靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

底の違い

2010-06-11 23:58:18 | 出来事や雑感や (子育て)
メキシコ人友人Yが男の子二人連れて遊びに。

私がアラスカに暮らし始めできた最初の友人がYだった。もう11年も前の話だ。車が一台しかなく、生まれたばかりの長男とワンベットの小さなアパートに閉じこもっていた私を、あちらこちらに連れて出してくれたのがYだ。

アラスカに暮らし始めて何年かは、YのおかげでYの友人達ヒスパニック系コミュニティーの中で暮らしていた。暗く長い冬のアラスカで、遠く日本から離れ右も左もわからない赤ん坊の世話をする毎日を乗り切れたのも、彼女達のたくましい明るさのおかげかもしれない。

彼女達の苦労と、のほほんと日本で育った私の苦労とでは、苦労の底が違う、とよく思った。

汗水たらして昼夜働き続け、得たわずかなお金を、故郷の親戚にも送る。当時シングルマーザーだったYもローンを組んで大学で単位をとりながら、幼い子供を連れ掃除の仕事をしメキシコの両親へ送金していた。ある夜突然警察が来て不法滞在の夫を連れて行かれ強制送還されてしまった二人の幼子の母親もいた。

話を聞き言葉を失うような状況でも、彼女達は底抜けに明るかった。集まると笑って歌ってとにかく踊る。音と身体が一体になって、夜通し。



Yは今、市のソーシャルワーカーとして公立小学校でホームレス家族の子供達の世話をしている。再婚し2歳と6歳の男の子を産み、当時小さかった子は17歳。

もうすぐグランパ家族5人が1ヶ月訪ねてくる(前の日記「夏の訪問団」に詳細)、と聞き、「食事作ってくるから。子供達にはスペイン語で家事教え込むの手伝うわよ。」と頼もしい言葉を残してくれた。

こちらに来た当時、こうして何度も助けてもらったことを思い出した。



三女を抱っこするY。


犬と戯れるYの三男。黒犬は遊びに来た友人Mの犬。