昨日は桐生方面に仕事があったので、午後は半休をとることにして、ヤシカマット124Gをクルマに積んで出かけた。
行方知れずだったポートラ160の220フィルムが、別なカメラバッグの底から出現したのだ(笑)。
しか~し、生憎のお天気。どんよりと曇っていて、パラパラ小雨が降ったりやんだりしていたから。
そうなると、空模様とのにらめっこ´Д` ウエストレベルファインダーは、ご承知のように、降雨にきわめて弱い。
錦町十字路界隈を撮ろうとうろうろしたが、駐車場が見つからない。どこもかしこも月極めばかり。雷電神社に入って、社務所で「桐生観光駐車場って看板見たのですが、どこでしょうか」と、そこのおばちゃんにお聞きしてみた。
「さあねぇ。一日止めるの? 一、二時間なら、あのへんだったら、止めてもいいですよ」
というわけで、神社の境内、奥まったところにクルマを止めることができた。街撮りではいつも、駐車場さがしに苦労する。ほとんどの道路は「駐禁」。いつかも、ガラガラだったお寺さんの駐車場に小一時間クルマをとめておき、住職に説教をくらった*´∀`)ノ
「このへんで老舗の大衆食堂ご存知ですか?」と、また社務所のおばちゃんに質問。
「さあ・・・ほとんど廃業してしまったからねぇ」
もう午後一時を過ぎていて、腹ぺこ。やむなく撮影しながら、街角の食堂をさがすことに。
そうしたら、30分ほどたったころ、「立田野食堂」を発見! 恐るおそるのれんをくぐった。
「今日はランチはもう終わりだよ」と断られることがある。
ところがここでは「なんでもOK」だという。
壁にずらりとメニューが書き出してある。
ビールを飲んでいるお客さんが、三、四人。睨んだ通り、昭和ロマンの香りただよう、ステキな食堂だった。そうそう、この雰囲気! 水槽には錦鯉がゆったりと泳いでいる。
「焼き魚は今日はなにがありますか」
「鮭と鱈」
「・・・じゃ、鮭にして」
「へええ、めずらしいカメラ持ってますね。撮れるんですか?」
ビールやら焼酎やらをお昼から飲んでいたお客さんが話しかけてきた。
こういう店では、常連客同士がすぐに友達となる。わたしははじめてだったので、ちょっと遠慮がち。テキトーに、店内の様子を撮影させてもらった。
この方はそこで知り合いとなった、昭和13年生まれのKさん。あとでお尋ねしたら、立田野食堂も、昭和13年、祖父の時代に創業だという。
Kさんはとても人なつこく、「ちょっと写真とってもいいですか?」とお聞きしたら、即座にOKがもらえた。ご住所もメモさせてもらったので、あとでサービスプリントして、お送りすることを約束。
生まれが東京。戦災のため、母の出身地桐生へと転居し、ここで半生をすごすことになったのだ。ビールを飲んだあと、週2回ディサービスへ通っている老妻の食事やトイレの世話をやっていると、問わず語りに話してくれた。
大衆食堂のメニューはこんなもの。じつに質素で、ご主人が調理するが、素人の家庭料理である。
鮭はホクホクで脂がのって、とてもうまかったし、味噌汁も、見た目よりはるかにうまい(^-^)
コンビニ飯やファストフードには飽きあきしているから、これで700円は高いとはおもわない。
お礼をいってその食堂を出たが、あいにくたばこ切れ。
すると隣りの荒物屋さんの玄関わきに自動販売機が。
ところがお目当ての銘柄がない。
「奥さん、こういうたばこないですか?」
ヒョイと硝子戸を開けたら、ここもすごかった。
他の客が入ってきたので、お話をうかがうことはできなかったけれど、撮影許可だけもらって、数枚パチリ! うーん、こんな専門店が営業できているところが桐生なのだ*´∀`)ノ
女客は錆だらけのラシャ鋏をしめして、これを研ぎたいといっている。金物を売るだけでなく、研ぎもやっている。
そこを後にし、ストリートをぶらぶら歩いていたら、突然激しい驟雨。
やむなく廃業した店舗の庇で雨宿りしていた。すると、お向かいの正田米店のおやじさんが傘をもってきてくれた。
「ボロですが、よかったらお使いなさい」と。ブルーのビニール傘だった。
「クルマをすぐそこに止めたので、すぐにお返しにあがります。ありがとうございます」
「いえいえ。そんな傘、いくらでもあります。そのままお持ちなさい」
この日、桐生では皆さんにほんとうに親切にしていただいた。
そこを出て桐生動物園を回りはじめたところで、また雨。
あわててクルマまでもどり、やむをえず撮影を切りあげることにして旧市街を横切ろうとしたら、すさまじいゲリラ豪雨となった。
・・・というわけで、正味一時間と少しの短い撮影旅となってしまった。
うーん、また桐生へいくことになったら、立田野食堂へ立ち寄ってみよう。
「今度はクルマではなく、電車できて! あんたにビールを飲ませたいから」
Kさんにそういわれているし。
あっ、そうそう。ちょっと風変わりな立田野食堂の名のいわれを訊いたら「先代が相撲好きでしてね。むかし立田野部屋という部屋があって、そこの関取と昵懇で、以来使わせてもらっているんです」とのこと。
こういう街角には、小さなストーリーがうもれている。
