城郭都市設計史 18

2016年02月04日 | 湖と城郭都市

 

【伝・歌詰橋】

● 伝説と人文地勢学

平将門は平安中期の武将で、下総北部(茨城県西部)を
地盤とする当時の関東の最強豪族だった。東国に独立国
家をつくる野望を抱いたが、平貞盛・藤原秀郷に攻めら
れて敗死する〈天慶3年(940〉。推測だが、当時の
心は関西にあり、関東八州を制圧し、新皇を名乗った
門は東国の英雄であり、斬首されるという非業の死は
説を生み、怨霊・怨念の系譜へと繋がっていく。

 Wikipwdea

尚、平貞盛は、平安時代中期の武将。平国香(良望)の
嫡男で、藤原秀郷は、平安時代中期の貴族・武将。下野
大掾藤原村雄の子。室町時代に「俵藤太絵巻」が完成し
近江三上山の百足退治の伝説で有名。もとは下野掾であ
ったが、平将門追討の功により従四位下に昇り、下野・
武蔵二ヶ国の国司と鎮守府将軍に叙せられ、勢力を拡大
。死後、贈正二位を追贈された。源氏・平氏と並ぶ武家
の棟梁として多くの家系を輩出(→百足退治伝説)。

さて、秦川山の中腹に、湖東三山の一つ金剛輪寺が静か
佇まいをもつ。この金剛輪寺には、宝亀五年(774)
「泰正月
商書写」の奥書のある大般若経二巻が伝存し、
また同寺収
蔵の金銅聖観音像には、文永六年(1268)
「依智奈氏子孫
繁昌」のため寄進した旨の銘文がある。こ
のように、金剛輪寺
は百済系渡来氏族で、京都に一犬勢
力を張った秦氏の系流
依智秦氏の信仰に支えられて興隆
した寺院であると考えられ
ている。



ところで、元亀二年(1571)織田信長は天下統一を
目指し
統一を阻む宗教勢力の一掃をはかるた。比叡山延
暦寺をは
じめ、近江の各地の寺院もその戦火にかかり、
天台宗の湖東
三山の一つ百済寺も焼かれた。信長の軍は
金剛輪寺に
も迫りる。このとき、金剛輪寺から大の手が
あがり、その火は
全山を焼き尽くすかのように見え、こ
れを見た住職が機知を
もって、本堂のある高台で火を燃
やし、寺が焼けたように見
せかけたもので、全山を焼き
尽くすなんて真っ赤なうそ(嘘)。
寺の麓から琵琶湖に
流れる川を宇曽川と名付けたという地
名伝承がある。

  滋賀の百川

この宇曽川を横ぎり中山道が通っていて、現在の愛知川
町と
豊郷町の境にもなるこの中山道の橋の名を歌詰橋と
呼び、こ
の橋の名にまつわる伝説がある。平安朝の天慶
二年(1939)
の年に常陸の国司を攻め、公然と朝廷
に反乱した関東で大
きな勢力をもつ平将門がおり、驚い
た朝廷は、その頃、武勇の名を高めていた前出した藤原
秀郷に将門を討つよう命じました。この秀郷を俵藤太秀
郷ともいい、また田原藤太秀郷ともいわれ、近江富士と
もいわれている三上山の太ムカデ(百足)を退治してい
る。

ところで、平将門を討つようにと命をうけたものの、秀

郷は大変困難を極めました。各地で激しい戦闘の末、や
っと
のことで将門を討つことができました。そして将門
は首を刎ね
られ、秀郷は大勝利を納めまる。急ぎこれを
朝廷に報告する
ため、直ちに京へ上ることになり、美濃
の国を経て、東山道と
いわれた道(後の中山道とほぼ同
じコース)を土橋の架かっ
ていた宇曽川へさしかかる

そのとき、一点俄にかき曇ったかと思ったなかで、一塊
の黒い雲が唸りをたてて飛ん込んできた
。なんとその雲
中からこともあろうに人間の首が現れ、秀郷の行く手
のこの土橋の上に落
ちた。その首、火の玉のように爛々
と両眼を輝かせた将門の首であった
。この首に向かって
秀郷
 「いかに将門殿、何か故に我を追ってここまで来
られたのか?」

「無念やるかたなし。そなたに討たれしことが殊のほか
無念だ。何にてもそなたに敗けることのない我が身・・・」
「何にても?」
「いかなる事においても、この将門は、そなたよりは勝
っているものを・・・」
将門の首は、無念と、はらはらと涙を流す。
それを見てとっだ秀郷は、哀れをおぼえ
「それでは将門殿。さきの合戦は確かに我が勝ったが、
どうだ、歌合せの勝負はどうか。
まずは歌合戦をいたそ
うぞ。」

「歌合戦?」
「そのとおり、今の無念の思いを一首の和歌に詠み候え」
と首に面して土橋の上にどっか
と腰を下ろす。
「う、・・・」
異様な呻き声を上げた将門の首、咄嵯に和歌を詠めず、
苦しみだすと、天のどこにいた
かはわからないが黒雲が
さっと降りてきてその雲が将門の首を包み、京の万へ丙
び飛んで
いってしまいまった。
将門の首が歌に詰まってしまった橋。これが「歌詰橋」
の名の起こりである。

[歌話橋 滋賀県愛知郡愛知川町愛知川 0749(4
2)4111 愛知川町教育委員会

 Wikipedia

※歌合せ:人々を左右に分け、その詠んだ短歌を左右)
 一首ずつ組み合わせて判者が優劣を判定し、優者の数
 により勝負を決する遊戯。

このように将門怨念伝説は、関東を中心に全国に広がり
淡海には大津市、彦根市、愛荘町に残っているという。
彦根市は「平流山(荒神山)」、愛荘町は「のまず(野
間津・不飲)の池」「山塚(将門塚)」「歌詰橋」があ
る。これらの伝説は「将門の首が京に運ばれて晒し首に
された」ことに関わる。

