日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

KKRの中国投資近況

2009-08-06 | M&A
アメリカの代表的なPE、コールバーグクラビスロバート(以下KKR)は2年前に中国に進出し、112億円の投資を中国では上位10位以内にランクされるTianruiセメントに対して行い見返りに43.2%の株式を取得した。世銀の協調融資に関連しJPモルガンと複数の中国企業が動じに335億円の長期貸付をTianruiに供与した。

 しかし、たった1年半でTianruiはKKRの頭痛の種になってしまった。創業者の李氏との関係は、その疑問の残る経営方針から悪化した。現在mTianruiの事業そのものは好調で、KKRも撤退は考えていないようだ。しかし、問題はまだ残っているといわれている。幾つものケースでPE投資家が中国の家族企業を買収した際には、企業規模にかかわらずガバナンスの問題に直面する。そして、マイノリティ投資の場合は、その投資分を維持する事自体も難しい面が出てくる事を示す。

 Forbs自体が色々調査したが、こういう話は表に出てくる物ではないので、ianruiの元経営陣や、業界関係者からのヒアリングに基づいてこの記事が作成されている事に留意願いたい。

 彼らの話では、昨年創業者の李氏と投資家達の間で激しい戦いが演じられたようだ。Tiansui集団の総売上は1000億円程になるが、会社は李氏とその家族にコントロールされており、トラック輸送業や、アルミニウム、ガス、発電や旅行までその手がけている事業は広範囲にわたる。また、Tiansuiの元もとの経営陣もこの辺に関係しているようだ。

結局TianuiセメントのCEOXiao氏は李氏に首にされたようだが、その辺ははっきりしない。

 問題は昨年12月にCFOの陳氏が3人の男に工場の傍で暴行を受け、暴行を受けた時に、暴漢が陳氏の名前を確認し、彼のPCが取られ他事からた明らかになってきた。陳氏は1月入院しその間にJPモルガンや世銀の投資部門IFCの訪問を受けた。その際に陳氏は、李氏の財務上の問題を指摘していたといわれる。しかし、陳氏はKKRに雇用され派遣されたのだが、この事件直後に会社を去りノーコメントをつらぬいている。

 陳氏の事件は、公安に電話した限りでは確認できなかった。河南省のRuzhouは人口100万人の都市だ。この5月、地元の新聞は李氏を541億円の純資産を持つ河南省で最も金持ちというランクを発表している。彼はまた、2003年以来全国人民代表会議のメンバーでもある。

 2008年後半にTiansuiのCEO Xiao氏が辞任を発表した時には業界にショックを与え、それ以外の外部から来た10名以上のマネージャーも同時に退職した。Xiao氏は、今は香港に上場している中国国営建設資材の副社長をしているが、この件についてのコメントは拒否している。

 李氏がXiao氏を辞めさせたのは、中国の民営企業における典型的なボスの個人的な好みによるものであり、何か関連する基準やプロセスによる物ではないと、昨年11月の業界紙に書かれている。Xiao氏が会社を離れたのは、現代的な経営システムの欠如であり、事業提携先はTianruiとの関係を慎重に見直す事になるだろうとまで書かれている。

 Xiao氏は2007年のKKRの投資の呼び込みに貢献し、遼寧省の大連にも進出した。Tianruiは、2006年には中国政府が選んだ中国の代表的セメントメーカー12社の一つに選ばれ優先的な融資や土地の取得をを地方政府や銀行から受ける事ができる。中央政府はセメントメーカーの統合を目指しており、Tianruiは優位な位置にある。

 一方外資系投資家は、国内のインフラ整備や建設プロジェクトが期待できる有望な業界としてセメント業界への参入を希望しており、昨年ゴールドマンサックスがセッ江省のHongshi集団の25%株を120億円で取得した。中国は現在中央政府の60兆円に及ぶ景気刺激策により公共建設ブームになっており、Tianruiも利益を享受している。営業利益は毎年60%も伸びており、製造能力も3倍の27百万トンになり、マーケットシェアも伸びている。さらに、3つの戦略的買収を行った。

