さて一応のXデーが10月17日とされている連邦債務上限引き上げの期限だが、世論の非難の高まりを恐れた共和党は、年始の先送りの再現をホワイトハウスにすることになった。報道によると6週間の債務上限の停止法案を採択し、時間を作りその間に話し合いをしようじゃないかというもの。元々民主党は1年間先送りする案を温めていた。1年なら中間選挙も終わっているか、大勢が決しているタイミングではある。ただ、それでは共和党は乗れない。
思えば2年前の引き上げを巡るゴタゴタは、まず2011年5月に当時の上限14兆2940億ドルに達してしまい、そこから2ヵ月余りやり繰りしたものの今回と同じチキン・レースの挙句8月初旬にデフォルト危機が到来し、財政赤字削減を条件に共和党が引き上げを飲み2兆1000億ドル増やし16兆3940億ドルとした。報道では16兆4000億ドルとされているもの。見返りの歳出カットについては、この年の11月下旬までカット項目の細目を超党派の委員会で決めること、仮に決められない時は、自動的に2013年から問答無用の強制カットをすることになっていた。・・・で予想通り決まらず、強制カットされることになった。つまり1年ほど前から2013年の歳出カットは見えていた。それをバーナンキ議長は、「財政の崖」と命名し、回避せよ、回避せよ、景気には大きな足かせになると、議会に訴えかけていた。
昨年末の土壇場で結局この取り決めの一部は反故にされたが、歳出カットは先送りされたものの850億ドルほどが3月1日から実行された。この「崖」問題のどさくさで、年末で上限に達していた16兆3940億ドルの上限引き上げ問題は、共和党が先送りを決め5月18日までは上限を停止する法案を成立させた。つまり5月18日までは、従来の上限を上回って借金が出来ることになった。・・・で財務省が5月20日に締めたところ16兆6990億ドルとなっていた。この間に3000億ドルほど借金が膨らんだことになる。そこで凍結され、やり繰りに移行して今日に至っているわけだ。これが16兆7000億ドルと報じられている数字ということ。
今回は年始より小幅な送りで報道によると11月22日ということらしいが、オバマケアに関する譲歩を引き出せないとなると、再び歳出カットを条件にするのだろう。足元で政府機関の閉鎖も続いているので、今回の方が溝は深いが、果たしてNYダウが1日で300ドル以上も上げるような平穏な環境にすぐに復帰できるとは思えない。FRBは慎重にならざるを得ないのではないか。現地11日に合意を目指すとのことなので、どうなるか見よう。しかし、こう材料を小出しされると、金は反応できないのも事実。