作成日:2021.3.8|更新日:
地域循環共生圏概論⑲
テーマ|低炭素型まちづくり構想
先回は地球温暖化とマイクロ・ナノプラスチック汚染
と太陽光発電市場の2030年後の世界について考えてみ
た。今回はそれを受け「今回は地方都市と建物一体太
陽電池サーキュラー・エコノミーと2030年問題」をと
考えていたが、その前に、「市街地整備による低炭素
型まち(街)づくり構想」(国土交通省)の方策と二
酸化炭素削減効果検討を適応の可能性を見積もること
にする。
尚、このことで多岐にわたり詳細考察することで大幅
な作業量となる。
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1.区画整理における取り組み方策
2005年2月に発効した京都議定書により 日本では2008
年度から2012度までの第一約束期間に、対象となる6
種類の温室効果ガスの排出量を基準年から6%削減す
ることが定められているが、1990年度以降、温室効果
ガスの排出量は増加傾向にある。2007年度速報値)の
排出量は、CO2換算で13億7,100万トンとなり、基準年
から8.7%の増加、前年度に比べても2.3%(3,100 万
トン)の増加となっている。その中でも、家庭部門、
業務その他部門における CO2の排出量は1990年度以降
大幅に増加、運輸部門における排出量も2001年度以降
減少に転じたものの、1990年度と比較すると増加。運
輸部門における排出量の増加分の大部分を自家用乗用
車が占めることを踏まえると、増加している分野はい
ずれも、わたしたちのくらしに関係する。このため、
住宅・建築物及び都市分野の CO2排出量の大幅な削減
の取り組に不可欠である。
現在、低炭素社会の実現に向けて、「低炭素社会づく
り行動計画について」(2008.7 閣議決定)のもと、
各分野における CO2排出量削減のための取り組みや技
術開発が盛んに行われており、低炭素社会の姿は地域
の規模、自然環境、産業構造、住民のライフスタイル
などにより異なり、低炭素社会の姿を地域に応じた多
様なモデルで国民にわかりやすく示す必要がある。温
室効果ガスの大幅削減など高い目標を掲げて先駆的に
低炭素化に取り組む都市として「環境モデル都市」も
選定され省CO2型まちづくりの推進が期待されている。
国土交通省も「環境行動計画 2008」を掲げ、地球環
境時代に対応したくらしづくりに、『持続可能な社会
の追及~低炭素社会、循環型社会、自然共生社会~』
の構築を目指している。 都市やそれを取り巻く地域
は、生活、業務、交通など多方面にわたる総合的な活
動の場として、わたしたちのくらしや環境との関わり
の基礎となるものである。都市や地域の構造の変化は
数十年単位の時間を要し、今後の持続可能な発展には、
将来を見据えた長期の取り組みが必要である。
そして、そのような息の長い取り組みを続けていくた
めには、個々または人のくらしの質や地域の活力、歴
史、文化等との 関係を常に意識し、それらくらしや
地域の豊かさの維持・向上と環境負荷の軽減を両立さ
せていくことが重要だとする。
⬕ 基本骨子
✿低炭素型の都市・地域づくりに向け、①集約型都市
構造の実現、②住宅・建築物、都市施設、下水道、緑
地など都市の構成要素の機能向上、③都市内での環境
負荷の小さい人 流・物流システムの構築を統合的に
推進する。
✿これらの施策は一定の広がりの中で、様々な利害を
有する多様な主体の合意形成や協働を要し、また、ス
トックの更新には時間がかかることなどから中長期的
な視点で大きな効果を実現するよう取り組むことが必
要であり、そのためにも現時点から施策の推進が必要。
✿また、これらの施策は、地球温暖化の観点のみなら
ず、中心市街地の活性化、高齢者の生活利便性の確保
など統合的に実現する観点から推進すべきものである。
2 市街地整備における低炭素型まちづくりへの取り
組みの現状
(1)国土交通省の取り組み現状
現在、都市活動によるCO排出量の増大や、都市部のみ
どりの減少等、都市における面的な環境対策の要請の
高まりを背景に、集約拠点等において、都市交通、緑
化、エネルギーな どの各分野の先導的な都市環境対策