 KKRの報告書を見ると、Tiansuiセメントの2008年の売上は491億円。利益は不明である。しかし、中国経済の成長がスローダウンすると、Tianruiも厳しい状況に直面する。現在建設中のセメントプラントが完成すると、河南省のセメント製造能力は1億2千万トンも過剰になると、安徽省で6月に行われた業界の会合の席で李氏が語っている。Tianruiは、河南省のXingyangに12千トンの製造ラインを建設する計画だったが昨年その計画を伸ばす事にした。

 そして、今年。Tianruiセメントにはかっての経営陣はいない。

 2008年4月まで、李氏はTianruiセメントを自分の物のように振舞っており、彼が欠席した事により取締役会が延期になった事からKKRは怒ったが、世界的な金融不況の為にKKRはTianruiにかまっている暇が無くなった。李氏の長い部下である李 Heping氏がXiaoの変わりにTianruiの会長になった。この二人は、Tianrui集団の子会社であり、香港に株式上場しているSanmenxia Tianyuanアルミニウムの役員でも有る。また、郭氏がCEOに昇進した。

 PEは、投資先には単に資金を供与するだけでなく、世界基準による長期的な目標を設定する。KKRのTianruiに対する長期的な目標は、経営指標を確立し、財務能力を高め、優秀な人材やテクノロジーを集める事だと2007年の投資時に語っている。

 IFCのIpson氏は、家族経営の会社における最大の課題は、何時専門的な経営陣を呼んできて改革を始めるかだ。成功している人は自分の能力に自身を持っており、何年もたってから彼らは我々の言うことが正しかったことに気づき、経営手法を変える。一日では達成できないし、簡単にはできない。もし全ての会社が完璧な会社なら、我々の心材異議は無いんだ、と語る。

 別の中国で10年の経験を持つ投資家は、「もし中国の企業家が複合的な事業に興味を持っており、一方投資家がその中の一つにだけ興味があるなら、株主間の意思統一を困難にさせ、その提携関係はリスクが高い。複雑なTianruiの事業構造は外部の利害関係者も多くなりますます投資の成果を求める事に困難差をもたらす」と語る。

 KKRの買収チームは中国のセメント業界に経験が深く、TianruiにとうしをしたDevid Liuと彼のスタッフは、以前モルガンスタンレーで安徽省のCOnchと山水セメントに投資をしており、両社は香港に上場している。しかし、この2社はまた長い歴史をもつ国営企業であり、比較的標準化されていた。

 李Liufaは1993年にTianruiセメントを創業し、小さな工場から買収により拡大した。JP Morgan Chaseと中国建設銀行、Citic銀行による335億円の協調融資は、その借り入れコストを引き下げ、KKRはTianruiセメントと少数投資家の保護条項と共に経営陣に対して長期的なインセンテイブパッケージを用意した。今も、KKRと李ファミリーはこの投資の関係を維持しようとしているが、どちらかが引き下がらない限り上手く行かないだろうと業界では言われている。Tianruiセメントの役員会7名の内、3名がTianrui集団(李ファミリー)で、3名が外国人投資家。そして残り1名の独立した役員は業界経験の長い70台の王さんとなっている。

 KKRはもう一つ中国のミルクメーカーの馬安山モダンファーミングに150億円の投資をすると発表された。
http://www.forbes.com/2009/07/09/kkr-tianrui-cement-china-private-equity-asia.html?partner=contextstory
天瑞グループセメント有限会社
中国 河南 汝州市広成東道63番

 Forbsの記事の意訳です。民営企業への投資は国営企業の投資より難しいという事ですかね。それにしても、オーナーが全人代のメンバーというのは凄いというべきか、国会議員におなれる人だからこそ事業も成功したのでしょうね。特に公共工事関連ですから。

 業界の噂ベースの憶測の記事内容になっていますが、オーナーが怖いからインタビューが全く取れなかったのではないでしょうか。中国の田舎のお金持ちは昔の日本の大名家のようなものなんでしょう。それこそ本当の意味での小皇帝だから、公安に聞いても暴行事件のこともわからないのでしょうね。

 まぁ、これは一例として
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする