アラル海

2014年10月06日 | 世界の湖沼百選

 

 

世界では現在進行形で消滅する湖沼があるという。
その1つの事例が、アラル海(アラル湖)だという。
中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンにまた
がる塩湖・アラル海が、北部や西部を残して消滅し
かかっていることが米航空宇宙局(NASA)の観
測でわかった。NASAが9月末に公表した衛星写
真では、湖水の減少で分かれた東アラル海が完全に
干上がっているのだと。

旧ソ連時代からの灌漑(かんがい)で湖水が大幅に
減っ
たことに加えて、今年は周辺の降水や降雪が特
に少なかったことが影響したとみられる。

アラル海
は、かつては琵琶湖の約100倍となる世
界第4位の広さがあった。NASAによると、1960
年代以降、当時の旧ソ連政府が農業用水の確保など
のため、湖に注ぐ川を迂回(うかい)させて大規模
な取水をしたことなどで縮小が進んだ。

 

アラル海は中央アジア西部の内陸湖である。アラル
海の
西にはカスピ海があり、2つの海の間にはトゥ
ラン低地やウスチュルト台地がある。アラル海の南
東にはキジルクム砂漠があり、南はカラクム砂漠、
北はカザフステップに囲まれている。アラル海は
1960年代までは日本の東北地方とほぼ同じ大きさの
湖沼面積を誇る世界第4位の湖(約66000[2]~68000
平方キロメートル)だったが、半世紀で約5分の1
に縮小した。アラル海はかつては1つの湖だったが、
その後小アラル海(北アラル海)と大アラル海(南
アラル海)に分かれ、現在は小アラル海とバルサ・
ケルメス湖、東アラル海、西アラル海の4湖に分か

れている。小アラル海と大アラル海の間はかつては
ベルグ海峡と呼ばれていたが、現在はコカラル堤防
で仕切られている。また干上がった部分はアラルク
砂漠と呼ぶ説があるという。(Wikipedia) 




アラル海が形成されたのは1~2万年前とも、200万
年以上前(古代湖)とも言われる。古生代のテチス
海を起源とする説もある[13]。紀元前5世紀のヘロド
トスはアムダリヤ川はカスピ海に注いでいると記述し
ており、それが正しければ当時のアラル海は現在と
同じようにシルダリヤ川のみが流入する湖だったよ
うである。その後、地殻変動や流入河川の水路の変
異によってサリカミシュ湖とつながったり干上がり
かけたりする時代を経て、現在に至る。

● 自然改造計画による環境破壊

この地域で綿花栽培を最初に行ったのは、18世紀の
ホラズム・ハン国といわれている。19世紀に中央ア
ジアに進出した帝政ロシアは第一次産業革命の最中
にあり、原材料として綿花を必要としていた。当時
はアムダリヤ川水系を利用した運河網を建設してイ
ンドと交易する案もあったが、米国で南北戦争が勃
発による綿花価格高騰や大英帝国とのグレート・ゲ
ーム
などを理由に、中央アジアで綿花を国内生産す
る方が良いということで計画立案される。

またアラル海は農業用水として価値の低い塩湖であ
り、貴重な淡水を蒸発させるよりもアラル海に達す
る前に使いきってしまった方が良いという考え方も
あり、当時からアラル海の縮小・消滅は織り込み済
みだったという。これらの考え方はロシア革命後も
引き継がれたが、もともと海底であったことから、
土壌には塩分が多量に含まれている。アラル海の下
流域では地下水位が高く1メートルも掘れば塩分を
含んだ地下水が湧き出し、シルト・粘土土壌のため
水分含有率が非常に高く、さらに同地域では重力灌
漑という「水位の高い水路から、低地の農地に水を
引いて灌漑する」という方式が取られ――煮えたぎ
る鍋に海水をどんどん注げば、やがて塩が析出する
原理と同じように地表からの蒸発散作用でカルシウ
ム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムといった
塩分が土壌表面近く50センチメートル内に析出し、
やがて地表は雪で覆われたように真っ白になるほ
どの塩類集積が発生する。このように、最初は強制
的な灌漑により耕作できた土地も、塩害の進行とと
もに放棄せざるを得なくなる――といった無謀な計
画であったという。

さらに、砂漠化した大地からは塩分や有害物質を大

量に含む砂嵐が頻発、周辺住民はがんや結核などの
呼吸器疾患を患っている。飲料水も、カルシウム、
マグネシウム、ナトリウム、微細な砂を含む飲料水
を長期間飲み続けている住民は腎臓疾患を発症。ま
た、井戸水を飲む地域では農薬由来の化学物質やリ
ン肥料由来の重金属類が混入し健康被害が深刻化す
る。灌漑後の排水が流れ込むサリカミシュ湖は殺虫
剤や除草剤の混入レベルが高く、商業的漁業は禁止
されたが守られていなかった。

【エピソード】

 

 

● The disappearance of the Aral Sea ↓ Click here ! 

 

 

【脚注及びリンク】
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See How a Siberian Lake Has Almost Disappeared, Sept
       30, 2014 TIME

2. 消滅の危機にひんするアラル海(1)  NHK 2010.02.10
3.  世界で4番目に広かった湖「アラル海」、ほぼ消滅 2014.
       10.01 CNN 

4.  アラル海 Wikipadia
5.  石田紀郎「アラル海ダム新情報」(日本カザフ研究会、
   市民環境研究所、2005年8月)

6.  地田徹朗「アラル海の過去・現在・未来 2013年1月
       ~2月、カザフスタン巡検、八人の証言 ─」(境界研
       究 特別号)

7. アラル海救済国際基金
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