亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

日銀サプライズ、世界金融本格引き締めモード

2022年12月20日 22時40分58秒 | 金融市場の話題

本日は何といっても日銀(Bank of Japan、BOJ)の金融政策決定会合。まったく無風が想定されており、ノーマークだった。結果は報じられているように、緩和策を修正するサプライズとなった。

 

長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を一部見直し、長期金利(10年債利回り)の許容変動幅をこれまでの上下0.25%程度から同0.5%程度に拡大することを決めた。早い話が0.25%を超えるのを防ぐために、売り物(10年国債売り)が出ると無制限に買い取り、利回り上昇が0.25%を超えないようにしていた。その基準を0.5%に引き上げるというもの。10年国債の利回りは、どこの国でも基準金利で、その水準をもとに住宅ローンなどあらゆる金利が決まっていく。景気が良くなれば長期金利は上昇傾向を強める。またインフレ率の上昇でも同様に上昇基調強めることが多い。

しかし、それを日銀がコントロールすることで、一国の基準金利が意図的に止められていることで、経済の実態に即した金利水準になっていない状況が常態化すると、資金調達や経済運営がギクシャクすることになる。

今回の日銀の決定は、そのギクシャクを解消(イールドカーブのゆがみを是正・・黒田総裁)するための第一歩として決めたということのようだ。しかし、利回りの基準金利たる10年債利回りの0.25%引き上げは、ゆがみの是正であろうとも、利上げに他ならない。しかも、前はYCCの水準の切り上げ(介入水準の切り上げ)は、利上げを意味すると黒田総裁はじめ日銀幹部は発言していた経緯がある。

コップに半分の水を、「もう半分しかない」、のか「まだ半分ある」のかという同じ状況をどう表現するかの問題で、記者会見にてどう質問しようとBOJ総裁は「市場機能の改善」目的であって利上げを意味しないと、表現を変えながら主張は変えなかった。

今回、0.5%の基準を切り上げ、さらに出てくる国債の売り物を日銀が買い取ることは、そのまま政府赤字の引き受け(財政ファイナンス)ではないかとの質問にも、それは違うと。ゆがみの是正だとした。国内目線は水かけ論だが、海外はどう見るかということで、今夜のNYの時間帯のドル円相場は見もの。合わせて米国株やNY金がどう反応するか。

大規模緩和策の最後の砦BOJの政策変更は、これまでFRBを中心に欧米中銀が引き締めを強化する中で、バランスをとる存在が後退することを意味するので、世界金融が本格的引き締めへに入ったという捉え方ができるのではと思う。

今夜を含めNY市場の反応はどうなるか。

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