14日の市場で目に付いたのは、米国債とドイツ国債の上昇と原油の値崩れだった。
ドイツについては、欧州連合(EU)統計局ユーロスタットが発表した8月のユーロ圏鉱工業生産は急低下、前月比1.8%減、前年比1.9%減で、市場予想の1.6%減、0.9%減を大幅に下回る中で4.3%ものマイナスとなった。またこの日ドイツの経済省は2014年15年の成長率見通しを従来の1.8%、2.0%から1.2%、1.3%にそれぞれ大きく引き下げを発表した。対ロシア向けの輸出の多いドイツだが、やはりウクライナ問題が影を落とすことになっている。
経常収支が黒字のドイツには、財政出動を伴った景気のテコ入れ策を求める声が高まっているが、ガブリエル経済相は「ドイツで債務を増やしても、イタリアやフランス、ギリシャやスペインの成長を促すことはない」と発言。あくまで財政均衡の目標を維持する方針を示している。また、14日は同国の欧州経済研究センター(ZEW)が、7-9月期のGDPがマイナスとなる可能性があるとした。仮にそうなると、ドイツは2期連続のマイナス成長となり景気後退入りとなる。
この指標の悪化を受けてドイツ国債は買いを集め10年債の価格はこの日だけで6%以上の暴騰状態で利回りは急低下、0.798%と過去最低(価格は過去最高)となった。市場はドイツの成長率の急激な落ち込みを織り込みに掛っている。14日はイタリア債やスペイン債に大きな動きが見られなかったので、まさにリスク回避の資金移動が起きているということだろう。見渡せば、米国債も同じで今月FRBが資産買い取りをやめる予定にも関わらず30年債は2013年5月以来の3%割れ。10年債は2.18%と昨年6月以来の水準に沈んだ。
この長期金利の急激な低下は、経済の基礎体温が下がっているシグナルとも受け止められるが、そうした目で見ると今やWTI原油を抜いて指標油種となっている北海ブレントは前日比4.3%安、WTI原油も4.7%の急落。先行きの需要の低迷を織り込みに掛っている。
まさにフィッシャーFRB副議長が、懸念を強めたように世界的にエンジンの回転数が落ちる可能性が高まっている。示しているのは、利上げどころではない!ということのように見える。