壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『天空の蜂』(東野圭吾著)読後記

2014年07月06日 | よむ

『天空の蜂』(東野圭吾著)を読みました。

以下、オビより。
(自衛隊の依頼を受け、国内の重工メーカーが大型ヘリを作る。その引き渡し式当日)、奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、稼働中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。そしてヘリの燃料が尽きるとき…。驚愕のクライシス、圧倒的な緊迫感で魅了する傑作サスペンス。

発行は、1月に阪神淡路大震災があった1995年の12月です。もちろん東日本大震災の前です。いま、この小説の映画化が進められていると新聞で知り、へ~と思い、手に取りました。

テロリストはつかまると、殺人罪になるのか?
政府が「原発は絶対安全。爆発しない。人体に危害はない」と言ってるんだから、
たとえヘリが原発に落ちて死者が出ても、殺人罪にはならない。
政府が「安全」と保証してるんだから。
このような理屈で、警察がテロリストの愛人に真実を喋るよう迫る場面があります。
すごいブラックジョークですね。

テロリストは、元自衛官で、その後は、原発の清掃を請け負う会社で
清掃員をしていました。警察は犯人をあぶり出し、追いますが、
自衛隊も、独自に調査し、犯人に迫る。
自衛隊の人が、真実を察しつつある重工の社員に言います。
「佐竹のことは決して口外なさらないように。警察にもです。彼については、我々も調査しています」
一般市民から見ると、自衛隊も警察も「市民を守ってくれるもの」です。
それが、じつは権力の二重構造で、互いにけん制し合っている。
警察内でも、刑事課と公安課は仲が悪いとか、○○県警と隣接県の県警は仲が悪いとか、ありますよね。ライバル同士切磋琢磨し合うのはいいが、そっちに一所懸命で、市民を守ることがおざなりにならないか。しっかりしてほしいものです。

小説中で、テレビはヘリや原発の様子を報じるが、核心部分は映さないんです。
テレビの影響について、福井県警の同僚同士が話します。
「いまの世の中、テレビの力は大きいからな。阪神大震災のものすごさをいくら口で表現しようと思ても、高速道路が倒壊した映像にはかなわん。逆に言うと、テレビで流しさえせえへんかったら、後でなんとでもごまかしようがあるということや。大惨事になったら、さすがに隠すのは無理やろうけど、原発がちょっとおかしなことになった程度のことやったら、国としては公表したくはないやろな」
「インチキじゃないですか」
「さあ、どうかな。ふだん原発のことなんか考えたことのない国民には、下手に余計なことを教えんほうがええかもしれんぞ。わしが総理大臣でも、そうするかもしれんな」
「年寄りの知恵ってやつですか」
「まあそう怒るな。万一の時に大パニックになったとしたら、苦労するのはわしら警察の者なんやからな」

自分はバカと自覚してるけど、人からバカにされると、腹が立ちます。
市民は思慮がない、騒ぎ立てる、パニックになる、と思われちゃってる。
もっと自立した市民いならないとダメだな、と思います。

この小説は、福島の原発事故を予言したような内容だし、今後は映画化もされます。興味深い内容でした。エンタメとしても一気に読ませる面白さもあります。皆さんも、ぜひ。



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1 コメント

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Unknown (会社員(30))
2014-07-07 13:12:58
バカだと自覚してるのに反省しないから余計バカなのではないですか、森田義雄くん?

こんな風に。
http://blog.goo.ne.jp/nakayoshi_2009/e/c1abab48e9faac5c87c0f28df4cd2786
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