面倒がらず、こちらから話しかける勇気さえあれば、わたしも物語の中の人になれるのである。
行方知れずだったポートラ160の220フィルムが、別なカメラバッグの底から出現したのだ(笑)。
しか~し、生憎のお天気。どんよりと曇っていて、パラパラ小雨が降ったりやんだりしていたから。
そうなると、空模様とのにらめっこ´Д` ウエストレベルファインダーは、ご承知のように、降雨にきわめて弱い。
錦町十字路界隈を撮ろうとうろうろしたが、駐車場が見つからない。どこもかしこも月極めばかり。雷電神社に入って、社務所で「桐生観光駐車場って看板見たのですが、どこでしょうか」と、そこのおばちゃんにお聞きしてみた。
「さあねぇ。一日止めるの? 一、二時間なら、あのへんだったら、止めてもいいですよ」
というわけで、神社の境内、奥まったところにクルマを止めることができた。街撮りではいつも、駐車場さがしに苦労する。ほとんどの道路は「駐禁」。いつかも、ガラガラだったお寺さんの駐車場に小一時間クルマをとめておき、住職に説教をくらった*´∀`)ノ
「このへんで老舗の大衆食堂ご存知ですか?」と、また社務所のおばちゃんに質問。
「さあ・・・ほとんど廃業してしまったからねぇ」
もう午後一時を過ぎていて、腹ぺこ。やむなく撮影しながら、街角の食堂をさがすことに。
そうしたら、30分ほどたったころ、「立田野食堂」を発見! 恐るおそるのれんをくぐった。
「今日はランチはもう終わりだよ」と断られることがある。
ところがここでは「なんでもOK」だという。
壁にずらりとメニューが書き出してある。
ビールを飲んでいるお客さんが、三、四人。睨んだ通り、昭和ロマンの香りただよう、ステキな食堂だった。そうそう、この雰囲気! 水槽には錦鯉がゆったりと泳いでいる。
「焼き魚は今日はなにがありますか」
「鮭と鱈」
「・・・じゃ、鮭にして」
「へええ、めずらしいカメラ持ってますね。撮れるんですか?」
ビールやら焼酎やらをお昼から飲んでいたお客さんが話しかけてきた。
こういう店では、常連客同士がすぐに友達となる。わたしははじめてだったので、ちょっと遠慮がち。テキトーに、店内の様子を撮影させてもらった。
この方はそこで知り合いとなった、昭和13年生まれのKさん。あとでお尋ねしたら、立田野食堂も、昭和13年、祖父の時代に創業だという。
Kさんはとても人なつこく、「ちょっと写真とってもいいですか?」とお聞きしたら、即座にOKがもらえた。ご住所もメモさせてもらったので、あとでサービスプリントして、お送りすることを約束。
生まれが東京。戦災のため、母の出身地桐生へと転居し、ここで半生をすごすことになったのだ。ビールを飲んだあと、週2回ディサービスへ通っている老妻の食事やトイレの世話をやっていると、問わず語りに話してくれた。
大衆食堂のメニューはこんなもの。じつに質素で、ご主人が調理するが、素人の家庭料理である。
鮭はホクホクで脂がのって、とてもうまかったし、味噌汁も、見た目よりはるかにうまい(^-^)
コンビニ飯やファストフードには飽きあきしているから、これで700円は高いとはおもわない。
お礼をいってその食堂を出たが、あいにくたばこ切れ。
すると隣りの荒物屋さんの玄関わきに自動販売機が。
ところがお目当ての銘柄がない。
「奥さん、こういうたばこないですか?」
ヒョイと硝子戸を開けたら、ここもすごかった。
他の客が入ってきたので、お話をうかがうことはできなかったけれど、撮影許可だけもらって、数枚パチリ! うーん、こんな専門店が営業できているところが桐生なのだ*´∀`)ノ
女客は錆だらけのラシャ鋏をしめして、これを研ぎたいといっている。金物を売るだけでなく、研ぎもやっている。
そこを後にし、ストリートをぶらぶら歩いていたら、突然激しい驟雨。
やむなく廃業した店舗の庇で雨宿りしていた。すると、お向かいの正田米店のおやじさんが傘をもってきてくれた。
「ボロですが、よかったらお使いなさい」と。ブルーのビニール傘だった。
「クルマをすぐそこに止めたので、すぐにお返しにあがります。ありがとうございます」
「いえいえ。そんな傘、いくらでもあります。そのままお持ちなさい」
この日、桐生では皆さんにほんとうに親切にしていただいた。
そこを出て桐生動物園を回りはじめたところで、また雨。
あわててクルマまでもどり、やむをえず撮影を切りあげることにして旧市街を横切ろうとしたら、すさまじいゲリラ豪雨となった。
・・・というわけで、正味一時間と少しの短い撮影旅となってしまった。
うーん、また桐生へいくことになったら、立田野食堂へ立ち寄ってみよう。
「今度はクルマではなく、電車できて! あんたにビールを飲ませたいから」
Kさんにそういわれているし。
あっ、そうそう。ちょっと風変わりな立田野食堂の名のいわれを訊いたら「先代が相撲好きでしてね。むかし立田野部屋という部屋があって、そこの関取と昵懇で、以来使わせてもらっているんです」とのこと。
こういう街角には、小さなストーリーがうもれている。
面倒がらず、こちらから話しかける勇気さえあれば、わたしも物語の中の人になれるのである。