壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

暗闇 ダイアローグ・イン・ザ・ダーク

2010年10月01日 | 見聞きしたこと
先日、東京・神宮前のあるビルの地下に行ってきました。そこは「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」の施設。直訳すると「闇の中での対話」です。

何をするかというと、光が全くない真っ暗な空間に、7~8人のグループで入り、日常生活を体験するというもの。目隠しでなく、100%ナマ暗闇というのがミソで、視覚障がい者の感覚を疑似体験できます。視覚が一切利かないとなると、聴覚や触覚(手触り)などが研ぎ澄まされます。

歩く、食べる。そんな日常の動作も視覚ナシではままなりません。何かするには、声を出し合う、触れ合う、ということが必須となります。仲間で入ると一体感が高まります。当日知り合った者同士は、まさに「世の中は助け、助けられなのだ」と実感できます。

ドイツの哲学者が発案した一種のセラピーで、日本でも10年ほど前から実施されていましたが、不定期でした。昨春から、神宮前に常設施設を構えています。

ある本で企業家の方のコメントを読みました。「コーポレート・アイデンティティ(CI)はどうする、ロゴマークはどうする、とブランド価値を上げるのに躍起になっているが、それらは視覚に関すること。なんと狭い世界で議論していたことか」(←要約)と。この会社は四国・今治のタオルメーカー。そして、一切、視覚を排除し、視覚障がい者の協力を得て、肌触りだけを頼りに商品開発に乗り出したそうです。

「この部分は固い。気持ちよくない」――。開発に携わった視覚障がい者の素朴な感想です。確かにタオルの短辺の両端は固いですね。我々は、生まれたときから、そういうタオルを使っているから、それが当たり前と思って、疑わないけど、視点を変えれば新たな発見はいっぱいあります。

ダイアローグ・イン・ザ・ダークは、世界中で実践されています。約束は3つ。(1)完全ナマ暗闇で実施すること、(2)複数人で入りコミュニケーションを取ること、(3)視覚障がい者がアテンド(案内)として付くこと。

真っ暗な中で行動する不安……。その不安を、「暗闇のプロ」である視覚障がい者が案内し、解消してくれます。どれだけ安心を感じられることか。ここでは、健常者と視覚障害者の日常の立場が逆転します。

この日は取材で訪れたので、体験者に話を聞く程度でしたが、ぜひ自らも体験したいと思いました。


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1 コメント

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Unknown (ぐるぐる)
2010-10-01 18:04:48
4ブロック目、「セラピー」より「エンターテイメント」が相応しいです。
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