人生をいづれ引退する時の訪ふまで老ひを楽しみ生きむ
君が代を式の度ごと悪党ら歌はせねらふ再びの道
本来の意味をば越えて<アドレス>とナニゲに使ふわが六十路かな
見沼なる代用水の西縁(にしべり)にキツネノカミソリ群れ咲く夏よ
湯を保つたかが壜にぞ魔法とて形容なせしこころを偲ぶ
24日は、吾妹の引越しをいよいよ翌日に控え、3階の彼女の仕事部屋と1階の納戸に積まれていた僕の書籍類のダンボールの最後の整理に、汗みどろになった。
それがようやく終って、夕方から深夜まで、彼女のマンションで食器類の梱包を手伝った。
二人とも陶磁器が好きなので、あとに住む彼女の息子たちに必要なものを残しても、その数はまあ尋常ではない。
25日。
前夜の時ならぬ雷雨も去って、引越し日和に恵まれた。
荷物の運搬はもちろん業者に任せたが、問題は吾妹の18歳か19歳のハルを先頭にした、クー・ビビ・レオ4匹の愛猫である。
荷物の運搬が一段落したところで、4匹の移送を決行した。
歩いても10分ほどの距離である。
吾妹と僕が各々2匹づつ、リュックやバッグに入れて運んだ。
意外にハルだけは大人しかったが、他の3匹は移動中ずっとニャーニャー啼き続けた。
新居で解放したものの、4匹ともパニック状態で、物陰や椅子の下に隠れて固まってしまった。
ハルに至っては、僕たちや他の猫たちがちょっと近づくだけで毛を逆立てて威嚇する始末。
親しいKさんとHさんカップルが応援に来てくれ、吾妹の仕事部屋はすぐにも仕事ができるようになった。
夕飯は、根津のおいしいビストロ風居酒屋にみんなで出かけた。
帰ってみると、猫たちもようやく新居に慣れ、最年長のハルを先頭に4階までの階段をやっと上り下り始めた。
ほっとする。
そして、今日。
好天である。
猫たちもすっかり慣れてきた。
老猫ハルが依然として最も元気溌剌、縦横無尽に4階を行き来して頼もしい。
前期高齢者の僕も、吾妹と4匹の猫たちを迎え、いささかもうろたえるところはない。
それに、猫たちとは、これまでに越えられなかった壁を今日一日であっさりと越え、急速に親密な関係になってしまった。
もちろん、吾妹とは越える壁はもはやない(と思う…)。
夕方、走った。
引越し疲れがないわけではない。
調子は可もなく不可もなく、である。
ゆっくりゆっくり、調子を見ながら走った。
気温も下がり、湿度も高くない。
徐々に調子が上がり、終ってみれば爽快な10キロであった。
新生活の門出を祝う10キロ、だったのかもしれない。