傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

「無届老人ホーム施設の紹介には、慎重な姿勢」では、問題先送りですね。

2009-04-20 21:57:06 | 社会保障


NHKニュースの「無届け施設に紹介 慎重な姿勢」で、「群馬県渋川市にあるお年寄りの施設で10人が亡くなった火災から1か月がたちました。同じような無届けの施設に生活保護の受給者が多く入所している東京23区の中には、こうした施設にお年寄りなどを紹介することに慎重な姿勢を示す区が目立っています。」と報道していますが、行政側の現実的な苦悩は理解できるが、貧弱な社会保障は社会の貧困が顕在した現れであり、日本は、何時から、貧困社会になったのか?。麻生政府が掲げる4段ロケット経済対策で、国民が安心できる社会が実現できるのか?大いなる疑問です。

当方は、個人的な事情もあり、最近、「老人介護・老人医療」に注視しており、日本の社会保障の貧弱さを痛感しており、この日本で、介護・医療難民が大量に存在する実態を知り、驚愕し、明日は、我が身と身構えるている昨今です。

NHKニュースの「無届け施設に紹介 慎重な姿勢」を引用すると、

『先月19日に起きた群馬県渋川市の高齢者施設、「静養ホームたまゆら」の火災では、墨田区から生活保護を受けていた入所者6人が亡くなりました。
20日は、このうち5人の合同慰霊祭が都内の斎場で行われ、墨田区の山崎昇区長ら関係者およそ30人が参列しました。
「たまゆら」とよく似た無届けの有料老人ホームなどの施設には、東京23区から生活保護を受けている人がおよそ300人入所しています。
今回の火災を受けて文京区や豊島区など、7つの区が「無届け施設は今後紹介しない」としているほか、11の区も「極力紹介しない」あるいは「やむをえない場合以外は紹介しない」としています。
墨田区など、今後も紹介する可能性はあるとした5つの区でも、防火体制を含めた施設の安全確認を徹底するとして大半の区が行政の権限が及ばない無届け施設の紹介に慎重な姿勢を示しています。
墨田区の山崎区長は「届け出のある施設が全体的に不足しているなか、無届けの施設に頼らざるを得ない状況もある。
こうした施設に行政の監視の目を行き届かせる制度をつくることや、基準を満たすために必要な施設への財政的な支援を国や都に求めていきたい」と話しています。』

と報道しております。
無届けの有料老人ホームなどの施設には、東京23区から生活保護受給者が約300人が入所しており、今後は、大半の区が無届け施設の紹介に慎重な姿勢と行政側の現実的な苦悩(財政面)を紹介しています。

朝日新聞が、「11人あてなし、親族迎え1人だけ たまゆら火災1カ月」で、「(「静養ホームたまゆら火災で」)焼け出された12人のうち、親族が迎えに来て別の施設へ移ったのは渋川市の女性(85)1人だけ。ほかの11人は「たまゆら」の関連施設に一時身を寄せるなど、いまも落ち着く場所が定まっていない。身寄りがなく何らかの障害がある人たち。今後の生活への不安は消えない。」と焼け出された人々のその後を報道しています。
無届の施設でも、貧困ビジネスでも、社会的弱者は、甘受せざる得ないの現実です。


当方は、本ブログ「厚労省の「生活保護ビジネス」の実態調査も良いが、規制強化では解決せず。」で、規制強化だけでは解決せず、社会弱者を含めた社会保障体制の拡充が必要と書きました。

また、本ブログ「無届有料老人ホームの火災死亡事故は、介護実態(貧困ビジネスの存在)を露見」で、無届有料老人ホームの火災死亡事故は、介護施設が社会ニーズの合致していない証であり、社会的弱者を顧客にする貧困ビジネスの存在を知らしめる介護実態の縮図が露見した事故と書きました。

最近、社会保障関連で、当方が注視しているブログ、学習院大学教授・鈴木亘のブログ(社会保障改革の経済学)で、記事「群馬県老人施設火災事故の背景にあるもの」で、背景には、国の施策の(介護保険の給付抑制・規制強化)が介護難民、待機老人が何十万人という単位で存在し、劣悪な無届施設は、介護難民問題から派生している問題が原因としています。

生活保護制度の問題として、

「近年、生活保護受給者が急増している背景は、実は、景気低迷などではなく、むしろ高齢化の進展という要因の方が大きい。
つまり、老人が独居化したり、無年金・低年金を理由に困窮化し、生活保護に陥っているとし、生活保護受給者の老人の多くは、要介護状態であったり、障害や持病を持っていて、在宅で自立した生活は困難であり、何らかの施設に入居することが不可欠であるが、生活保護法で規定される救護施設や更生施設はもはや空きなど全くない終の住みかであり、新規入所はほぼ不可能である。
3施設(特養、老健施設、療養型病床群)も入所はきわめて困難である。
病院も引き受けず、唯一の頼みの綱のグループホームは総量規制でやはり増やせない。」

とし、

「そうなると、福祉事務所のケースワーカーたちも、とにかく急場をしのぎ、入所できる場所として、首都圏やその近郊各県(群馬、栃木、茨城、埼玉等)にあるこうした無届施設を重宝するのである」

とし、そこには、事務業務を代行する(貧困)ビジネスも存在すると書いております。

(今後の対策の方向性とは)で、

『また、低所得者に関しては、現在、3施設(特養、老健施設、療養型病床群)だけに行われている負担軽減措置(特定利用者の3段階の負担限度額)を、擬似施設などのすべての施設に適用し、低所得者・弱者対策を行うことにする。
その一方で、無届施設に対する取り締まり・罰則を強化して、それでも無届でいたい劣悪な施設は、強制的に閉鎖させられるように法改正する。
このような規制改革こそが、今、一番重要な対策であると思われる。
この問題を、単なる一部の施設の防火設備不備の問題として、矮小化させてしまっては絶対にいけない。』

と結んでいます。

要は、国の施策の「介護保険の給付抑制・規制強化」で、介護難民、待機老人が何十万人という単位で存在し、劣悪な無届施設は、介護難民問題から派生している問題と言及しています。

NHKニュースは、行政側は、死亡火災事故により、無届施設には、現実解として存在を甘受してき、今後は、無届施設の紹介には、慎重さを持って行うという行政側の姿勢の報道ですが、無届老人施設が存在する背景、そこに、貧困ビジネスが派生している矛盾を報道せず、行政側の表層的な対応の提灯記事を報道しているに過ぎないですね。

根源的な問題は、鈴木教授のいう(介護保険の給付抑制・規制強化が根本的な原因)であり、明らかに、「財政健全化」の御旗の元での、厚生労働省の失政です。

失政であっても、屁理屈を正当化する公務員は責任を問われずに、今日も失政のままで推移しているに、「15兆の過去最大の経済対策」と誇らしげに広言する政府与党とその提灯記事の書く報道機関が、日本を「格差・貧困社会」を醸成させてきた元凶ですね。

経済も大変ですが、介護・医療については、現実に、苦労している難民が何十万も存在しているのです。
やはり、政権交代し、社会改革にしなければ、将来は無いですね。



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