壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『いかにして問題をとくか』(G・ポリア著)

2012年05月16日 | よむ

『いかにして問題をとくか』(G・ポリア著)を読みました。高等教育での数学指導書の古典です。

なぜ、こんな本を手にしたか。ある中堅大学(文系)が入学者に配る、「これから大学で学ぶ方へ」的な冊子で、紹介されていたからです。この冊子には、野ざらしの煙突に、雨が入ってきてしまう。それを防ぐには、どんな方法があるか、という問題が載っていました。

(1)屋根を付ける(→排気効率が落ちる)、(2)煙突内に逆漏斗状の弁を取り付ける(→排気効率が落ちる)、(3)……。といった感じで解決策の候補を網羅的に出す、樹形図に整理、比較検討……、そんな研究の方法が説明されていました。

さて、同書からは、たくさん発見を得ましたが、2つだけ。

1)逆向きに解く。


   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(延々続く) ̄ ̄ ̄(檻)
   |
エサ|動物                          この面は開放 
   |
   |________________(延々続く)__ (檻)


こういう俯瞰図にいるとき、犬はどういう行動をするか? 猿はどうか? ニワトリは? 目的に対して前に進むのでなく、いったん後へ戻る。そういう解法が、社会科学でなく、数学でも、有効な場合がある、というのです。

人間の論理的思考も、前進に慣れている。なかなか逆算という行動は取りづらいですね。

同書には、こんな問題が出ていました。四角柱のカップで、9dlと4dlのものが大小2つある。目盛りはない。この2つだけ使って、6dlの水を取り出せ。

パズルのようなもの。牛乳パックを切って作ったカップで、お風呂で試行錯誤してください。ヒントは「逆向きに解く」です。(なお、トンチでも解けます)

2)無意識の仕事。
どうしてもヒラメかないときは、とっとと寝よう。寝ている間に無意識が働き、いずれヒラメく、というのです。セレンディピティです。同書には「枕に相談せよ」との古い諺が紹介されていました。うまいこと言いますね。

なお、煙突内への降雨防止策は、同書に記載なしでした。社会科学やビジネスに直結する問題解決法を求めて読んだのですが、純粋に「高等数学」の指導法の本でした。なので、読者は限られるのに、初版昭和29年という古い本が、なぜか売れているようです。なぜでしょう?

では、おやすみなさい。



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