亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

8月のインドの金輸入量、前年比倍増

2018年09月07日 20時35分31秒 | 金融市場の話題
8月31日のここで、中国における金需要の底堅さを示す周辺データとして、宝飾大手ティファニーの5-7月期の増益決算を取りあげたが、8月のインドの金輸入が倍増していたことが判明した。

暫定値(速報値)ではあるが、貴金属調査で知られるトムソン・ロイター傘下のGFMS社が公表したもので、8月のインドの金輸入は1ヵ月で100トンとなり、前年同月比で116.5%増と倍増したとされる。これは、昨年の5月以来、1年3ヵ月ぶりの高水準となる。さすがに8月中旬のドル建て金の下げに買い向かったようだ。

通貨ルピーが、(対ドルで)過去最安値を更新し、インド国内の金価格には押し上げ要因となっていた。特に今年の上半期は、ドル建て金が1300ドル超で推移していたことも相まって、国内価格の高騰からインドの金需要は低下が伝えられていた。したがって、8月の輸入量倍増にもかかわらず、2018年1-8月のインドの金輸入量は532.1トンで、これは前年同期比12.6%減となる。

ちなみにインドは、6月以降、過去最安値を更新するルピー安のイメージから、他の新興国と同様に経済は混迷と受け止められがちだが、個人消費は活発で株式市場も主要指数SENSEX指数はこの夏、過去最高値を更新し、いまも高値圏にある。インド株の上昇というと、気勢が緩和されて移行、海外マネーの流入が株価を押し上げるというのが定番だったが、このところは国内投資マネーの流入が高値更新の原動力とされる。いまのところ大きな変化はないが、経済成長とともに金需要大国インドの需要構造も変わりつつあるということだろう。

アングラマネーの炙り出しを狙った、モディ首相による高額紙幣の突然の廃止、交換強制策は、狙ったほどの効果は上げられなかったとされるが、モバイル決済を勢いづかせキャッシュレス化のきっかけを作った。最近(8月末)では、ウォーレン・バフェットがモバイル決済のインド最大手Paytmを運営する「ワン97コミュニケーションズ」(未上場)に出資して話題になった。ちなみにソフトバンクは既に出資済み。

さて、NYタイムズに掲載された(政権幹部の手によるものと見られる)トランプ批判記事など、またまた騒がしくなってきた。中間選挙が近づくと、この手の話も増えそうだ。今夜は、米雇用統計。賃金上昇率が注目点だが、内容の良さは織り込み済みゆえに、反対の結果がサプライズに。市場の関心は、雇用統計よりも、トランプ政権が対中2000億ドル追加関税にいつ踏み出すのかに向けられている。

なお6日の金市場では、ショートカバーが目立っていたとのこと。

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