学生時代のこと。古い家屋を改造し、いろりを囲んで食事をいただく、そんな少し独特の雰囲気の居酒屋で、知り合いとお酒を飲みながら話をしていた。私とは一回り以上違う、小さなギャラリー経営者や人形作家や画家の方達。皆生活は豊かでなく、その画家は、昼間肉体労働し、夜くったくたになりながら、描き続けているんだと笑っていた。
赤くまたたく炭を見つめながら、友人関係、家族関係、いかに授業がつまらないか、いかに今の社会がくだらないか、私はそんな不平不満いっぱいの言葉を並べていた。
すると、じっと話を聞いていた向かいの画家が、静かに言った。
「あんたはね、自分がどれほど与えられているか、ちっとも分かってない」
当時、その言葉よりも、その画家の目が、私の心に突き刺さったのを覚えている。
私を憐れむ目。
その目に、私は小さな小さな存在として映し出されていた。私の見ているものは、広がりの中のほんの小さな点のようなものだと。
「そろそろ行くかな、寝る前に形にしておきたいことがあるしね」
その画家は口元に少し微笑みを浮かべそう言うと、一人席を立ち、居酒屋を後にした。
今でも、あの目を、ふと思い出すことがある。「どれほど与えられているか」という言葉と共に。
点から顔を上げ、見回し、その広がりに息を呑む。小さな小さな自分、無限の地平へ踏み出して行きたい。
赤くまたたく炭を見つめながら、友人関係、家族関係、いかに授業がつまらないか、いかに今の社会がくだらないか、私はそんな不平不満いっぱいの言葉を並べていた。
すると、じっと話を聞いていた向かいの画家が、静かに言った。
「あんたはね、自分がどれほど与えられているか、ちっとも分かってない」
当時、その言葉よりも、その画家の目が、私の心に突き刺さったのを覚えている。
私を憐れむ目。
その目に、私は小さな小さな存在として映し出されていた。私の見ているものは、広がりの中のほんの小さな点のようなものだと。
「そろそろ行くかな、寝る前に形にしておきたいことがあるしね」
その画家は口元に少し微笑みを浮かべそう言うと、一人席を立ち、居酒屋を後にした。
今でも、あの目を、ふと思い出すことがある。「どれほど与えられているか」という言葉と共に。
点から顔を上げ、見回し、その広がりに息を呑む。小さな小さな自分、無限の地平へ踏み出して行きたい。
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