亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金上昇加速  王道を行くなら金

2020年02月21日 23時52分17秒 | 金市場
現在、21日の23時過ぎだが、本日は夕刻にある企業の勉強会の講師ということで話をさせてもらった。その終了後の日本時間夕刻(ロンドン時間早朝)のチェックした際に米30年債の利回りが2.00%を割れていたので驚いた。米債利回りの上昇テンポがチト早いな・・・・と。

その際に見た米10年債も1.5%を軽く割っていたので風雲急を告げということだった。今夜は事前の約束があったので、そちらに向かったがその段階でNY金は1630ドル台中盤まで急騰しており展開の速さについに来たか・・・・と。金は上げ足が急に加速することがあるが、それは往々にして目先の相場の過熱を示す形でもある。つまり“吹く”という展開。しかし、それにしても水準的に1600ドル台でもあるし、早すぎないかというのが率直なところではある。こういう時は、Let it go !で様子見がいいのかと。

20日の1620.50ドルの終値は、手元のデータでは2013年2月14日以来7年ぶりの高値となり、昨日も書いたようにそれ相応のイベントを経る前の相場水準まで戻ったという意味で達成感のある水準だった。いわゆる7年ぶりに戻り高値更新ということだが、先週末発表のCFTCのデータではファンドのネットロング(買い越し)が30万枚、重量換算で約960トンほどだったので、出来高からするとすべて利益が出て売りをこなした状況となり、いわゆる回転が利いている展開といえた。後はモメンタムトレードにて資金を集めると上げ足が速くなるが、まさに現在そうした相場が進行中となっている。金利も生まず配当もない金ゆえに、妥当価格(フェア・バリュー)という定義に当てはめることも難しく、時に動きが加速することがある。まさに、それが起きている。

ところで、20日の貴金属相場の中で、プラチナのみが下落。その下げ幅も大きくなったことが目を引いた。ナイメックスの先物価格で25.50ドル安の979.00ドルで通常取引を終え、前日の取引で3週間ぶりに1000ドル大台回復となったが維持できずに反落。目立った売り材料は見られないものの、中国でのプラチナ宝飾需要の落ち込みが売りの背景とみられた。

リフィニティブのデータでは、プラチナの総需要は2018年時点で242トン。その内、宝飾需要が66トンを占める。さらにその半分強の35トンを中国が占める。最も需要が高まる春節(旧正月)のタイミングでの新型ウイルスによる(店舗閉鎖や移動制限など)経済活動の停滞は、総需要に占める比率の大きい(すなわち価格訴求力の高い)中国宝飾需要を傷めたのは間違いなく、このタイミングでの売りにつながったのだろう。

もっとも中国国内での需要の急低下は金宝飾品も同じで、落ち込みも1-3月期で100トン規模に膨らむ可能性もある。ただし金の方は、ETF(上場投信)など投資マネーの流入がこうした実需の落ち込みをカバーしている構図がある。NY先物価格のベースでは、20日時点で金とプラチナの価格差は641.50ドルに拡大。「通貨代替」という側面の有無と流動性(市場規模)の違いが価格差に投影されている。以前からセミナーで話たり、ここでも書いてきたが、「王道を行くなら金」ということで、この先も金とプラチナの価格差は拡大することになりそうだ。
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