靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

あの画家の目に、教えられたこと

2013-10-06 06:04:36 | 私史
学生時代のこと。古い家屋を改造し、いろりを囲んで食事をいただく、そんな少し独特の雰囲気の居酒屋で、知り合いとお酒を飲みながら話をしていた。私とは一回り以上違う、小さなギャラリー経営者や人形作家や画家の方達。皆生活は豊かでなく、その画家は、昼間肉体労働し、夜くったくたになりながら、描き続けているんだと笑っていた。

赤くまたたく炭を見つめながら、友人関係、家族関係、いかに授業がつまらないか、いかに今の社会がくだらないか、私はそんな不平不満いっぱいの言葉を並べていた。

すると、じっと話を聞いていた向かいの画家が、静かに言った。

「あんたはね、自分がどれほど与えられているか、ちっとも分かってない」

当時、その言葉よりも、その画家の目が、私の心に突き刺さったのを覚えている。

私を憐れむ目。

その目に、私は小さな小さな存在として映し出されていた。私の見ているものは、広がりの中のほんの小さな点のようなものだと。

「そろそろ行くかな、寝る前に形にしておきたいことがあるしね」

その画家は口元に少し微笑みを浮かべそう言うと、一人席を立ち、居酒屋を後にした。



今でも、あの目を、ふと思い出すことがある。「どれほど与えられているか」という言葉と共に。

点から顔を上げ、見回し、その広がりに息を呑む。小さな小さな自分、無限の地平へ踏み出して行きたい。

子育て風景、さらさらと流れ続け

2013-10-06 06:03:33 | 子育て風景
プレスクールに馴染めず、学校はどうしても嫌、僕は家にいるんだよ、どうしても行かなきゃいけないなら僕が11歳になってから(かなり大きくなってからという意味なのでしょう)、と頑なに言っていた次男。

上の四人は小さな頃から学校大好き、週に二日や三日のプレスクールでなく、早く毎日学校に行けるようになりたい!という様子だったのですが、この初めての反応が、新鮮でした。(笑)


パズルしてボードゲームしてお絵かきして何かを組み立てて、一人楽しそうに遊び続ける次男。普段お世話好きな兄姉四人に囲まれていている分、こんな時間が彼にとってはたっぷりと必要なのかもしれません。毎日兄姉の帰宅を楽しみにしながらも一人嬉しそうな次男、その生き生きとした表情を見ていると、子供にとって、一人で何かに熱中する時間というのも、また大切なのだなと感じています。一人で何かを試し失敗しまた試しと繰り返す内に、随分と色々なことができるようになっていたりも。

最近、お友達とも蜜に遊ぶようになって。追いかけあっこして取っ組み合いして汗をかき、アイデア出し合いながら一緒に何かを作り続け。

そうして大好きなお友達と思いっきり遊んだ帰り道のこと。

ぼく、五歳になったら学校へいこうかな。学校へ行ったら、お友達ともいっぱい会えるものね。

笑顔でうなずく次男。


こうして少しずつ、育ってるんだなあ。


さらさらと流れる小川の水

器に掬い取り

この水は四角い あの水は丸いとするよりも

小川の流れを見つめていこう


そんなことを思いつつ。

散歩。


お絵かき。


シュート!

ジムにて。

陽に向かって歌う!

子育て風景、創るって楽しい

2013-10-06 06:00:19 | 子育て風景
ここ何日か、長女はサイエンスのプロジェクトにかかりきり。「微生物(microorganism)についての冊子を作る」というもの。表紙、読み手を引き込むようなイントロダクション、目次、十の微生物についての説明と色つきスケッチ、二分法(dichotomy)を用いた説明チャートなどを盛り込むことになっていた。

ネットを検索し個々の微生物について調べつつ、表紙は何色の厚紙にしよう、タイトルは何にしようか、どんな言葉で読者を引き込もうかなあ、どの微生物を選ぼう、絵の構図はどうしたらいいかな、そう頭の中はプロジェクトをどう形にしていこうかでいっぱい。

こんなのどうかなあと、表紙やスケッチや文章を何度も見せに来て、「もうこんなに時間かかって嫌になっちゃう~」と口では言いながらも、目はランランと輝き、ウキウキしている様子が伝わってくる。

結局提出する前日夜の十時に出来上がり、やった~!と部屋中飛び上がって喜んでいた。

何かを創るって楽しい。

うぎゃ~、もおおお~と、すんなりいかないことに頭かきむしって叫びたくなることも確かにあるのだけれど、やっぱり、何もないまっさらなところから、少しずつ少しずつ何かを形にしていく過程というのは、もうたまらなく楽しい。


ママもね、今、お友達と、創っていこうとしているものがあるのよ、そんな言葉をかけてみる。


中学に入って初めてまとまった時間をかけたプロジェクト、「創る」という喜びを満喫したようでした。


表紙を開くと「微生物に捧ぐ」と一行。(笑)