亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

人民銀行11月金32トン購入、夏に300トン買ったのはどこだ?!

2022年12月08日 21時17分21秒 | 金市場

日本時間昨日の夕刻、中国人民銀行(中央銀行)が発表した11月末の外貨準備の内訳によると、金の保有量は6367万オンス(約1980トン)と10月末から1.6%、103万オンス(約32トン)増えていた。

 

増加が確認されるのは2019年9月末以来3年2カ月ぶりのこと。今年に入り中国の金輸入量は増加していたことから、国際通貨基金(IMF)には未申告ではあるものの中国人民銀行は保有量を相当量(百トン規模)増やしたのではとの観測があった。今回の発表を見る限り、その事実はなかったことになる。

 

もともと日本時間の11月1日午前にワールド・ゴールド・カウンシルが発表した定例の四半期レポート、Gold Demand Trendsの第3四半期レポートに中央銀行の買い付け量が7~9月期だけで399トンにもなったと報告されたのが、そもそもの始まりだった。しかも購入国として判明しているのが25%で300トンほどが購入国不明とレポートされた。

正直言って、レポートで数字(増加量)を見た第一印象は嘘だろ!何かの間違いだろ!だった。

でレポートンを読んで300トンほどは購入国不明となっていたので?????だった。自分もこの組織にいた人間なので思うのだが、センセーショナルなデータを打ち上げ花火のように出して、誤りでしたということは組織の性格上できないし、やらないので余計にクエスチョンだった。購入国が判明しないのに、何ゆえ中央銀行の買いと断定できるのかとも思ったし、いまでも思っている。

ブルームバーグなどはMystery Whales 謎の“鯨”として購入国についての憶測記事を11月初めに書いていた。これだけの量を買えるのは、中国というのが筆頭で、次にロシア、さらに原油価格の上昇で財政に余裕が出たと思われるサウジやクウェートなど湾岸産油国というものだった。

・・・で昨日判明したのは、11月の保有量が1980トンということなので、中国ではなかったということだった。こうなると経済制裁を受けているロシアが、(海外に売却できない)国内金鉱山が生産した分(年間約300トン)を買い取ったということになる。あるいは、湾岸産油国がSWF(国家ファンド)を使って購入したのか。

そもそも300トンを一括で買ったとして、オンス当たり1700ドル、ドル円を136円で計算すると総買い付け金額は約2兆2300億円になる。国家ファンドでも買い付け可能な金額ではある。

思い当たるのはノルウェーの政府年金基金で北海原油の輸出代金などで100兆円以上を運用していると思うが、今のNY金300トンはその2%以下ということになり、こうなるとノルウェー政府年金基金であっても、不思議はないと思われる。

果たして、どこが買ったのか。。

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