ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

カイロ・タイム~異邦人~

2019-02-01 11:01:05 | 映画


(これは2017年7月21日の記事です)

猛暑の夏を避けてどこかに行きたいけど、夏休みはどこも高くていけない、というあなた。
この映画をみてエジプト旅行をしてみてはいかがでしょうか?

「カイロ・タイム~異邦人~」

ルバ・ナッダ監督作品。「手紙は憶えている」のアトム・エゴヤン監督が原案協力。パトリシア・クラークソン(「エデンより彼方に」「エイプリルの七面鳥」)主演。カナダ・アイルランド制作。

海外旅行をあまりしない人たちにとっても、ヨーロッパやアメリカなら、どんな感じか大体わかりますね。中南米も、キューバの音楽やリオのカーニバルなどで、なんとなくこんな雰囲気というのはわかります。でも、中東はまだ日本人にとって未知の世界ではないでしょうか。

エジプトのカイロの街がこんなにも絢爛豪華で人々の熱気に溢れ、歴史を感じさせる街だったとは・・
世界は広いのに、私は何にも知らなかったんだなあ。

行ってみたーい、と思う一方で、こんな街に飲み込まれたら生きて帰れないだろうなあとも思う。

それほど、歴史も文化も人々も空気も何もかもが違う。エキゾチックという言葉では表しきれない重厚な歴史と濃密な空気を感じさせる街です。

映画のストーリーは大体こんな感じ。
ジュリエット(アメリカ人50歳前後)はカイロで夫と休暇を過ごす予定でしたが、夫は空港に現れない。彼は国連の職員で、ガザでトラブルがあって足止めされていたのでした。
ジュリエットは一人カイロの街をぶらつきますが、男たちがついてきたりと安全とはいえない。
そこで、夫の部下で空港に彼女を出迎えてくれたエジプト人のタレクに街の案内を頼みます。

二人でナイル川クルーズをしたり、砂漠を歩いたり、ピラミッドに登ったり・・
いつしかジュリエットはタレクに惹かれていき、タレクもまたジュリエットに惹かれていきます。
ところが、待てど暮らせど現れなかった夫が、二人の間が親密になりかけたその時にホテルに到着・・

この映画、はっきり言ってストーリーはどうでもいい。観光映画だと思って見たほうがいいです。

ジュリエットとタレクの恋愛は、夫一筋できたミドルエイジの女性の心の隙間にふと差し込んだ一条の光と影。でも、結局、彼女は夫を捨てる気なんてさらさらない。

往年のキャサリーン・ヘップバーン主演映画「旅情」を彷彿とさせます。

「旅情」の舞台はベニスでした。ひと夏の淡い恋の思い出。

「カイロ・タイム」もひと時の淡い中年の恋の思い出。

でもねえ、
彼女の夫は国連に勤めていて、カイロで一人ぼっちになってもタレクのような案内人がいて、アメリカ人で美人で・・とくればもう我々とは桁違いのセレブ。
どう転がっても、私が一人でカイロに行ったら生きては帰れないだろうなあ・・ということを実感させられた映画でもあります。

カイロはそういう街でもあるわけです。

映画ブログを散見すると、カイロを知っている人にとってはイマイチな映画であるらしい。エジプトならもっと観光の目玉があるはず。カイロの街だって、もっと素敵な場所がいっぱいある、と書かれていますが、エジプトを全く知らない私にとっては、

エジプトって、カイロって、すごい! 行ってみたーい!

という映画なのでした。

そして、世界にはまだまだ私の知らない国や街があり、そういうところで人々は日々暮らしながら歴史を紡いでいるのだなあ。
ああ、行ってみたいなあ。世界の果てまで行ってみたい・・
という気にさせてくれる映画でもありました。

副題にあるように、ジュリエットは「異邦人」。そして、エジプトは異邦人を安易に受け入れない厳しい国でもあるようです。

砂漠の中で生き抜いてきた人々の厳しさ、そして独特の人生観や楽しみなど、西欧の文化とは一味も二味も違う文化が根付いている様子が伺えます。

異邦人が介入する余地はない、介入してはいけないのだ、と強く感じさせられる映画でもありました。

猛暑を忘れて異国情緒を楽しむにはもってこいの映画です。旅費もかからないしね。

今、Amazonプライムで(タダで)見られます。
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