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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

益出しの対象になった

2006年05月20日 13時02分32秒 | 金市場
日本時間の昨夜のNY市場での金の下落は、商品市場全般が売られるなかで起きたもので、金といえど例外ではなかったとDow Jonesは伝えている。ファンドの売りが主体だが引き金を引いたのはドルの急激な戻りで、対スイスフランで1.5%以上、対円で1.25%、対ユーロで1%の戻りが、このところのドル安ヘッジのメタル買い資金を燻り出した形という理解。ドルが戻したきっかけが、昨日の日銀福井総裁の金融政策決定会合後の記者会見の内容とされる。早ければ6月にもゼロ金利解除という見通しを後退させた、というのだが、そこまで読めるような内容だったのか、少なくとも複数の報道を見る上では疑問?というのが率直なところ。それよりもこのところの急激なドル安の巻き戻しが起きたという理解の方が現実的なように思う。ではなぜ、これほど急な動きになるのか?これも「プログラム売買」のなせる業だろう。我先に有利なレートを取ろうと同じ方向に走るため、次々と事前に設定されているプログラムをヒットしてゆく構図だ。下げ始めると、ストップロスの応酬という、いわゆる出口殺到の「シアター(劇場)・シンドローム」もある。

そして全体の環境を見渡すと、どうも各市場とも先行きの見通せない環境の中で、とにかく益出しをして次のステージに備えようとの気運が高まっているのではないかと思われる。

その見通し難を提供した(?)のが、こともあろうバーナンキFRBではないか。FOMCの議事録(利上げ打ち止め気配)にはじまり、本人の議会証言(利上げ打ち止め気配)、その後の一部のメディアを使った修正発言(打ち止めとは限らない)、5月10日FOMC声明文(利上げ継続もあり)と発言内容の受け止め方を巡って市場は右往左往してきた。「今後のデータ次第」という判断基準も、温度差のあるデータの続く昨今の環境のなかで、市場の“振れ”を大きくする。この“振れ”の大きさ(もっぱら急落)が、ますます投資家をして一時撤退を決断させるという図式のように見える。

いちどポジションを閉じて(手仕舞い)再度の組み立てということ。その中で金市場は、益出しの対象になったと見られる。このところの上昇で益の積み増し、あるいは含み益の拡大が見られたメタル全般が利食い売りの対象になった。日本株に対する外国人投資家の売りと構図として重なる側面もあるわけだ。それだけ金市場に入っていた資金の出し手と株、債券市場の投資家が(以前に増して)重なっているということ。

昨日某全国紙の記者氏と電話で話したのだが、要点は以下のようなもの。

・NY株(ナスダック含む)の急落のなかで、金市場が益出しの対象になっているのではないか。

・この2年ほどの感覚でいくと調整局面は4~6週程度続くが、上昇の先導役が必ずしもNYコメックスではなかったので、早いかもしれない。

・実需筋は、更なる下げを待っているだろう(実際には昨夜、そのさらなる下げが起きたわけ)。ただし実際の買いは650㌦割れ位ではないか。600~630ドル程度のイメージだが、そこで実需の買いが見え始めるだけでも、相場の進展度合いとしては大きな収穫。見られれば600ドル以上の価格に実需がついてきたことになるが、このあたりは推移を注視。

・バーナンキFRBの「市場との対話」能力にクエスチョン・マークが付きつつある。やはり長期政権の後は荒れるというアノマリーは生きているのかも知れぬ。これは金市場の刺激要因。

・米国の赤字問題、地政学的リスク、インフレあるいはスタグフレーション(による信用リスクの高まり)、それらによるドル安リスク等々、金市場の材料は継続こそすれ無くなりはしない。


以上のようなことだった。
長くなってしまった。よい週末を。当方は原稿書き・・・やれやれ。。

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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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レス感謝します (いつも拝見しております)
2006-05-21 00:41:43
お疲れさまです。



今回の下落相場、ドルのレパトリという現象がテーマになっているように思えます。

まだ、推論に過ぎませんがそんな気がします。

世界中にあふれあらゆるモノを買い尽くしたドルの還流はそれなりの衝撃を与える可能性もあります。



ただ、推論ですけど、実際そうだったら面白そうです。

インフレ懸念で、利上げ継続してもフラットニングしたりして・・・

興味が尽きません。
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