一顆明珠~住職の記録~

尽十方世界一顆明珠。日々これ修行です。いち住職の気ままなブログ。ときどき真面目です。

シンポジウム打ち合わせ

2006年06月23日 | つながりコスモロジー
スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」

朝日新聞社

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昨日は11月19日に行われる、シンポジウム「日本を緑の福祉国家にしたい!<仮題>」の打ち合わせにサングラハ教育・心理研究所、藤沢ミーティングルームに行ってまいりました。

このシンポジウムは、私が教えを受けている岡野守也先生の働きかけにより、岡野先生本人と、過去スウェーデン大使館で、環境・エネルギー問題、労働環境問題のオブザーバーを担当した経歴を持つ、環境スペシャリストの小澤徳太郎氏と、サングラハ教育・心理研究所の会員でもあり、前国立環境研究所長 医学博士大井玄氏の3者が中心となって参画されます。

シンポジウムでは日本を経済と福祉と環境のバランスがとれた、人々が安心して暮らせる国にするための具体的な提言がなされ、会場に来る参加者の中に合意の輪が広がり、今後の進むべき方向性を確認するような場になることでしょう。

昨日の打ち合わせには、小澤徳太郎先生と、大井玄先生がお越しになり、岡野先生が持続可能な社会実現に対する3人の合意点を確認しました。

スタッフとなる会員は、年配の方1名、若手5名が集まりオブザーバーとして参加ました。

小澤先生からは北欧の社会・環境政策について、プロジェクターを使った丁寧なレクチャーをしていただきました。

お話を聞くなかで、スウェーデンがどれほど早くに、理想の国家ビジョンを描き、その実現を目指した施策を実行してきたかを知り感動しました。また一方で日本の国家の未来に対するビジョンがどれほど甘く遅れているかを知り、そのあまりのギャップに愕然としました。

また、小澤先生は一部の有識者が抱いている、老人の自殺率、ポルノグラフィの問題など、スウェーデンに対する負のイメージについての誤解を明快に反駁されていました。

ですが一方で、岡野主幹が、スウェーデンの著名な監督の映画(名前忘れました)全体に漂うメランコリックな実存的虚無感は、スウェーデン人が宗教(国民のほとんどがルーテル派)から離れたことに一因があるのではないかと述べており、興味深かく思いました。
小澤先生は自然科学的なアプローチを専門にしているので、スウェーデン人の文化や宗教心などのメンタルな側面についてはあまり関心がないようでしたが、僧侶の私としてはやはりそういうところも気になるところです。

ともかく、スウェーデンの政治が日本に比べて極めてクリーンなこと、民意がダイレクトに反映されるために常に80パーセント以上の投票率を達成していること、国民の合意と協力の上でさまざまな環境施策が実行されていることなど・・・、どう考えても、日本とは雲泥の差があるように思えます。

ある意味日本の文化なのかもしれませんが、これまでのようにお上にお任せして、ハイハイ聞いていると日本の未来はない。

実際、私たちはそろそろ、いや、すでに日本はマズイんじゃないかと思い始めています。

環境問題、経済問題、福祉問題、年金問題、教育問題、治安問題、そして日本人の心の問題。

まさに問題が山積みです。

これらの問題を解決するためには、目先の経済成長ばかりを追求するのではなく、何よりも長期の日本の国家ビジョンを描いて、そこから今何をやるべきかを導き出し、実行に移らなければなりません。
それが先決です。
これは小澤先生の著書で「バックキャスト」と呼ばれ、スウェーデンがこれまで採ってきた手法です。

いまの日本は目先の利潤を追求して後のことを考えない「フォアキャスト」の状態を脱していません・・・。

これは囲碁の言葉で言えば、実利(地)ばかり追い求めて、厚みを無視している状態でしょう。
こうなると、ちょっと良さそうになっても必ず手痛いしっぺ返しを食らいます。

これは私生活にも当てはまりそうですね・・・。目先の楽を追い求めて、自分への投資(日々の学びや鍛錬など)を怠っていると必ずあとで苦労する・・・。

ともかく、

「改革なくして成長なし。」

この言葉のもとになしえた改革はなんだったのか・・・

いっこうに私たちの未来には明るい兆しが見えません。

むしろ、ますます暗くなっているような気がします。

日本の後世を明るいものにしていくために行動を起こす。

微力を結集して強力にしていきましょう!


<追 記>

小澤先生は、わたしの想像と違ってとても若々しくユーモアに富んだ気さくな先生で、私たち若手の質問にも丁寧かつ熱く回答してくださいました。
大井先生には以前にもお目にかかってお話を聞いたことがありますが、幅広い知識をお持ちで、誠実なお人柄を感じる素敵な紳士です。

僭越な言い方かもしれませんが、お二方とも知識人にありがちな尊大さが全くありません。どんな立場にあっても威張らないということは大事なことだなと思いました。岡野主幹が目を付けるのも納得です。

ヴィーゲラン、ムンクはノルウェイ、キルケゴールはデンマーク、ハノイロックスはフィンランド出身、大好きなサウナもフィンランド発祥、オーロラ、クリスマス、白夜、そして学生の頃に見たストックホルムの不思議な夢。


先祖をバイキングに持つ北欧の国々。

元々北欧には憧憬と興味があったので、今回の学びで、ますますスウェーデンに行きたくなりました。
いつかスウェーデンを中心にして北欧を旅してみたいです。
福祉国家→緑の福祉国家へ
どうしてスウェーデンには、「それが」出来るのかを肌身で感じたいと思います。
できれば30代のうちに。


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