亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

懐疑の中で相場は育つ

2020年07月17日 20時23分58秒 | 金市場
一昨日、6月の米小売売上高を取り上げ「可能性は小さいがマイナスとなった場合ネガティブ・サプライズで波乱含みに」というような内容で書いたが、前月比で7.5%増となった。(今は窮地に追いやられている)一部の州が先行してロックダウンの解除に踏み切ったことと、失業手当の臨時割り増しなど各種政府支援で個人所得が増加したことが、数字を押し上げていた。つまり急収縮後の反発に金融財政支援策がモメンタムを与えることに。大勢的な見方通りの結果ということに。しかし、主要株3指数ともにマイナスとなったように、この勢いは続かない可能性を市場は感じ取っている。

それもそのはず、米国での新型コロナの感染拡大が止まらない。日本時間の今朝午前7時半の米ABCは、16日の1日の新規感染者数が7万1000人を超え過去最多としていたが、その後ロイターは少なくとも7万5255人と報じた。感染拡大が続きカリフォルニア州などで再び営業停止命令が出されたことで、回復途上にある米国経済と労働市場に一気に不透明感が強まっている。米労働省が発表した7月11日で終わった週の新規失業保険申請件数は前週から1万件減の130万件と、市場予想の125万件を上回った。新規申請件数は17週連続で100万件を超えており、労働市場の改善が足踏み状態にあることを示している。そもそも新型コロナ禍が起きるまで、新規申請件数の過去最高はリーマン後の60万件台だったので、今回の危機の根深さとマグニチュードのほどがわかろう。件(くだん)のFRBブレイナード理事は18.2%増と過去最大の伸びを示した5月の小売売上高について、一部の州が時期尚早に経済活動を再開したことが一因になっているとしていた。足元の現実に目をやれば、良くて減速、悪ければ失速ということになる。失業保険新規申請件数にしても、感染急増中のテキサス州、フロリダ州の先週の申請件数はそれぞれ10万件を超えており、カリフォルニアに至っては20万件超えということは、ここにきてレイオフや解雇が増えていることを表していると思われる。個別企業では、アメリカン航空が15日、客室乗務員など約2万5000人の従業員に一時帰休(レイオフ)の可能性を通知する方針を明らかにしている。

米国政府もFRBも政策の時間軸という点で、すでに誤算の領域に入りつつあり、夏休み入りを前にして審議日数が少ない中で、どこまで米国議会は追加の支援策をまとめられるのか。また、27、28日のFOMC(連邦公開市場委員会)はどのような方向性を示すのか。何らかの追加を示唆することになるのではないか。16日は目先筋のファンドの利益確定売りに反落となったNY金だが、引き続き打たれ強さを発揮するのではないか。当ブログのフロントページの「自己紹介」欄に書いているのだが、懐疑の中で相場は育つ。

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