今回のFOMCでは当然ながら前回決めた政策の枠組に変化はなかった。ただし景気判断についてはやや改善を指摘している。それでも高すぎる失業率の修正には力不足という判断は変らず。そのために低金利策を「長期にわたり」続けることを確認。11月の前回会合で決め実行中の国債の買い取りには、「景気拡大ペースの加速を促す」として、「長期的に物価を安定させる(この場合 “低すぎるインフレ率を押し上げる”という意味合いでデフレ阻止)」と国債買い取りの策の正当性を主張している。
その物価上昇については、現在実行している量的緩和策(いわゆる「QEⅡ」)については、将来のインフレを招くとの批判的な声が高いのだが、FOMC声明文は「基調的なインフレを示す指標の低下傾向は続いている」とデフレ的傾向という現状分析のみ表記。このところの長期金利の上昇には様子見のスタンス。この点で今夜発表される11月の米消費者物価指数(CPI)が注目点。
それにしても3.457%へ跳ね上がった長期金利(10年債利回り)の動向が急速に懸念材料になってきた。金融市場の規模を大きくしているのは他ならぬFRBなど各国中銀の緩和策だが、それがイレギュラーな動きを力づくで封じ込めるための自らの影響力まで削いでしまっているような構図を生んでいる。バーナンキ劇場は減税延長というウラ技の財政政策が伏流から一気に表面化したことで新展開に入りそうだ。