 滋賀の百川

● 伝・不飲川

その西の小さな不飲(のまず)川ですが、かつては、大
きな川で、源流の不飲池では将門の首を洗ったところ、
血に染まったとか、戦国時代、多くの人の遺体で水が飲
めなかったからとか諸説がある。不飲(のまず)橋の欄
干にはふたをした瓶を飾ってあり、表現しているのが愛
嬌。

● 伝・鶏足寺(旧飯福寺)

1100年以上も昔、定恵上人によって開創された名刹、
真言密教の大本山。当初、世尊寺と呼んだが、天慶の乱
の際、平将門を調伏したところから勅命により鶏足寺と
改める。このとき世尊寺の法印は秀郷の勝利を祈願し、
法力で将門を倒すように命じられ、土でつくった平将門
の首を供えて連日連夜祈り続けた。ところが8日目、法
印はとうとう眠ってしまうと、夢の中で、3本足の鶏が
血まみれの平将門の首を踏みついるではなか。法印が鶏
の笑い声でハッと目を覚ますと、土像の首には鶏の足跡
が3つ、はっきりと付いる。そして、17日目の満月の
日、秀郷が平将門を討ち取られる。世尊寺は、このこと
から『鶏足寺』と改名する。

 

 【エピソード】    

              

人文学あるいは人文科学は、自然に対し人間・人為の所
産 (arts)を研究の対象する学問であり、それを可能にす
る人間本性(human nature)を研究する学問。地政学とは
地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な
影響を巨視的な視点で研究する学問。また、伝説とは、

人物、自然現象等にまつわる、非日常的な異常体験を、
形式上「事実」として伝えた説話の一種であり、無文字
時代から存在し、一般に、昔話・民間伝説・世間話など
の民話、新語作成、新文句(新句法)、諺、謎、唱え言、
童言葉、民謡、語り物などの昔話以外の分類を口承文学
あるいは伝承文芸をさすが、この伝・歌詰橋のように、
朝敵となった将門の怨霊を「歌合せ」で払うという構図
は、つまり、文化度の差として、上に聳える差別統治の
正当性を意図的に盛り込み編集され民間伝説と"記紀"

ように官制伝説の意味合いを帯びている。

  遠野物語

【脚注及びリンク】
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  1. 「地域資源・交通拠点等のネットワーク化による
    国際観光振興方策に関する研究」国土技術政策総
    合研究所 プロジェクト研究報告 2008.05.21
  2. 「歴史まちづくりのてびき(案)」ISSN 1346-73
    28 2013.11.13
  3. 歴史まちづくりの特性の見方・読み方 国土技術
    政策総合研究所 2013.04.11
  4. The Neckar river near Heidelberg  Wipipedia
  5. ラウフェン・アム・ネッカー Wipipedia
  6. 「城と湖のまち彦根」中島一 サンライズ印刷出版
  7. 「続・城と湖のまち彦根」中島一 サンライズ印刷
    出版部 
  8. 中島一元彦根市長 Wikipedia
  9. ドイツ:ニュルティンゲン市「市民による自治体
    コンテスト1位のまち(1)」 池田憲昭
     内閣
    府経済社会総合研究所
  10. ボーデン湖 Wikopedia
  11. コモ湖 Wikipedia
  12. ネッカー川 Wikipedia
  13. 『ヘルダーリン詩集』 川村次郎 訳 岩波文庫
  14. 『ヘルダーリン』小磯 仁 著 清水書院
  15. 三島由紀夫 著『絹と明察』
  16. 三島由紀夫の十代の詩を読み解く21:詩論とし
    ての『
    絹と明察』(4):ヘルダーリンの『帰郷
    』詩文楽
  17. 三島由紀夫の十代の詩を読み解く18:詩論として
    の『絹と明察』(1)~(7) 詩文楽-Shibunraku
  18. フリードリヒ・ヘルダーリン  Wikipedia 
  19. フリードリッヒ・ヘルダーリン - 松岡正剛の千
    夜千冊
  20. ヘルダーリンにおける詩と哲学あるいは詩作と思
    索頌歌『わびごと』を手がかりに 高橋輝暁 2010.
    09.06
  21. 『ヘルダーリンの詩作の解明』、ハイデッガー著
    イーリス・ブフハイム,濱田恂子訳
  22. 南ドイツの観光|ドイツ観光ガイド|阪急交通社
  23. バーデンヴェルテンベルク州&バイエルン州観光
    局公式日本語
  24. リンダウ - Wikipedia
  25. ハイデルベルグ Wikipedia
  26. ハイデルベルク城 - Wikipedia
  27. 城郭都市 Wikipedia
  28. ヨーロッパ100名城 Wikipedia 
  29. 中国の城郭都市 : 殷周から明清まで 愛宕元著
  30. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  31. 万里の長城 世界史の窓  
  32. 中国厦門の城郭都市研究における外邦図の利用
    山近久美子(防衛大学校)2005.08.25
  33. ヨーロッパ100名城 Wikipedia
  34. 近江佐和山城・彦根城 城郭談話会編 サンライズ
    出版
  35. 淡海文庫 44 「近江が生んだ知将 石田三成」 太田
    浩司 サンライズ出版
  36. 佐和山城 [5/5] 大手口跡は荒れ放題。現存する移築
    大手門は必見 | 城めぐりチャンネル
  37. 中井均 『近江佐和山城・彦根城』サンライズ出版2007
  38. 彦根御山絵図 彦根三根往古絵図など古絵図デジタル
    ・アーカイブ化に、彦根市立図書館  2012.05.27
     

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