をより効率的かつ効果的に推進する地球温暖化防止対
策として「先導的都市環境形成総合支援事業(エコま
ちづくりパッケージ)」を実施する。
この「先導的都市環境形成総合支援事業(エコまちづ
くりパッケージ)」は、集約型都市構造実現に資する
拠点的市街地等において、地区・街区レベルにおける
先導的な環境負荷削減対策を強力に推進するため、エ
ネルギーの面的利用の促進、民有地等を活用した緑化
の推進、都市交通施策の推進に向けた支援や、計画策
定、コーディネート及び社会実験・実証実験等に対し
包括的に支援する。
1)エコまちづくり事業(先導的都市環境形成促進
事業)
環境目標(CO2削減目標やヒートアイランド現象緩和
目標、都市環境改善目標)や、先導性(取り組みの包
括性、取り組みの先進性)がともに高い水準と認めら
れる事業主体に対し、公民協働で包括的に取り組む計
画策定、関係者間のコーディネートや社会実験・実証
実験などの実施を支援している。
2)エコまちネットワーク整備事業
多くの都市開発が予想される都市再生緊急整備地域ま
たは国土交通大臣が認定した先導的都市環境形成計画
(以下「認定計画」という)を策定した地域において、
都市開発と一体的に環境負荷の削減対策を行うことに
より、効果的・効率的に都市環境の改善を図ることを
目的とした事業である。支援内容としては、都市環境
負荷削減プログラムの策定に要する費用やこのプログ
ラムに位置付けられた施設の整備費用、認定計画に位
置付けられた施設の整備費用に対し費用を補助する。
3)緑地環境整備総合支援事業
ヒートアイランド現象の緩和、樹木による二酸化炭素
(CO2)の直接的な吸収・固定による地球温暖化の防止、
多様な生物の生息生育基盤の確保等を目的とし、都市
公園の整備、古都及び緑地保全事業、市民緑地の公開
に必要な施設整備等、多様な手法の活用による効率的・
効果的な緑とオープンスペースの確保を支援し、都市
域における水と緑のネットワークの形成を推進する事
業である。支援内容としては、温室効果ガス吸収源対
策として有効な一定規模以上の公共公益施設の緑化や
民間事業者による緑化、都市公園の整備等への支援を
強化し、公共及び民間による総合的かつ効果的な公園
緑地の保全・創出のための取り組みに支援している。
4)都市交通システム整備事業
省CO2型の都市づくりや歴史・文化資産を保全・活用
したまちづくりにおいては、交通体系のあり方を十分
考慮していくことが必要である。そこで、安全で円滑
な交通を確保し、魅力ある都市の将来像を実現に、徒
歩、自転車、自動車、公共交通の適正分担を目的とし
た都市の交通システムの整備を図り、自動車から公共
交通への利用の転換や、安全・快適な歩行者等の移動
空間が確保された交通体系の構築を推進している。
②市街地整備における取り組みの現状
国土交通省による低炭素型まちづくりへの取り組みの
現状について整理したが、ここでは、市街地整備全般
における面的利用の取り組みの現状について整理する。
土地区画整理事業は、宅地の利用増進と公共施設整備
を行う事業であり、これまでも「低未利用地の解消」、
「密集市街地の解消」、「中心市街地の活性化」、「
商業・業務等の拠点市街地の形成」、「新たな住宅宅
地の開発」など多様な目的に活用されてきた。こうし
た点からも、新しい機能の導入など大胆な土地利用の
転換も可能であるため、エネルギーの面的利用を可能
とする基盤整備やシステムの導入も行われてきた。従
来から低炭素という切り口ではないものの、公害対策
や省エネルギーといった点からエネルギーの面的利用
に着目し「地域熱供給事業」が行なわれてきた。現在
において、地球温暖化対策や未利用エネルギーの活用
としても注目されていることから、ここでは「地域熱
供給事業」についての現状について整理している。
1)地域熱供給事業の概要
地域熱供給事業とは、1ヶ所または数ヶ所のプラント
から複数の建物に配管を通して、冷水・蒸気(温水)
を送り、冷房・暖房等を行うことをさす。
地域熱供給事業は、地域冷暖房システムを導入するこ
とにより、河川水、下水処理水の熱や清掃工場、超高
圧地中送電線の排熱など、都市にあふれるさまざまな
