ごみ焼却場建設問題再考

2021年03月14日 | 防災と琵琶湖


作成日:2021.3.18|更新日

地域循環共生圏概論⑳
テーマ|低炭素型まちづくり構想
先回は地球温暖化とマイクロ・ナノプラスチック汚染
と太陽光発電市場の2030年後の世界について考えてみ
た。今回はそれを受け「今回
は地方都市と建物一体太
陽電池サーキュラー・エコノミーと2030年問題」をと
考えていたが、その前に、「市街地整備による低炭素
型まち(街)づくり構想」(国土交通省)の方策と二
酸化炭素削減効果検討を適応の可能性を見積もること
にする。

尚、このことで多岐にわたり詳細考察することで大幅
な作業量となる。ここで、国交省の「低炭素まちづく
り理念」を確認しておこう。エコまち法では、その基
本方針で、都市機能の集約化とこれと併せた公共交通
利用の促進によるコンパクトなまちづくりを中心に、
まちづくりの実現を都市の低炭素化の目標として位置
づけ、都市と二酸化炭素排出との関連性、及びエコま
ち法のコンセプトを踏まえ、低炭素まちづくりは「民
生部門(家庭、業務等)」「運輸部門」の2部門に着
目し「都市構造・交通分野」、「エネルギー分野」、
「みどり分野」の3分野の取組を基本として、コンパ
クトなまちづくりを軸に高齢者、子育て世代を含め全
ての市民が暮らしやすい持続可能なまちづくりを実現
し、同時に都市の低炭素化を実現するまちづくりであ
るとらえる。
.エコまち法:都市の低炭素化の促進に関する法律



2021.1.28

低炭素まちづくりに向けた施策・取組
都市構造・交通分野にかかる施策
運輸部門におけるCO2 排出量は、次の式の通り①交通
量、②移動距離及び③排出原 単位の積で求められる。
このことを踏まえ、本分野における低炭素化の方向性
は、この3要因に着目し、適切な対策を講じることが
必要とし、運輸部門で排出される CO2 の約9割は自動
車が発生源となっており、自動車 から発生する CO2
をいかに抑制するかが本分野の中心的な課題とする。

CO2排出量 = 交通量 × 移動距離(トリップ長)×
排出原単位
エネルギー分野にかかる施策

エネルギー部門における各施策は、建物を排出源とす
る CO2を対象に取り組むもので、その排出量は、基本
的に次式により算定する。

CO2排出量=建物用途別延床面積×建物用途別エ
ネルギー負荷原単位÷熱源設備総合効率×エネル
ギー種別排出係数


本分野における施策については、上記算定式を踏まえ、
以下の4つの方策(メニュー) 
1)建物のエネルギー負荷を削減する→冷房、暖房の
熱量等が少ない建物を建築(より低い「エネルギー負
荷原単位」)
2)建物及び地区・街区のエネルギーの利用効率を向
上する→エネルギー効率の高い設備を導入(より高い
「熱源設備総合効率」)
3)都市のエネルギー源として未利用エネルギーを活
用する→未利用エネルギーで化石燃料を代替(より低
い「エネルギー種別排出係数」)
4)都市のエネルギー源として再生可能エネルギーを
活用する→再生可能エネルギーで化石燃料を代替(よ
り低い「エネルギー種別排出係数」)

(2)個別施策の概要
エコまち法においては、本分野にかかる特例措置とし
て、制度が規定され、低炭素まちづくり計画作成マニ
ュアルにその概要が記載されております。本分野に関
する個々の施策については、これらの特例措置に加え、
以下の施策 例を参考に、各施策の CO2 排出量削減の
寄与等を踏まえつつ進めていくことが重要としている。


