昨年の金融危機以降急激に上海の日本人が帰国していきましたが、まぁ、予想通りの状況になっているようですね。
記事としては、
・日本人駐在員の帰任に伴い、上海人の本社採用の中国人を北京の営業部長にしたが、本人はやる気があったかもしれないが部下の反感を買うばかりだった。
・中国人社員は、日本人なら多少出来が悪くても仕方ないと諦めてくれるが、同じ中国人に対しては見方が厳しく、まして本社採用となると給与福利等の処遇が異なる為に反感を招きやすい。
・多くの企業が駐在員を帰任させたが、その後任はおかずに残った日本人に兼務させる事例が多い。エンジニアに人事や経理まで任せる事になるが機能しない。周りに話を聞く日本人もいないために何も解らない本社だよりになり、全てが後手後手に回ってしまい、特にこの夏の景気の回復に対する打ち手が全く打てていない。
・日本人責任者の目が届かないことをいいことに、従業員が家族に販売店を作らせ、そこを通じて自社の製品を販売する背任まがいの行為が頻発している。狙いはもちろん、裏でマージンを稼ぐことである。公私混同で中国人社員が私腹を肥やす行為は、特に目新しいわけではない。だが、問題は、それが増えているということだ。
そして記事の後段に:
日本企業が自ら招いた悪循環として
本社の経営状況が厳しい中、中国の現地法人のコストダウンや経費削減も待ったなしだ。駐在員は続々と帰任する。しかし、その後のことは、どちらかといえば現地任せだ。
多くの日本企業の中国事業は、これまで、日本人だけで取り仕切ってきた面が強い。現地責任者、営業部門の責任者、財務部長、人事・総務部長など、経営の要となるポストは歴代、日本人が占めてきた。
そして、中国人従業員の枢要なポストへの登用と、それに備えた幹部候補生の訓練や教育は、おざなりにされてきたきらいがある。
また、権限が日本人駐在員に集中した結果、指示待ち型の中国人従業員が圧倒的に多くなってしまった。こうなると、いざ権限を委譲しようとしても、リーダーシップを発揮できる人材がいない。
現地の従業員を幹部に登用したくともできないのは、日本企業が自らが招いた悪循環だ。
「王様気取り」になる日本人駐在員
さらに悪いのが、権限が集中したことにより、一部の不心得な日本人駐在員が「諸侯意識」を持ってしまうことだ。言い換えれば「王様気取り」である。
この気持ちが、海外で働いていることや、現地従業員の気持ちを尊重することを忘れさせてしまう。こうした駐在員は、現地従業員に権限を移譲するなど、微塵も考えなくなるだろう。
中国人は「権限」を既得権益と認識することが多い。だから、よほど信頼できる従業員でない限り、安易な権限移譲は禁物である。
しかし、見方を変えれば、多くの日系企業で権限移譲がうまくいっていないのは、日本人駐在員と現地従業員との信頼関係が、不十分あるいは“不等号”になっていることが背景にあるのではないだろうか。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20090819/202800/
さて、多くの日系企業の皆様はどうお考えでしょうか?
日本企業が招いた悪循環、というのは、そうしたくてこうなったのかどうかは別にして、まぁ否定はできないですね。特に生産型企業が多い為に、業務上クリエイティビティを要求されるよりも、本社指定納期、品質、コスト管理をちゃんとできれば満点に近かったのではないでしょうか。この辺は日経企業にとどまらず、中国人サラリーマンの多くが似たような水準だと思います。元々カルチャー的にも自分の所属する組織を重視するわけではないですし、リーダーに依存する性質が強いように思います(一般論として)。また、教育は幼稚園から詰め込み記憶重視の教育ですし。だいたい、クリエイティビティにとむ人間はとっくに独立しちゃいますよ、これだけチャンスの大きい急成長経済のさなかにいるんですから。だから、独立できない人材で回す仕組が必要なんですよね。
駐在員が王様気取りというのは、単純に是が悪いとはいえないというのが実感です。中国民間企業ではそこそこの規模でも社長がボスであり絶対です。そして、上の中国人気質を考えた場合、有る程度強いリーダーシップを取る現地法人社長のほうが経営的にはうまく行っていると個人的にも周りを見て感じています。まぁ、暴走しちゃうといけないですけど。(自戒も込めて)。。
権限委譲は、できている会社のほうが少ないと思いますよ。欧米系だろうと、中国系だろうと。何処までを委譲し、どこまでを秘かに管理するかなんですよね。そしてその秘かに管理する分野が財務の要素が大きい為、日系企業でも中国人を総経理にすると、知らないうちに身内が財務責任者になってしまった例が結構あります。だからといって、是が本当に悪い事かは一概に言えないですね。本社から見て不正を行っているかどうか、それが許容範囲かどうかをジャッジする機能があればよいのです。
日本人社員と中国人社員の信頼関係ができていないから経営がうまく行かないというのは全くのナンセンスで、事務屋の発言だな。。違う人種、文化の国で事業を行うのですから、信頼できるわけが無いんです。その前提で、お互い信頼しきる事はできないが、システムとして牽制と権限委譲を組み合わせて行くんじゃないですかね。実行は難しいですけど。欧米は植民地経営の経験が長いのでその辺が日本より、ノウハウ持っているんですよね。アジアは特にお互いに「信頼」とか「信用」という言葉を表面的には非常に重視しますし。でも、これは表面だけなんですよね。