先週末、東京のお台場で行われたJPT湾岸クリテリウムは『湾岸サイクルフェスタ』というイベントの中で行われたレースでした。
当然私も普段と同じようにチームスタッフとしての参加であったのですが、その中で行われたガールズ競輪現役選手&往年のロードレーサーOBによる『スペシャルステージ』と位置づけられたレースに参加させて頂きました。
なななんと優勝!
他の参加者の皆さんの多くは、私が憧れ、自転車を始めるきっかけとなったような偉大な選手です。
てっきり、事前からシナリオがあるレース形式のイベントと思っていたのですが、主催者側にどう走っていいか聞くと『え?ガチですよ』と・・・。
とは言え、現役を退いた方々メインのショートレース、ここは空気を読んで無理なく走るに違いありません・・・と思っていたのは早とちりでした。
事前の打ち合わせで顔を合わせた諸先輩方、口では冗談を言いながらも、レースを走る事実を前にテンションがバンバン上昇していることが伝わってきます。
その後の試走時間では、参加者の皆様(全員それなりの年齢)がレースの動きを思い出すかのような『アタックごっこ』を繰り返し、私も当然ごっこに参加してしまうわけです。
試走の段階ですでに『大人』の存在は確認できませんでした(笑)
レースは7.25kmと(現役選手にとっては)ショートレース。
1周1.4km程のコーナーと起伏が連続するコースを5周です。
スタート直後、弟子(安原選手談)であるガールズ競輪の元砂七夕美選手に牽引させる、という大技を繰り出したアトランタ五輪代表、安原昌弘選手ら2人が一気に後続を引き離します。
宇都宮ブリッツエンGM廣瀬選手が集団牽引を開始し、それに私、バルセロナ五輪代表、藤野智一選手、元ポーランドムロズチーム所属、栗村修選手、アテネ五輪代表、唐見実世子選手、近代ツール・ド・フランス日本人初出場、今中大介選手、更には時速300km/hの世界観を持つF1ドライバー片山右京選手が続き代わる代わる先頭に出てペースを上げてゆきます。
先頭でペースUPと言うより、前の人についていたら自動的に自分の番が回ってきてしまったので、いち早く後退しようとしている動きが、結果的にそれなりの先頭交代に見えていただけという内部事情はあったと思われます。笑
本来、ガールズ競輪の皆様との争いもしなくてはいけませんが、大人げない大人たちはそれどころではありません。
けっこうなペースで先頭を追いかけます。
私も一旦、安原選手らの場所へ向けアタックを試みますが、唯一の後輩レーサー廣瀬選手が反応つぶされます『コノヤロー』と叫ぼうとしましたが、苦しさのあまり口には出てきません。
そんなこんなで、安原選手らを吸収した集団は、最終コーナーめざしペースを上げます。
ここで前に出たのは、何人たりとも俺の前は走らせねー!サーキットの魔術師、片山右京選手!
唯一自転車選手出身の肩書で無いのに、さすが時速300km/hの世界に生きてきた男!
パワフルな加速とタイヤグリップ力ギリギリのコーナーの攻めを見せ、後続を引き離し最終コーナーを立ち上がります。
私は4番手の位置、選手間の距離が開いたところで、ラスト200mで現役引退後5年間溜めつづけた火薬を一気に爆発!
スプリントを仕掛けました。
最終ホームストレートへのコーナー出口で先頭を行く片山右京選手のスリップストリームから一気に前に出ます!
↑もうこの一文だけ見ればモータースポーツの世界から注目を受けてしまいそうです、ワタクシ。
スリップを使い前に出るには絶妙の位置であったので、今出来る最高の加速を得て、ラスト100mへ。
この勝負もらった―!
・・・。
うぉぉぉおりゃぁぁぁぁー!!
・・・。
でりゃやゃぁぁぁぁぁ!!
・・・。
なかなかゴールが近づいてきません。
現役時代に感じていた距離感、今は倍ほど長く感じます。
すぐ後ろには選手が私を抜きにかかる気配が。
アナウンスでは『野寺が先頭、後ろから今中が来たー!』と。
大先輩である今中選手、普通ならば先輩に譲る事も考えるところではありますが、あの憧れの今中さんと全力でスプリント出来るチャンスは一生のうち最初で最後に違いありません。
気力を振り絞りゴールラインをめざし、交わされそうになりながらも何とか勝利のゴールラインを踏んだのです。
ゴール後は過去感じたことが無かった程の、疲労物質による痛みが脚を襲い、自転車に跨っていることがやっとの状態。
今中選手に『いやー。強かったね!』と手を差し出され嬉しくなりましたが、ここで一つの疑問が。
あれ?確か今中大先輩、私と同じ干支、うさぎ年生まれではなかったか・・・?
現役引退の年齢は私と変わらなかったはず、私より『一回り』ブランクがある筈なのに、ゴールラインまで追い込んできて、直後にさわやかな祝福の言葉をかけられる余裕・・・。
やっぱり凄い。
しかも逃げ続けていた安原さんもすぐ後ろ。。。
表彰までして頂き、そりゃ、いつもより多めにウィリーもしてしまいます。しかも現役選手の自転車を取り上げて(ごめん横山
↑憧れの偉大な元選手達に囲まれ、私にとっては最高の日になりました。
が、今まで優しかった先輩方が今後口をきいてくれなくなったりしないか・・・今は心配です。
なにはともあれ、ロードレースは素晴らしいスポーツと再認識しました。
選手がよい環境で目標を追いかけられるよう、またスタッフとしての仕事を頑張る事ができそうです。
今年に入って自転車には1000kmも乗っていません、1000kmといえば現役の合宿中であれば1週間で乗る距離。
今回、それなりに走れたのは、遠征中の夜などに時間を見つけて行っている軽いジョギングや、たまに行っているジャンプ運動での下半身への刺激、マウンテンバイク等でウィリー等をする時の上半身への刺激などがあったからでは無いかと思っています。
自転車に乗れない状況だからこそ、自転車を走らせるためにどのような運動が効果的か考える事が結構あります。
そんな運動の幾つか、機会があればここで紹介しますね。