ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

かもしれない・・

2016-02-03 18:00:08 | 日記
 3年前に日本語教師の資格を取って、外国人に日本語を教え始めた。
 面白いエピソードがたくさんあるのだが、残念ながらここに全部は書けない。
 たとえば、初っ端から、
「日本に忍者はいますか?」と聞いてきた中国人のMさん。彼はまた、
「燃えるゴミと燃やせるゴミ、どうちがいますか?」ともきいてきた。
 自動詞と他動詞の違い、という説明はビギナーの彼には早すぎるので、とりあえず、
「同じです」とだけいっておいた。

 つい先日、オランダ人のHさんがこう尋ねた。
「日本人は《かもしれない》とよくいいますが、それはどういう意味ですか?」
 Hさんは、日本に2年住んでいるので日本語はかなりできる。「かもしれない」の意味も分かってはいる。
 それでも、周囲の日本人たちが会話の端々に「かもしれない」を連発するので、それはなぜなのかと聞いてきたのである。

 May be…
 と同じかというと、そうともいえない。
 たとえば、明日の親睦会に参加するかどうか尋ねると、
「行くかもしれない」という答えがかえってくる。

 行くのか、行かないのか?

 オランダ人なら、答えは「行く」か「行かない」かのどちらかだ。まだ決めていないなら、「まだ決めていない」と答える。

「行くかもしれない…」

 そこには、行くか行かないかまだ決めていない、というよりも、むしろあまり行きたくない、あるいは行ける状況ではないのだが、気分次第では、あるいは状況によっては、行くことになるかもしれず、あるいは、やっぱり行かないかもしれない…
という曖昧なニュアンスが隠されている。
この曖昧さがよくわからない、どう判断すればいいか戸惑う、というのだ。

行くのか、行かないのか、どっちやねん?



 彼女はまた「大丈夫」の意味がよくわからないという。
 たとえば、
“Are you OK?”
の意味での「大丈夫」ならわかる。
「あなた、顔色悪いけど、大丈夫?」という時の「大丈夫」だ。

でも、たとえば、
「お水いりますか?」ときくと「大丈夫です」という答えが返ってくることがあるけど、それは「いる」のか「いらない」のか? 一体何が「大丈夫」なのか? そして、なぜ「いる」か「いらない」か、はっきり答えないのか、ときいてきたのである。

 その「大丈夫」はたぶん「今は喉が渇いていないので、水を飲まなくても、私の体は大丈夫なので、いりません。」というような意味だろうと答えておいたのだが、いぶかしげな顔をしていた。

 質問に対して曖昧な答え方をするのは、何も日本語に限らないのだが、特に日本語には、曖昧な受け答えが多いので、外国人を悩ませているようである。
 
 来週から、Hさんのレッスンは、使役動詞に入る。
「子どもを学校に行かせる」の「行かせる」が使役動詞。
その後、敬語が続く。一番難しいところである。
「させていただきます」なんていう表現を、どう説明すればわかってもらえるだろうか…
 しかも、何にでも「させていただきます」という言葉使いが、最近増えてきた気がする。

「こちらにご用意させていただきました」
「今回、担当させていただきます○○と申します」
「マイバッグ値引きで2円引かせていただきます」
「来年から消費税、上げさせていただきます…」




 今日捨てたいもの。
「させていただきます」言葉
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