夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

JR東日本の新幹線ストップは処理能力の超過

2011年01月20日 | 社会問題
 システムは15年前の物だった。当時としては最先端の能力を持ったシステムだったのだろう。だから十分に余裕はあった。でも、15年と言う年月がどれほどの技術の進歩をもたらしているかを考えようとしなかった。技術の面だけではない。列車の本数が4割も増えている。半分近くも増えているのに、それに対しての認識が甘かった。
 東京新聞の記事の 「解説」 は、「新幹線の頭脳ともいえる運行管理システムの処理能力の不足、システム改善を先送りしてきた同社の経営判断、そしてシステム担当者と現場の意思疎通の不足。それらが重なって起きた」 と書いている。
 でも、これって、何かが起きるといつもそうなのではないか。特に 「システム改善を先送りにしてきた」 のが根本的な原因のはずである。それは今に始まった事ではない。あのJR西日本の尼崎脱線事故の時も、安全運行を先送りにしてきた結果の事故だった。その事は天下の知る所となった。何しろ、安全運行は鉄道の管理部門にはなく、経営部門の管轄だったのである。経営、つまりは利益が先行するから、安全面などはどうしたって先送りになる。
 そして、その事はJR西日本に限っては全国で初めて、鉄道の管理部門に移した事で一歩前進したのだが、当時の新聞によれば、それはあくまでもJR西日本一社だけの事だった。その後、他のJR各社がどのように対処しているかは分からない。
 しかし、このJR東日本の基本的態度を見る限りでは、基本的なシステムさえ先送りなのだから、ましてや安全面などとても信用が置けない。

 それにしても不思議だ。システムの処理能力は急激に超過に陥ったのだろうか。運行本数は徐々に増えている。だから処理能力もそれに従って加重になっているはずではないのか。我々のパソンコはそうだ。データやソフトが増えて行くに従って、徐々に処理能力が遅くなる。だから毎日使っていれば嫌でも気が付く。そこでメモリーを増やしたり、ハードディスクをより高性能の物に取り替えたり、最も重要なCPUを更に高機能の物に取り替えたりと、色々と考えている。
 更には万一の事を考えて、私はウインドウズとマックの二種を使っているが、それぞれ予備機を持っている。ほとんど利益を生まない仕事に使っているのに、そうした防備をしていると言うのに、利益追求を主な目的としているJRが全くの無防備とは驚く。莫大な利益を挙げているのだから、システムの構築にもっとカネを掛けるべきなのである。
 公共事業は、ほとんど利益が無くても構わないとさえ私は思っている。いつも言う事だが、利益はその事業が支障無く前進する程度で良い、と思っている。余った利益は設備の改善にどんどん使ったら良い。もちろん、利用料金の値下げもそこに入る。大体、利益が有り余ると言うのが納得出来ない。
 JRは元々は国民の税金で出来ている。それを民間会社にして利益を生むと言うのなら、その利益の大半は国民の物ではないのか。

 どこでも誰でも同じだと思うが、みなさん、仕事に熱心になると、自分の仕事の事しか見えなくなる。自分の仕事が社会の中でどのような位置を占め、どのように社会の役に立っているのかを考えようとしなくなる。それが「解説」も言う「意思疎通の不足」の原因にもなる。
 自分の仕事の事だけを考えると言うのも大切な事だ。と言うよりも、我々には普通は自分の仕事の事で精一杯である。だからこそ、全体を見通せる立場の人間が必要なのだ。それが企業の経営者ではないのか。その経営者が、今度は自分のその 「経営」 の仕事に全力を尽くしていない。
 ホント、経営者って一体何なのですか。町の小さな工場の経営者の方が、技術も理念ももっとずっと立派で、だから世界で最も有名な会社にもなっているのである。