壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『病院ビジネスの闇』(NHK取材班)読後記

2013年01月15日 | よむ

『病院ビジネスの闇』を読了しました。やはり第2章以降に、大和郡山のY病院以外にも不正がはびこっている様子が取材、レポートされていました。

第2章は、行路病院ネットワーク。行路とは行き倒れの意味。この場合、生活保護受給者です。そういう人を人を受け入れるとは見上げた病院だ、と思うでしょ。そうでない。検査や治療漬けにして、保険からまるまるお金を取る。もう検査や治療が尽きたら、別の病院の同様の患者とトレードする。

で、新しい患者が来たら、新しい病名を付けて、またゼロから検査、治療を重ねる。レセプトのチェックが1か月ごとに、横並びで行われる。特定の一人を時系列で調べることはしない。だから、病院を変わり、病名が変わると、不正に気付かないのだとか。

Y病院が患者をトレードしていた病院は、70院にも膨れています。

取材陣は、医療コンサルなど、いかがわしい人物に次々接触します。コトリバス、寝たきりアパートなどなど、恐ろしい実態が次々と紹介されていました。コトリバスとは、乞食を取るバス。街を巡回して乞食を乗せて病院へ。Y病院が入院なら、こちらは外来を利用した不正診療、不正診療報酬詐欺です。

ぼくが読んだのは新書版です。新書版のあとがきの最後に書かれていました。「単行本化から2年がたった。我々が世に問い、その後、実態は変わっただろうか。医療関係者は、手口が変わっただけで、実態は変わらない、と口をそろえる。」(要旨)

少子高齢化する日本。こうした事態は酷くなりこそすれ、改善されることは期待できないのでしょうか?