まさに沈まんとする難破船。そして、荒波に漂う救命ボート。
救命ボートには定員いっぱいの10名が乗っている。
海中から手を伸ばし、必死に取りすがろうとする太郎。
ボート内から手を伸ばし助けようとする正男。
ボート内には母船の船長・権太も乗っていた。
権太は練達の航海士ではあるが、冷徹な人だった。
その権太が正男に怒鳴る。
「何しているんだ。ええい、振りほどいてしまえ」
さて問題です。正男はどうしたでしょう。
いや、どうすべきでしょう。あなたが正男なら?
(1) 太郎を見捨てる。
(2) 太郎を引き上げ、自分は海に飛び込む。
普通は(1)か(2)しか思い浮かばない。
真面目な人ほど悩み苦しむ。
が、世の中は二択ではない。第三の選択肢がある。
(3) 権太を突き落とす(太郎も自分も助かり、定員10名は維持できる)
以上は『倫理問題101問』(マーティン・コーエン)と
いう本に紹介されていた問題。やや改変しています。
が、(1)(2)(3)いずれの選択をしたにせよ、
救命ボートがその後の漂流生活を乗り切れるかは分からない。
とくに(3)の場合は、練達のリーダーを欠いたがゆえ、
長い漂流中に難破し、全員が死んでしまうかもしれない。
でも、船長がいたとしても、漂流を乗り切れるかどうか分からない。
結果論でしかない。
第4の選択もあります。
(4) 太郎を引き上げ、船長も突き落とさない
(定員10を超過するが、それも良しとする)
そもそも定員10なんて誰が何を基準に決めたのか?
常識を疑え、です。
5人乗りの乗用車には、6人でも7人でも乗れる。
実際は少々定員をオーバーしても車は走る。
この場合、救命ボートに15名でも20名でも乗せていい。
ただ、転覆したら元の木阿弥です。
その判断をどうするか?
あなたが正男なら、どうしますか?
フォロアーシップが問われている。
あなたが権太なら、漂流生活をどう乗り切りますか?
リーダーシップが問われている。
そして、コロナウイルス禍のいま、
宇宙船地球号の定員はいかほどか?
どこへ向かうのか?
船長はどう行動し、乗組員に指示するのか?
乗組員はどう考え、行動するのか?
あんまり考えると、袋小路に入ってしまう。
考えるのはもう止めよう。
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