壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『病院ビジネスの闇』(NHK取材班)を読み始めた

2013年01月11日 | よむ

『病院ビジネスの闇』(NHK取材班)を読み始めました。2009年に発覚した、奈良県大和郡山市での病院での、診療報酬の不正請求詐欺、業務上過失致死事件です。最初にニュースで見たときは、驚きました。

同書にはY病院と記してある。Y病院は、生活保護受給者を大勢入院させ、必要のない治療(心臓カテーテル)を繰り返したとか。治療や検査の内容はレセプトに記され、保険請求されるから、取りっぱぐれる心配はないというわけ。

心臓カテーテルはずさんな施術で、血管を破られ、死亡にいたる患者も続出していたといいます。が、もともと生活保護受給者だから、親類縁者が少なく、誰も疑問視しなかった。(親類縁者がいれば、生活保護の受給でなく、彼らの扶養に入りますね)。そこまで見越し、生活保護受給者に狙いを定めていたのです。

じつは、事件発覚の10年ほど前、県に内部告発があったそうです。しかし、専門性の壁(その治療や検査が必要かどうかは医師でないと分からない。行政官や警察には判断できない)ため、強く踏み込めなかったとか。そういうのを行政の不作為ってんですよね。

『日本の聖域』という本には、人工透析のことが書かれていました。まだ治る可能性のある患者に対し、腎臓病の有名病院が、「もう透析しかありません」と説明し、透析を納得させるんです。で、(実際に透析に通うことになる)患者の自宅近くの医院に紹介する、というのです。事実とすれば、恐ろしいことです。

過剰医療、過剰検査、薬漬けをすればするだけ儲かるようになっている現在の保険の仕組み。インセンティブという観点からすれば、ほかの病院でも、Y病院のようなことをやっているかもしれません。他の病院への広がりは、どうか? まだ読み始めたばかり。後半には、その辺まで踏み込んだ調査、レポートをしているのでしょうか。興味のあるところです。