夕空百景/沈まぬ太陽

2009-12-02 | ◆空と映画とスタジアムと…


これは見る人の世代や社会経験で、
見方は大きく変わってくると思いますが、
個人的には「何で今頃映画化?」の一言に尽きます。

原作は企業の利権争いに関わる、
裏社会を暴くのがテーマになっていると思うのですが、
それだけなら、もう小説になった時点で役割を終えている訳で、
同じテーマのまま10年以上も経った今頃映画にされても、
現実はもう毎日ニュースになっているような有様ですから…
これはもう完全に賞味期限切れのモノを食わされている気分で、
後味の悪さばかりが残ってしまいました。

昭和の末期なんて、田中角栄に代表されるように土地ころがしや、
ロッキード等利権に群がる裏話は年中週刊誌・
TVニュースネタになって知らされていたわけだし、
社会に出て仕事をするようになれば、細かな理不尽や矛盾は、
自分の身の回りでもいくらでも遭遇するようになるわけで、
今更、過去の企業や社会の不純さだけを映画で
見せられても…?という気分でした。

こんな映画を観ているより、
先日終わった民主党の事業仕分けを見ていた方が、
余程おもしろい(今ある現実のずるさに怒りを感じる)ですけどね。

ストーリーは国民航空という明らかにJALをモデルにした企業の中で、
愛社精神に満ちた社員恩地(渡辺謙)を主人公として、
国民航空の組織闘争・利権争いを描いていくんですが
恩地は結局最後まで組織に振り回され続け、
最後に見つけた心の拠り所が左遷で飛ばされた(企業の意思)、
アフリカの大地ってちょっと悲しくないですか?
組織の中に居る限りは、ささやかな幸せも結局は
企業の手のひらの上で転がされているだけみたい??

恩地の人間性と利権・合理主義に走る人々を対比させて、
人間こうありたいと感銘を受けた人も少なくないとは思いますが、
なんだかこの対比や顛末に、この設定・状況との
噛み合わせの悪さを感じたのは僕だけでしょうか?
企業人の儚さと企業内の組織闘争って、どちらかにテーマを
絞らないと共倒れって感じがしますが… どうなんでしょう?
それに御巣鷹山の事故が絡んでくるから、
もうテーマはぐちゃぐちゃ。
長編小説をコンパクトに映像でなぞった故の苦しさ、
破綻が、モロに出ちゃった気がします。

最初にも書きましたが、若い人には、今まさに空中分解しそうな
JAL(NAL)の諸悪の根源を見られる訳で、
それはそれで良いかもしれないが、僕らの世代になると、
やっぱり「何を今さら」と思ってしまいますね。
現実はもっと摩訶不思議だろうし、
小説よりどんどん先に行っているわけで…

長い割には眠くならず観終えましたが、
最後まで何を伝えたかったのかが分かりませんでした。

オマケ
今のJALのロゴのAの字の上に乗るJって刀に見えませんか?
国民の血税バカバカ使うんだったら、
今まで散々JALを喰いモンにしてきた奴ら、
出てきて腹切ってくれ(爆)。


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