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【エコまち法に基づく特例制度】
①排水施設からの下水の取水等 都市内に豊富かつ安定
的に存在するエネルギーである下水熱の有効利用を図
る観点から、低炭素まちづくり計画に所要の事項を記
載した場合に、民間事業者が下水熱利用のために排水
施設から下水を取水することを可能とする制度 ②都市
公園の占用 限られた都市空間の中で、公園本来の機能
の確保に支障を来さない範囲で再生可能・未利用エネ
ルギー等の導入空間を確保する観点から、低炭素まち
づくり計画に 所要の事項を記載した場合に、計画を公
表してから2年以内においては、都市公園の占用許可
手続を簡素化する制度 ③港湾隣接地域内の工事等の許
可限られた都市空間の中で、港湾本来の機能の確保に
支障を来さない範囲で再生可能・未利用エネルギー等
の導入空間を確保する観点から、低炭素まちづくり計
画に所要の事項を記載した場合に、計画を公表してか
ら2年以内においては、港湾隣接 地域での工事等の許
可手続を簡素化する制度 
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(3)まちづくりの契機と施策展開の考え方 エネルギ
ー分野の各施策は、建物更新、設備改修等の契機を把
握し、個々の建物 のエネルギー負荷の集約化、熱源設
備のスケールメリットの顕在化など、「面的な展開」
を視野に入れて推進することが重要。この観点から、
エネルギー分野における施策を面的に展開する契機と
して、建築物の更新を面的にとらえる機会が多いと考
えられる6パターンを例示し、市街地や建築物の更新
等の機会を活用した施策展開の考え方を整理している
。 

<面的利用導入適地の抽出手順> 面的利用導入適性が
高い地域を抽出するに当たっては、以下の手順で熱負
荷密度を算出することが考えられる。① 建物用途別床
面積の集計 各自治体の建物現況調査、固定資産台帳等
を活用し、建物用途別の延床面積を地域(町丁目) ごと
に集計。② 都市的土地利用面積の算出 土地利用現況
調査等を活用して地域(町丁目)ごとに土地利用別面積
を集計し、そこから河川・水面および樹林地等を除いた
『都市的土地利用面積』を算出。③年間熱需要の算出
①建物用途別床面積に、下表の建物用途別エネルギー
消費原単位を乗じて地域(町丁目)ごとの年間熱需要を
算出。
 

④ 熱負荷密度 ③年間熱需要を②都市的土地利用面積
で除して地域(町丁目)ごとの熱負荷密度を算出する。
⑤ 熱負荷密度が高い地域の抽出 ④熱負荷密度が高い
(例えば 4.2TJ/ha・年以上)地域(町丁目)を抽出。尚、
地域(町丁目)別の床面積データが用途別に分類されて
いない場合は、熱負荷密度の代替としてグロス容積率
※を算出しこれが一定以上(例えば 100%)の地域を抽
出することも考えられます。 ※グロス容積率[%] =
地域(町丁目)別床面積[㎡] ÷ 地域(町丁目)面積[㎡]
×100 また導入適地の抽出する際に、将来の都市開発
可能性に着目して、法定容積率を勘案することも考慮
される。

3.みどり分野にかかる施策
(1)概説 ①低炭素まちづくりにおける都市のみどり
のあり方 都市のみどりは、美しい都市景観の形成や国
民が身近に楽しめる多様なレクリエーションや自然と
のふれあいの場、生物多様性の確保に資する野生生物
の生息・生育環境を形成するとともに、大震災等の災
害発生時において避難地や避難路、防災拠点となるな
ど、都市や地域の防災性の向上にも貢献しており、都
市の低炭素化という観点からも、CO2 の吸収固定機能
をはじめ様々な役割を果たす「みどり」だが、低炭素
まちづくりを進めるに際しては、これらの多様な機能
が最大限に発揮されるよう、施策を実施することが必
要としている。 
今後、より重要となる「みどり」の質の向上や利用、
活用等も含めた6つの視点(社会資本整備審議会二次
答申:平成19年7月)
① 美しい都市・地域・国土の形成を目指す
② 歴史と文化に根ざした香り高い地域の形成を目指す
③ 誰もが暮らしやすい社会の実現を目指す
④ 持続可能な都市・地域・国土・地球環境の形成を
目指す。
⑤ 安全・安心な都市・地域・国土基盤の形成を目指す
⑥ 多様な主体の発意・参画による活力ある社会の形成
を目指とある。


③みどりによる低炭素効果
みどりの低炭素効果は、「活動量」と「原単位(吸収
係数)」の積 で求められ、みどりの維持・拡大量は「
活動量」として捉えられ、その増加により効果を高め
ることが可能、みどりの維持管理の適正化を図ること
により、「原単位」が増加し、その効果を高めること
が可能となる。
  低炭素効果 = 活動量 × 原単位(吸収係数)

【エコまち法に基づく特例制度】 

①樹木等管理協定 都市における樹木等の適切な管理・
保全を図る観点から、低炭素まちづくり計画 に定め
られた樹木保全推進区域において、保全樹木等基準を
満たす樹木等について、当該樹木等の所有者等による
管理が困難である場合には、市町村又は緑地管理機構
が樹木等に関する管理協定(樹木等管理協定)を締結
することを可能とする制 度 ②特定緑地管理機構の指
定 民間団体や住民等多様な主体による緑地の保全及び
緑化に関する取組をより一層推進する観点から、低炭
素まちづくり計画を作成した市町村長が、緑地の保全
等に関して一定の能力を有する一般社団法人、一般財
団法人や特定非営利活動法人を緑地管理機構に指定す
ることを可能とする制度 


4)ヒートアイランド現象緩和に向けた都市づくりの
考え方と具体的施策
ヒートアイランド現象は都市をとりまく環境問題の一
つであり、近年、地球温暖化による影響と相まって都
市の気温の上昇は顕著となっています。また、気温上
昇による熱中症患者数の増加など、人の健康や生活へ
の影響も顕著となっており、健康で快適な都市づくり
の観点から早急な対策が必要です。また、ヒートアイ
ランド現象により冷房需要が増大し、エネルギーの大
量消費につながっており、都市の低炭素化の観点から
も対策が必要です。都市におけるヒートアイランド対
策としては、地表面被覆の改善や人工排熱の低減によ
る気温上昇の緩和のほか、熱がよどまないようにする
ために、市街地形態を改善することが有効と考える。


■J-クレジット制度の活用
低炭素まちづくりにより削減/吸収された温室効果ガ
スを、J-クレジット制 度でクレジット(排出削減
量/吸収量)として国の認証を受けることにより、更
なる低炭素まちづくりを推進することも可能。 J-
クレジット制度とは、LED照明などの省エネ設備の
導入や太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用に
よる温室効果ガスの排出削減量及び適切な森林管理に
よる温室効果ガスの吸収量をクレジットとして国が認
証する制度。認証されたクレジットは、企業等に売却
することができ、産業界の低炭素社会実行計画の目標
達成やCSR目的でのカーボン・オフセットなど、さ
まざまな用途に活用できます。また、クレジット創出
者は、クレジット売却代金をさらなる低炭素まちづく
りや地域活性化、CO2 排出削減/吸収の取組等に活か
すことができと推奨している。



 ごみ焼却場建設問題再考Ⅰ
地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年10月9日
法律第117号)第20条の5及び6において、事業者に対し
て「①事業活動に伴う温室効果ガスの排出抑制等」及
び「②日常生活における排出抑制への寄与」という2
つの努力義務を定めている。また、同法第21条におい
て、これら2つの努力義務について、「事業者が講ず
べき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るた
め必要な指針を公表する」ものとされている。

これらを受け、業務部門及び日常生活用品の製造等を
行う部門に関する排出抑制等指針(平成20年12月12日
内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学
省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通
省、環境省、防衛省 告示第3号)を策定したところで
あるが、廃棄物処理事業は、これまでの公衆衛生の向
上や公害問題の解決という段階を更に進め、循環型社
会の形成や低炭素社会の形成に寄与することが求めら
れ、廃棄物処理部門における指針が追加。特に、一般
廃棄物の処理責任を有す市町村は、廃棄物リサイクル
行政との整合を図った上、廃棄物の処理に伴い発生す
る温室効果ガスの排出抑制に向けて率先的に取組むこ
とが期待されており、廃棄物処理分野における温暖化
対策については、設備更新の時期に合わせた適切な設
備選択、使用方法の改善、更に市町村においては廃プ
ラスチックの分別収集など、できることから行動し、
計画的な検討及び取組みを続けていくことが重要とさ
れている。また、その取組みについて、実施状況及び
その効果を把握し、効果的な取組を継続して実施する
ことが望ましい。
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温室効果ガスの排出の抑制等の適切かつ有効な実施に
係る取組(廃棄物処理部門における温室効果ガス排出
抑制等指針:環境省 マニュアル、2012.3) 
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廃棄物処理事業者等(廃棄物の収集、運搬又は処分を
業として行う者及び廃棄物を自ら処理する者並びに市
町村)は、廃棄物処理部門における事業活動における
事業の用に供する設備の選択及び使用方法に関し、温
室効果ガスの排出の抑制等の適切かつ有効な実施を図
るため、次のように取り組むよう努める。 


                 この項つづく



【エピソード】

ごみ焼却場修繕に13億円:滋賀彦根新聞(2021.2.17)
彦根市が12日に発表した2021年度当初予算案は新型コ
ロナウイルス対策に8億5,643万円(うち一部訂分7億
4,413万円)を計上。一方、目立った新しい事業はなか
った。市が掲げた重点事項は以下の通り。▽ごみ焼却
場整備(13億2,662万円)=市清掃センタ施設の長寿
命化を目的に燃焼、排ガス処理設備などを2021年度か
ら23年度にかけ大規模修繕。債務負担行為(22年度と
23年度)の限度額は20億1,238万円。
▽市スポーツ・
文化交流センタ整備(4億4,938万円).....