排熱エネルギーを利用することで、未利用エネルギー
を有効活用し、省エネルギー効果が生み出される。ま
た、熱源の集約化に伴って大気汚染・公害も防止され
さらには災害発生時の二次災害を抑制する効果や設備
の集中化により、都市美観を向上させるなど様々な社
会的メリットのある事業である。
地域熱供給事業の導入効果としては、①二酸化炭素排
出量を削減でき、地球温暖化が防止される、②排熱量
削減に伴いヒートアイランド現象が抑制される、③災
害時の自家発電や蓄熱槽等の施設利用によって防災性
が向上する、④煙突や冷却塔の集約により都市景観(
屋上緑化スペースの提供)が改善されるなど、低炭素
型まちづくりへの導入に欠かせない事業と考えられる。
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需要家メリット
・ビルの機械室を大幅に縮小し、スペースの有効活用
が図れる。
・容積率の緩和により、レンタブル面積が増大する。
(地冷プラント設置ビル)
・設備の集中化により、都市美観を向上させる。常に
エネルギーの安定供給を受けられる。
・運転管理のための有資格者が不要となり、省力化が
図れる。
事業者メリット
・個別空調に比べて熱負荷が大きくなるため、熱源設
備の効率的運転が図ることができる。
・未利用エネルギーの有効活用を図ることができる。
2)地域熱供給事業の現状
上記において、事業概要や効果等について整理したが、
ここでは現状の実施状況について整理する。海外の地
域熱供給は、古く19世紀末にドイツのハンブルクの市
役所から始まったと言われ、長い歴史をもっており、
我が国に比べより身近なものと考えられている。一方、
我が国の地域熱供給事業としては、1970年に大阪で開
催された日本万国博覧会会場とそれに隣接する千里ニ
ュータウン中央地区が最初の導入であり、その後は
1971年に東京都の新宿新都心地区、大阪府の泉北泉ヶ
丘地区、北海道の札幌市都心地区、厚別地区及び真駒
内地区で導入され、1972年に熱供給事業法の制定を経
て今日に至っている。2007年度では、エネルギーの面
的利用での熱供給事業型(地域熱供給)は、別表に示さ
れるように、86 事業者が 149 地区で稼働中である。
1 地区当たりの平均供給区域面積は約 30ha(東京ドー
ム約 4.7ha の6倍)であり、平均供給延床面積は約33
ha(33万㎡)となっている。
また、稼働中である全国 149地区の分布状況を見てみ
ると、それらの特徴は次のようになっている。
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○供給区域の面積区分では、10ha 未満のものが半数
近くになっている。
○供給している延床面積では、40 万㎡未満(東京都庁
本庁舎の延床面積は、約 38 万㎡とされる) の地区が
約 8 割を占めている。
○供給対象(需要家)区分では、業務・商業主体型が大
半となっており、住宅系の地区は少ない。
○熱源として未利用エネルギー使用の有無の区分では、
約 1/4 の地区で未利用エネルギーを活 用している。
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さらに地域熱供給において、現在 34 地区で、個々の
建物では難しい未利用エネルギーを有効活用している。
①ごみ焼却・工場の排熱利用、②地下鉄の排熱利用、
③変電所・変圧器の排熱利用、④廃棄物・再生油の熱
源利用、⑤発電所抽気の熱源利用、⑥中水・下水の温
度差利用、⑦河川水の温度差利用、⑧海水の温度差利
用、⑨地下水の温度差利用といった形で実施事例があ
り、このほか雪・氷冷熱の利用なども検討されており、
さらなる活用が期待されている。
【要約】
ここまで市街地整備におけるエネルギーの面的な取り
組みの現状として地域熱供給事業について整理してき
たが、次章では、土地区画整理事業において地域熱供
給事業を実際に 面的利用した取り組み事例等について
整理する。
尚、ここでの統計数値は2007年度までのもので精査時
は要確認。
この項つづく
建材一体型太陽光発電の需要が高まる
【エピソード】
