ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

ブロークバック・マウンテン

2017-01-24 13:15:41 | 映画


Huluでやっていたのでまた見ちゃいました(三度目くらい)。
大好きな映画です!
ゲイの映画だと言われていますが、これはゲイかどうかに関係なく、純粋なラブストーリーですね。
(2005年公開。アン・リー監督作品)


(以下ネタバレです)
1963年、ワイオミング州のブロークバック・マウンテンの山で羊の放牧をするために、二人の若者が雇われます。ジャックとイニス。二人は夏の間じゅう山で過ごすうちに、いつしか恋愛関係へと発展していきます。

  俺はゲイじゃない・・
  俺もだ。

と言いつつ、二人はまるで子どものようにはしゃぎながら、寄り添いながら、山での過酷な労働を続けますが、放牧の時期が終わり山を下りて、それぞれの生活に戻っていきます。

1963年といえば、まだゲイが公に認められていない時代。イニスは子どもの頃、父親から戒めとして、ゲイであるが故に惨殺された男の死体を見せられ、それがトラウマになっていました。

イニスは婚約者と結婚、ジャックもやがて恋人ができて結婚し、それぞれ家庭を築き、子どもも生まれますが、二人ともブロークバック・マウンテンでのひと夏のことが忘れられない。

ジャックがイニスを訪ねたことから、再び二人の関係は復活し、妻には内緒で魚釣りに行くといっては山で二人だけの時間を過ごすようになります。でも、二人はそれでは満足できない。

イニスの妻に彼らのことがバレてイニスは離婚します。
ジャックはイニスに、二人で農場をやらないかと持ちかけますが、イニスは子どもたちの養育費を支払うために雇われ仕事をやめられず、休みもなかなか取れない。

そうしていつしか20年の時がたちます。
二人も少し年を取り、それでも互いを求める情熱は若い頃と変わりなく、できれば一緒に暮らしたいと思いつづけます。

そんなある日、イニスが出したジャックあてのハガキに「宛先人死亡」というスタンプが押されて戻ってきます。

ジャックの妻に電話して尋ねると、車の事故で亡くなったと言われますが、イニスは、ジャックがゲイであることがバレて滅多打ちされて死んだのではないかと思います。

イニスはジャックの実家を訪ねますが、ジャックの父親は保守的な人物でジャックがゲイであることを認めようとはしません。

イニスはジャックのシャツをもらいうけ、自宅であるキャンピングカーのクローゼットにジャックのシャツをかけて、

  ジャック、永遠に一緒だ。
  (英語では、Jack,I swear…)

というのですね。

最後は涙なくしては見られません。

イニスを演じたのが、ヒース・レジャー。若くして亡くなった才能ある俳優です。ジャック役はジェイク・ギレンホール。二人ともまだとても若い。

大きな事件もアクションもありません。全体に淡々と静かに物語が進行していきます。
二人の気持ちの行き違い、それでも互いを求め続ける気持が本当に痛々しい。
この時代にゲイであることは、どれほどの重荷だったことか。

それでも、この映画は、ゲイだけではなく全ての愛に通じる普遍性を持った物語だといえるでしょう。

愛する人とめぐり逢うことの幸せ・・
(この一点だけでも、人生ではなかなか叶えられない望みです)

でも、その人と共に人生を歩むことのできない不幸、
そして、二人の関係を隠し通さねばならない不幸・・

けれどもだからこそ短い逢瀬を大切に生きる二人。

何より、彼らの背景にあるブロークバックマウンテンの山と自然の美しさが際立ちます。
本当に美しい風景です。
大自然の中で、自分の気持ちと向き合い、ただただシンプルに、正直に生きようとした人たちの美しさと哀しさが胸を打ちます。

そして、彼らを追いやるアメリカ社会の不寛容さ、マイノリティー差別の過酷さ。

今、アメリカは新しい大統領を迎えて、大きな転換期を迎えているようですが、
更なる悲劇を生むことがないよう、アメリカ社会が寛容さを失うことがないよう祈らずにはいられません。

一方、日本を振り返ってみると、まだまだこの映画の時代のような空気が(表面には出てこないけれど)色濃く残っているようです。
一方、フィリピンはゲイには寛容な社会で、英語学校でもゲイの先生たちを多数見かけました。日本はフィリピンよりかなり遅れていると思います。

「ブロークバック・マウンテン」
未見の人はぜひ。
お勧めの映画です!
コメント
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