて頂きました。たとえば般若の場合だと、角と下あごの牙が同じような角度だと表情が効いて見える、とか、この面だけは絶対にテラして使ってはならない、ワキに面を切る場合でも必ず上目遣いにワキの顔を睨みつけなければならない、とか。。
今回はお見せするだけで終わってしまったけれど、次回以降には能面の使い方の実演をしたり、扱い方を教えて能面を実際に顔に掛けて体験して頂こうと思っています。
ぬえは一代目の能楽師で、内弟子に入門した頃は自分の持っているもの、というのは なぁんにもありませんでした。能楽界では能楽師を親に持つ能楽師が圧倒的な人数を占めるわけだけれども、そういう人たちはほとんど家にいくばくかの面・装束・道具類はそろえているわけで、そういう立場の人くらべて、自分が絶対的に不利な立場にいるのだと気づいた ぬえは、内弟子の時代から「毎年、必ずひとつは道具を集めていく」という事を堅く心に決めました。これは今でも心がけています。
そんなワケで今回お見せした面はほとんど骨董屋で集めたものなのです。ぬえは東京では骨董市や骨董屋にはかなり頻繁に出かける方ですが、それだけに留まらず地方に行く機会があって時間が許せば骨董屋さんを覗いたりします。もう骨董屋さん通いも20年になってしまいました。骨董屋さんで「なにか能に関係する道具が出たら教えてください」と言って名刺を渡すと。。たいがいは「ええ?。。能の道具。。?。。ふふん。わかりました」と言われて。おいおい、なんだよその含み笑いをしながらの「ふふん」ってのは。。(/_;)
それでも骨董屋では これまでに本当に「出会い」がありました。ちょっとビックリするような物も ぬえは所蔵していますし、自分が手に入れないまでも、ほかの能楽師に紹介して差し上げたり、って事も何度もある。やっぱり足で探すものだと思います。そして最近では何か出物を見つけた友人からの情報の方が多くなってきました。「おい、ぬえくん。こんな物があの骨董屋に出されていたぞ」。。こういう情報を頂くと、ぬえは必ずその日のうちに見に行く事にしています。
まあ。。友人は能楽師ではないから、「能面が出た」、なんて言われても、その90%はオモチャなんですけれど。。それでも必ずその友人には感謝して、次もなにか見つけたら知らせてもらうようにお願いしておきます。そうしている中で、能面を見つけた、と友人の報告で ぬえがある骨董屋に行ってみると、その能面はオモチャだったのだけれど、同じ店の中で江戸期のある宗家による金泥の極め書きがつけられた小鼓の胴が破格の値段で売られているのを発見した、という事もあります。この胴は ぬえが買ってしまうと死蔵になってしまうので、その流儀のしかるべき小鼓方に紹介してあげました。
今回展示した能面10数点は、それほど古いものは少ないのですが、多くはこうして ぬえが一つひとつ集めたものです。ただ、ぬえの師匠は能面についてたいへん造詣の深い方で、どうも少なくとも東京では能面については一番詳しいらしい(ぬえにそう言った能楽師が何人かいるので本当らしい)。ぬえは能面を手に入れた場合、必ず師匠にご覧に入れているのですが、その時に面の善し悪しや面のどこに注目して入手するべきかをずいぶん教えて頂きました。たとえば般若の場合だと、角と下あごの牙が同じような角度だと表情が効いて見える、とか、この面だけは絶対にテラして使ってはならない、ワキに面を切る場合でも必ず上目遣いにワキの顔を睨みつけなければならない、とか。。