ソプラノ歌手 中川美和のブログ

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バイエルン・後宮からの誘拐

2010-11-22 21:36:50 | ドイツのこと
ふと気づいたら更新が開いているではないか。
失礼しました~生きてますよ~マイペースに。

さてさて、バイエルンの『後宮からの誘拐』観てきました!
ええ、音楽家をやってたら、やってみたいもの、というのはあると思います。誰しも。
私自身はと言いますと、言うだけはタダ、笑わば笑え(笑)
目標は「後宮の誘拐」のコンスタンツェで、憧れは「ナクソス島のアリアドネ」のツェルビネッタなんですが。

コンスタンツェは、色々な人から『あなたの声に合っているから』と強く勧められる事が多く、目標にしているものなのです。
正直言いますと、自分自身ではコンスタンツェが合うかどうかはわからないのですが。喉にはそこまで負担はないですけどね。まー身体の負担はハンパないですが・・・
しかし音楽は聴衆がいて初めて成り立つもの。他人が聴いて、『この人のこの役が聴きたい』と思ってもらえるものというが、音楽はすごく大事な事だと思うのです。
だから、複数の人から勧められるという事は、自分の中で目標にすべきものだと思って、強く目標にしているという訳です。

ツェルビネッタに関しては好き好き、萌え萌え~♪ていつも言ってるから別に解説いらないですね(笑)

そんなわけで、後宮からの誘拐は思い入れがある演目でして。行ってきましたよー。 生で見るの初めてです。日本じゃほとんどやらないからうれしい。来年も二回かかるそうです。

前々回の日記でも書きましたが、主役のコンスタンツェ役がイレーナ・モシュクから変更になりました。

さて感想はというと、とにかく演出がすっっっごい良かった。マルティン・ダンカン?マーティン・ダンカン?読み方は色々でしょうが。
オーソドックスなものじゃないんですが。いやーなんか良かったです。序曲の時から舞台上で色々やらせてて。それで、ぐわっと一気に集中させられて、すっごい引き込まれる感じがあった。何なんだろう、あれ・・・
とにかく良かったです。

きれいな色遣いのソファを使って話が進められていきます。

こんな舞台セット~(クリックしてね。)

ただ、コンスタンツェの「あらゆる拷問」のアリアだけは演出が、私的にはちょっと・・・。
セリムが後ろのソファに座ってるもんで、コンスタンツェが変化をつけようとすると、後ろを向かなくてはならない。たびたび後ろを向くもんで、何か変なんですね。
あの曲は棒立ちってーか、正面から受け止める感じの曲だから、いちいち後ろにかけなくてはいけないというのはいかがなもんか。

そりゃ多少相手にかけたりはあるだろうけど、棒立ちが一番良いんじゃないのかなって思うのは私だけかな。

だから個人的には、DVDで残ってる、グルベローヴァのコンスタンツェ。アリアになったとたん、大道具もすべて取っ払って、一人で棒立ちで歌っているあれが好きだなあ。音楽だけで表現しきっているもの。そりゃ、力量とか色々なものがあるけれど・・・他のものがあると、それで音楽を邪魔しているように思えるの。


話逸れました。

で、今回は音楽だけでセリフはなし。
ナレーション役の女の人がトルコ風の黒ずくめで、曲間に、セリフ部分の話の展開を説明していくの。

これがまた良い!
ドイツ語だから何言ってたのか全然わかんないんですけど(笑)

かえって音楽だけに集中できるんですよ。
これがレチタティーボだったりすると、音楽とつながってるから、モーツァルトは省けないですけど。セリフだけの場合は、脚本はいまいちですから、省けますよねー。

音楽的にとにかく良かったのは、男性三人のアンサンブルが、ばっっっちり決まっていて。アリアは良かったりよくなかったりとかもあるんだけど、アンサンブルが良かったんです~。

コンスタンツェは、音楽的にも演技的にも、一人だけ少し方向がずれてる感じがしたけど、代役だし、仕方ないって思える程度のもので。 むしろ、急な代役だったら、すごいですね。

ブロンデも抜群ではなかったですけど、特に一曲目のアリアが色っぽくてとてもチャーミング。

テノール2人はキャラの演じ分けがはっきりしてて、わかりやすかった。
アリアは、まあ破綻なく。
その代わりアンサンブルが抜群。
オスミンは結構良かったです。 こちらもアンサンブルが見せどころ。

あ、唯一、セリムは、台詞がなかったので、全く存在感がありませんでした(笑)


そうそう、友達のピアニストさんが六年前にミュンヘンに来た時に観たものと、私が観た今回と。演出が変わっていなかったらしく。
何かそれがすごいなー、と思いました。年がら年中オペラを上演し続けているところの強みを見せつけられたように思います。だから代役も対処できるのかな。

今回はアンサンブルがすごく良くて、モーツァルトのオペラはアンサンブルが重要なんだな、と改めて再認識。アンサンブルがきちんとしてると、本当に素敵ですー。

しかし、モーツァルトのC-durって、鬼・・・




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