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平成29年5月29日から「法定相続情報一覧図」の保管申出・交付が始まりました。

特例方式の現状

2008-05-24 | オンライン申請
法務省は膨大な登記データを電子化し、平成17年不動産登記法を改正し、これまで書面でしていた申請を、インターネットを利用したオンライン申請も利用できることとしたが、オンライン申請が利用できる登記所(オンライン指定庁)を段階的に指定したこと、オンライン申請に必要な電子証明書が普及していないこと、添付書面が電子化されていないこと等の理由により、まったく利用されていなかった。

平成20年1月、一定の登記についてオンライン申請を利用した場合は登録免許税を軽減することとし、特例方式として、代理人の電子署名があれば申請人の電子署名が無くても利用できること、電子化されていない添付書面については、郵送または持参により登記所の窓口に提供することができることとした。
http://www.eonet.ne.jp/~nnn2005/online/fu-903.html

これらの処置によりオンライン申請の利用は増えたが、同時に多くの問題も発生している。
一つは、特例方式特有の補正の問題である。この問題は、システムの改修と代理人・登記官の工夫により解消されつつあるが、未だに「取下げ」「却下」といった結果になっている事例もある。
http://www.eonet.ne.jp/~nnn2005/online/fu-904.html

もう一つの大きな問題は、代理人・登記官にとって、オンライン申請は格段に手間がかかることである。
代理人は、登記原因証明情報をPDF化し、法務省提供の出来損ないの「支援」してくれない「申請書作成支援ソフト」を使って申請情報を作成して、稼働状況に不安を感じながらオンライン申請システムで送信している。添付情報は、申請件数ごとに13号様式を作成し添付書面を添付して提供している。
登記官は、窓口に提出される書面の申請書・オンライン申請の添付情報、郵送で提供される書面の申請書とオンライン申請の添付情報、オンラインで提供される申請情報をそれぞれ整理し、審査する。登記完了後は、一部の書面(情報)は窓口で交付し、一部の書面(情報)は郵送等で交付している。別途、登記識別情報は、オンラインで交付する場合もある。

特例方式は、代理人にとって手間がかかり余分な危険負担を負うものである。このため、当初積極的に利用していた資格者も、消極的になりつつある。
また、登記官も特例方式が始まって事務量が著しく増えたであろうことは容易に想像できる。

これらの問題は、多くの問題の一部である。利用率100%を目指すためには、「何のためのオンライン申請か」もう一度考え直す必要がある。


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