地域循環共生圏概論⑯

2020年12月30日 | 湖と城郭都市


作成日:2020.12.30|更新日:
地域循環共生圏概論⑯
  熊本県の田んぼダム
7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の治水対策
について、熊本県は来年の梅雨時期に向け、球磨川流
域で200ヘクタール規模の「田んぼダム」を整備す
る方針を固めており。田んぼダムは大雨時に一時的に
水をため(治水対策)、実現すれば、九州では最大規
模。流域全体での取り組み、市町村ごとに20~30
ヘクタール程度の水田で導入を目指す(熊本・球磨川
治水対策、県「田んぼダム」整備方針…数百円の調整
板で川の増水防ぐ、読売新聞オンライン)。

このニュースに先立ち、「ナノ水力発電システムの実
証実験」(ポジティブエネルギー計画① - 極東極楽ご
くとうごくらく)
で掲載しているように、次のように
ポジティブエネルギー発電用に「人工遊水池(ダム)
」すなわち「農耕地ダム」と類似していることをみつ
けたというわけである。


エネルギー・情報ケイブル、上水道、下水道の3つの
埋設化は地方から長期計画で!」はわたし(たち)の
国土強靱化政策だつたのだが(中略)ダム(人工遊水
池間専用の「揚水/排水埋設管」が4つめとなる。滋
賀県のように、短い河川が多い地域には適している。
つまり、余剰ポジティブエネルギーを人工貯水池間で
蓄電池用水としてポンプアップ循環する。分かりやす
く言うと琵琶湖の水を鈴鹿山系・比良山系・白山山系
(伊吹山)にポンプアップするシステムを構築するこ
とでポジティブエネルギー百パーセントに漸近させる
積極(ポジティブ)な事業計画である。


さて、田んぼダムは、大雨時に水田の排水口に小さな
穴の開いた調整板を取り付ける。川への排水を抑制し
て増水を防ぐ機能がある。板の費用は数百円でも済む。
新潟県で始まった治水対策で、農林水産省によると、
東日本を中心に取り組みが広がっている。国土交通省
が18日に公表した球磨川の流域治水案でも、田んぼ
ダムがメニューの一つに挙げられていた。そして、熊
本県が、球磨川上中流域の10市町村に実施を打診し、
おおむね了承を得たという。調整板購入や排水口整備
の費用は県が補助する方針。200ヘクタールで15
センチの雨水をためた場合、単純計算で30万トンの
貯留効果が期待でき、一部の水田では、遠隔操作で一
斉に排水量を調整する「スマート田んぼダム」を採用
することも検討する。県は2年間のモデル事業として
取り組み、さらに面積を広げたい考えだ。県幹部は、
すぐに取り組める上、『みんなで地域を守る』という
防災意識の向上にもつながると期待されれ、面積が広
いほど効果が見込め、流域全体で取り組むことに意義
がある。取り組みが持続するための仕組みづくりも重
要だというのだ。


 産業太陽電池 2032年問題
このままいくと、2032~2033年の間に原発約7.3基分の
産業用太陽光発電所から生み出された卒FIT電力が、市
場に流入することになる。まだまだ先のことかもしれ
ないが、VPPの実証実験など、2032年を見据えた取り組
みはスタート、事業者は今から対応策を考えておくこ
とが必要だといわれている(環境ビジネス「産業用太
陽光発電の大規模卒FIT電力が市場に流入」、2020年
冬季号)。




原発7.3基分の卒FIT産業用太陽電池電力が市場に
それによると、2012年に買取が始まった産業用太陽光
発電。売電期間は20年間のため、2032年に買取期間が
満了するメガソーラーが出てくる。2013年までに導入
され運転を開始した産業用太陽光発電設備(2012年6月
末までの累積導入量含む)は約7.3GW。つまり、2032年
から2033年にかけて、原発7.3基分の電力が一気に市
場に流入することになる。そのインパクトは2019年の
比ではなく、電力・再エネビジネスを大きく変えるも
のになるに違いない。膨大な電力を活用するため、VPP
(バーチャルパワープラント)の構築が不可欠と考えら
れており、現在VPPを活用した実証事業がいろいろな
ところで進められている。産業用太陽光発電の卒FTT
電力をどう利用するかなどの制度設計はこれから本格
的に整備され、VPPはスマートシティや多くの産業にか
かわってくるという。

『解説』2019年問題と2032年問題
「2019年問題」とは、言わずもがな2012年のFIT「固
定価格買い取り制度」に先駆けて2009年から住宅向け
に始まっていた「余剰買い取り制度」満了の方々が、
10年間の売電期間を経て買い取り期間が終了すること
により、これまでは破格の@48円で余剰売電出来てい
たものが、今後は自由に売り先を選択できるものの、
売電単価は@7円〜@12円程度の何れかになってしまう
為、従来の単価から(@48円-8.5円:東電参考単価=)
@39.5円も下がってしまったり、また、購入単価は@26
円を超えてきている状況の下では、売電すると(@26円
-8.5円:東電参考価格=)@17.5円も損してしまう状況
になり、売るよりも使う「自家消費」というベクトル
に力が働き、蓄電池を付加することでタイムシフトし
たりして、上手に再エネを貯めて使うライフスタイル
になってきたことを言う。

また、「2032年問題」とは、FITのスタートにより始
まった産業向け(10kW以上)の太陽光発電設備≒野立
ての太陽光発電システムが20年間の役目を終え、その
先の設備をどうするか?という問題を抱えながらも、
売電を継続するにも自由契約となることが見込まれる
ことから、その売り先を自分で決めていかなければな
らず、恐らくはVPP(バーチャルパワープラント)な
どのアグリゲーターを介した何らかのグリッドにおけ
る調整電源として買われていくものだと推察されてい
る。
何方にせよ大量の電源が当初の売電期間を終えること
による問題なのだが、もしこの2032年以降に発生する
20年間の全量買い取りを終えた案件が次々にその役目
を終えて閉鎖されたら、何の為に再エネを主力電源化
し、二酸化炭素を発生させないような地球温暖化に抗
する取り組みをしてきたのかが分からなくなっていま
いまうというリスクが発生するのではという懸念が残
る。
                  この項つづく


【エピソード】


【脚注及びリンク】
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  1. 謎の感染拡大〜新型ウイルスの起源を追う
    〜」 NHK、2020/12/27
  2. ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジ
    ネス
  3. スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「
    リサイクル革命」が起きている(動画) ハ
    フポスト
  4. 『環境ビジネス 2020年夏季号』
  5. 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,
    環境ビジネス,2020年冬季
    号   
  6. 環境への取り組み CSR(企業の社会的責任)
    佐川急便株式会社
  7. 彦根市一般廃棄物処理基本計画の進捗状況評
    価について(平成30年度) ,
  8. 滋賀県出身の人物一覧Wikipedia

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