【新生物図鑑1:プラナリオ】
昨日6日、1年捕獲できずにいたが、琵琶湖のプラナ
リア、中高生姉妹が発見している。胴体を切断しても
再生することで知られる淡水生物プラナリア。その仲
間のうち、琵琶湖の固有種「ビワオオウズムシ」を大
津市の中高生姉妹が棲息調査で見つけた。プラナリア
の体は高い再生能力を持ち、切り分けても、それぞれ
が小さな個体となる。国内で知られるプラナリア科は
19種。うちビワオオウズムシは最大の種で体長は約5
センチに達し、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に
指定。高校1年生の佐藤瑠乃さん)と中学3年生の爽
音さん姉妹は、認定NPO法人「びわ湖トラスト」 主催
の小中学生向け研究者育成講座「ジュニアドクター育
成塾」に2018年から参加。琵琶湖は19年から2年続け
て冬から春先に湖底と表層の水が入れ替わる「全層循
環」が停止。温暖化の影響などの影響と考えられ、ビ
ワオオウズムシが好む水温は8℃前後、以前の記録で
は水深30~40メートルに生息していたが、全層循環の
停止により、20年には湖底の最深部(水深60~80メー
トル)でも水温は9℃超。酸素濃度も少なく、2人は
ビワオオウズムシは壊滅的な被害を受け激減したと考
えた。一方、今年2月には全層循環が3年ぶりに確認。
再生能力の高い生物なので絶滅していないと信じたい。
そのためにも調査を続けたいと話しているという(朝
日新聞デジタル)。
プラナリアは、環境によって無性生殖と有性生殖とを
切り替えて増殖。無性生殖では、プラナリアは自身の
体を2つに切って殖え(自切)。自切したプラナリア
は片方には頭が、もう片方にはしっぽがない状態。と
ころが数日経つと、しっぽはもちろん脳や目などの組
織を再生し、完全な2匹のプラナリアになる。プラナ
リアは未分化な幹細胞が全身に存在しており、体の位
置情報に従い幹細胞の遺伝子を目的の組織に分化する
よう操作して、失った体を正しく再生することができ
る。自切だけでなく、人工的に切断した時にも行われ、
プラナリアを2つに切断すると完全な2匹のプラナリ
アに、3つに切断すると完全な3匹のプラナリアとな
る。こうしたプラナリアの再生の謎は、1900年ころか
ら研究されているが、再生の決定的な要因は見つから
なかった。百年以上経過して、幹細胞からどのように
して器官や体を構築していくのか、体の極性や、位置
情報を作るメカニズムを解き明かす研究が進められ、
プラナリアの再生の仕組みが解明され(DOI:10.1038/
nature12359 )、失われた体の一部や機能不全となっ
た組織や器官を再生し機能を回復する医療、すなわち
再生医療の実現の糸口をつかむため、小さなプラナリ
アの研究は分子レベルと態様を変え、新たな意義を持
ちつつある(全身に幹細胞を持つプラナリア、幹細胞
情報データベースプロジェクト, SKIP(Stemcell Know
ledge & Information Portal))。
via ごくとうごくらく
【脚注及びリンク】
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- 「謎の感染拡大〜新型ウイルスの起源を追う
〜」 NHK、2020/12/27 - ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジ
ネス - スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「
リサイクル革命」が起きている(動画) ハ
フポスト - 『環境ビジネス 2020年夏季号』
- 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,
環境ビジネス,2020年冬季号 - 環境への取り組み CSR(企業の社会的責任)
佐川急便株式会社 - 彦根市一般廃棄物処理基本計画の進捗状況評
価について(平成30年度) , - 滋賀県出身の人物一覧Wikipedia
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