ごみ処理計画「白紙を」:滋賀彦根新聞(2021.2.17)
環境学者が意見書提出:彦根市清崎町に建設が計画さ
れている広域ごみ処理施設に対し、日本環境学会元会
長の畑明郎さん(75)=竜王町=が10日、「自然環境
を破壊する」などとして計画の白紙撤回を求める意見
書を彦根愛知犬上広域行政組合に提出した。
建設が計画されている場所は荒神山の山麓で、周辺整
備の一環で荒神山にトンネルを設ける案も浮上してい
る。意見書では「元は琵琶湖の湖底と考えられ、地盤
が軟弱」「浸水想定区域と土砂害警戒区誠に指定され
ている危険な地域」などと指摘。「自然が豊かな中で
良好な景観や重要な文化財を有する荒神山の山麓に大
規模な人工構造物のごみ処理場はそぐわない」と、計
画の撤回を求めている。意見書の提出後に記者発表し
た畑さんは「新規建設は中山し、既存の2つのごみ焼
却施設の建て替えで対応するべき。広域的なごみ処理
体制は収集、運搬コストもかかり、不効率」と述べて
いた。(攻略)



荒神山トンネル案に「反対」滋賀彦根新聞(2021.3.13)
新ごみ処理連絡協で複数の委員:
彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整備連絡協議会が9
日夜、グリーンビアひこねで聞かれた。当初は議題に
あがっていなかった統沖山にトンネルを設けるという
市のアクセス道路の整備案に対し、委員からの批判や
反対意見が集中。傍聴席からやじが飛ぶなど一時、紛
糾した。同協議会事務局の彦根愛知犬上広域行政組合
は彦根市西清崎地区へのごみ処理施設建設に向けて調
整を進めている。3回目となった同協議は、委員によ
る先進地のごみ処理施設見学会のアンケート調査結果
報告と、容器包装プラスチックの取り扱いが議題だっ
た。


「環境保護から良くない」
一時紛糾、「並行して協議を」
しかし冒頭、複数の委員から「荒神山にトンネルを整
備することは環境を保護する観点から絶対によ
くない」
アクセス道路に対し住民は一番関心がある」など、市
が進める荒神山トンネルの整備案に反対の意見が相次
いだ。事務局は「この協議会はごみ処理施設に関して
話し合う場で市道(アクセク道路)については改めて
彦根市が説明の場を設ける予定」と回答。これに対し
て委員からは「これまでの住民説明会ではアクセス道
路についての説明があった。ごみ処理処理施設の内容
を決めてからでは反対のしようがない」と併行して協
議を強く求めた。(後略)



市長は進める意向
この問題は開会中の市議会一般質問でも取り上りれ、
議員の「荒神山にトンネルを整備する案は白紙にする
べきだ」との指摘に対し、大久保貴市長は「地域の皆
さんの意見を聞いて、プロセスを踏んで決めた」と計
画通り進める考えを示している。



この問題は、急を要すが、『環境影響評価事前調査』
と『既設設備施設改修案との対費用効果などの比較調
査』の2つの提出が前提となる。あわせて『二酸化炭
素排出量削減計画(分離建設案を含め)』の3部が焦
点となる。

【脚注及びリンク】
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  1. 謎の感染拡大〜新型ウイルスの起源を追う
    〜」 NHK、2020/12/27
  2. ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジ
    ネス
  3. スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「
    リサイクル革命」が起きている(動画) ハ
    フポスト
  4. 『環境ビジネス 2020年夏季号』
  5. 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,
    環境ビジネス,2020年冬季
    号   
  6. 環境への取り組み CSR(企業の社会的責任)
    佐川急便株式会社
  7. 彦根市一般廃棄物処理基本計画の進捗状況評
    価について(平成30年度) ,
  8. 滋賀県出身の人物一覧Wikipedia

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