亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

相場付きの変化を感じさせたNY金

2022年12月05日 16時16分45秒 | 金市場

12月2日に発表された11月の米雇用統計は、賃金の伸びが加速したほか、雇用者数の伸びも市場予想を上回り、市場が織り込んだFRBによる今後の利上げペース減速が正当化されるほどには、経済は弱くないことを示唆する内容だった。

 

(非農業部門)雇用者数は26万3000人増で予想(20万人増、ロイター)を上回った。10月分の雇用者数は26万1000人増から28万4000人増に上方修正された。失業率は3.7%で横ばいに。インフレ動向との関連で注目度が上がっている時間当たり平均賃金だが、11月は前月比0.6%上昇と、市場予想の0.3%を大きく上回った。前年比では5.1%上昇となり、上方修正された10月の4.9%上昇を上回るとともに、再び5%台に乗せた。

インフレ動向を見るうえで、すでに総合指数よりも変動の大きい食品とエネルギー価格を除いたコア指数が注目される状況にある。家賃や人件費といった上昇すると下げにくい物価の上昇が、「しつこいインフレ」、「粘着型のインフレ」として注目されている中で、今回の雇用統計で現れた平均時給の上昇再加速は来週にFOMCが迫る中で、気になるポイントになったのは確かだろう。

0.5%利上げ見通しは変わらないものの、一部に0.75%を読む見方が復活したのは無理からぬことで、それよりも23年の初回(1月31日~2月1日)の利上げ幅、0.25%見通しが0.5%に引き上がる手掛かりとなりそうだ。これとて単月の結果に過ぎないと言われればそれまでだが、こうなるとFOMC結果発表前日12月13日発表予定の11月米消費者物価指数(CPI)の注目度がさらに高まることになる。つまり、強気弱気どちらに転んでも値動きは大きくなりそうだ。

 

いずれにしても予想以上の強さを示した雇用統計によりFRBによる長期の金融引き締めが再び意識され、市場では前日まで見られた流れが逆転。NY金は一時1800ドル割れに押し戻されることになった。

しばらく1790ドル台で滞留したが、下値では買い意欲も強く終盤に下げ幅を縮小し、通常取引は1809.60ドルで終了。週の前半に見られた売り建て(ショート)の買戻しによる上昇(ショートカバー・ラリー)から新規買い(フレッシュ・ロング)による上昇に、相場が質的変化したことを感じさせることになった。

 

イベント盛りだくさんの週を超え、今週は(発言を控える)ブラックアウト期間に入りFRB高官の発言もなく、比較的静かな展開となりそうだ。経済指標ではISM非製造業景況指数で、米消費動向が明らかになる。先行して発表された同製造業景況指数と同じく、新型コロナによる経済封鎖直後の2020年5月来の低水準に落ち込めば、景気後退懸念を一層強める可能性がある。 また、インフレ指標では9日発表の生産者物価指数(PPI)が注目される。市場予想では、5カ月連続で伸びの鈍化が予想されており、インフレがピークに達したとの見方を強める可能性がありそうだ。

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