週明け12月5日のNY金は週明けのNY通常取引に入る時間帯までは1800ドル台を維持して推移していた。
為替から債券、株式と市場横断的に、この日の値動きを大きくしたのは、米ISMが発表した11月の非製造業景況指数が低下予想に対し想定外の改善を示したこととされる。 確かに間違いではないが、その発表前から動きは出ており、昨夜のISMのデータは発生していた流れを加速させたという位置づけになると思う。
では何がドル高、米長期金利上昇、株安、NY金の1800ドル割れのドライバーだったのかというと、時系列で捉えるなら5日の早朝5時過ぎにWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)が更新した同紙のFedウォッチャー(FRB担当記者)ニック・ティミラオス記者の記事だろう。
来週13~14日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅が縮小される一方、根強い賃金上昇圧力を背景に、政策金利は投資家の想定を上回る水準まで切り上がる可能性があると報じた。同記者は、ここまで何回かFRBの政策方針について書き、注目されてきた経緯がある。FRBと市場との懸け橋的な位置づけで、同紙を使った市場に対する政策方針の示唆が、一種のフォワードガイダンスのような役目を果たしているように読めなくもない・・・というか読める。
ちょうど来週のFOMCを前にFRB高官が発言を控えるブラックアウト期間に入っていることから、先週末の雇用統計も5日のISMデータに関連する関係者の発言はないことから、この記事は注目を集めることになった。
先週末の雇用統計では、インフレとの関連で賃金項目の平均時給が前年比で再び5%を超える伸びとなったことで、FRBの利上げが「より高く、より長く(higher and longer)」続くことが意識され、一時市場の値動きは大きくなったが、その後落ち着くことになった。ただし、この記事により積極利上げ観測が蒸し返されるような形となり、米長期金利の上昇とともにドル高が復活、金売りにつながり1800ドル割れとなった。約4カ月ぶりの高値となっていたことも、利益確定の売りにつながった。
その後発表されたのが、くだんの11月ISM非製造業景況指数の予想外の上昇だった。FRBによる「より高く、より長く(higher and longer)」を後押しする結果を受けて、米10年債利回りは一時3.613%と前週末終値(3.494%)から大きく上昇し3.585%で終了。上昇はそのまま為替市場に反映され、ドル指数(DXY)は先週末の104.545から105.399まで上昇し105.289で終了。NY金の売り手掛かりとなった。DXYの主要構成通貨はユーロだが、ISMデータの発表前にはユーロ買いが先行し、一時1.0595ドルと6月28日以来の高値を付けていた。終値は1.0493だった。株式市場は引き締め継続を嫌気し下げ幅を拡大した。
NY金は6月以来となる200日移動平均線を上回ったことで、流れの変化を感じさせると昨日書いたが、1780ドル台に水準を切りさげ、さっそく下回ることになった。この水準で押し目買いがどの程度見られるかが注目される。
ちなみにWSJニック・ティミラオスは、今回のFOMCで示される新たな金利見通しは、「4.75~5.25%に切り上がる可能性がある」とした。 この水準は11月17および21日の講演で(ハト派で知られる)サンフランシスコ連銀デイリー総裁が示していたもので、11月29日のラジオNIKKEIの番組中の発言内容とともに、12月1日の当欄にて「FRB執行部との意見調整が進んでいるとにらみ、デイリー総裁は代弁者と捉えている」としたので読まれた方はご存じの通り。。。やはりあの発言は一定の意図をもったものだった。。
みんな昨夜はサッカー見てたんでしょうねぇ。me,too.