ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

旅の窓 by 沢木耕太郎

2016-04-14 11:41:45 | 旅行
本屋の店頭で見つけました。

「旅の窓」(幻冬舎文庫)

久しぶりの沢木耕太郎です。
「深夜特急」を読んで、我が息子もバックパックで海外旅行に出かけていき、
今はニュージーランドに住んでいます。

「深夜特急」を読んで旅に出た若者はたくさんいます。
それでも、まだまだ海外に行く日本人は多くないようです。

沢木耕太郎は世界じゅうを旅したのだなあ。
なんてうらやましい人生だろう!
生まれ変わることができたなら、私は絶対男に生まれて、世界じゅうを旅して歩くのだ!
そう決めています。

この本を読んでいると、もうどこかに行きたくてうずうずしてきちゃいます。

左ページが写真で、右ページに写真の解説が、というか写真を撮ったときの状況が書かれています。
短い文章だけど、さすがに沢木耕太郎、情景が目に浮かび、たった数行読んだだけなのに、
私もその場にいたような臨場感を味わうことができます。

ベトナムの男の子の話から、ポルトガルの海辺へ、さらに中国の福建省厦門へと、
ページを繰るたびに、違う国の違う風景が、違う情景が、違う人物たちが描かれていきます。
ハワイからスペインへ、また、ロンドンからキューバへと、
自在に世界を行き来し、時間を行き来します。

風景も人物も、写真に写り込んだ一瞬を彼と共有し、
そしてまた、
彼らはふたたび自身の人生に戻っていきます。
そして、
旅人は旅を続けます。

思いがけない偶然や、思いがけない風景や、思いがけない人物と出会い、
たった一度きりの邂逅に思いをはせ、
写真に写りこんだ人物たちの、越し方行く末に思いをはせます。

「深夜特急」の時代から見ると、沢木耕太郎も年をとり、
少しだけ感傷的になっているかもしれません。
でも、年を重ねるということはそういうことだと、
私も知っています。

でも、彼と私が決定的に違うのは、
彼はもう飛行機を見ても胸がうずかない。
そのかわり、沖を行く船を見たとき、久しぶりで胸がうずいたといいます。

 「いまの私には、飛行機より船のほうが(ここではないどこか)へのあこがれを引き出してくれるということなのだろう・・」(p86)

私は今でも飛行機を見ると胸がうずきます。
行ったことのない場所、見たことのない景色、会ったことのない人たちに、
会いにいきたくて、うずうずしてきます。

ああ、世界じゅうを旅したい!!
だから、これからも、ずっと、
飛行機を見ると胸がうずくことだろうと思います。
そして、今でも胸のうずくことがあるということは、
なんて幸せなことだろうと思います。
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