報じられているように混迷の米財政協議は、大方の予想通り土壇場で妥協がなり・・・・と言うよりも共和党議会指導部が折れる形で決着がついた。当方の注目点は、合意のために、どのような条件、とりわけ見返りとして、どの程度の歳出削減の規模などが盛り込まれるかということにあった。結果的には、何も条件などは決められず、まずは危機回避のために債務上限条項は先送りし、暫定予算を組み評判の悪い政府機関の閉鎖はまずは解消しようというものだった。つまり緊急避難的措置ということになった。繰り返されてきたパターンではある。その上で、上下両院の超党派委員会が設けられ、中期的な財政赤字削減策をまとめることになった。直ぐにでも交渉が開始されるとのことだが、それもそのはず12月13日までに意見を取りまとめることになったからだ。
この辺りは2011年の債務上限引き上げ時と似ている。あの時は8月初めに引き上げ、超党派委員会を設置し、11月下旬までに削減項目を決めることになっていたが決まらず、昨年末に「財政の崖」騒動につながった。
法案の超党派委員会設置以外の骨子は、2014年1月15日までの暫定予算を組み政府機関の閉鎖解除。予算組みに関しては2013会計年度の実績に基づき規模を決めるらしい。債務上限については、2014年2月7日まで停止となった。これも年始の妥協案で5月18日まで停止し、それまで必要な額の借り入れ(国債発行)を可能にした方法と同じもの。今回は、当初の上院共和の案では、その後の財務省のやり繰りも禁止となっていたが、その条件も外されることになった。2月7日以降新規の借り入れができなくなっても、(利払いのスケジュールなどにもよるが)4月くらいまでは回るのかも知れない。オバマケア(医療保険制度改革法案)については、何らの修正もなかった。この点は、ベイナー下院議長が、敗北宣言的な発言をしたらしいが、その通りなのだろう。
さて、今回先送られたそれぞれの期日見て思ったのは、FOMCのスケジュールと微妙に被ることだ。今月末以降の日程は、12月17-18日、年明け1月28-29日となるが、この前後に財政日程が位置する。今回の政府機関閉鎖の企業家マインドや個人消費など景気への直接的あるいは心理的影響が懸念されているが、量的緩和策縮小を模索するFRBにとしても不透明要因として無視できないだろう。量的緩和策縮小の先送り見通しは増えそうだ。本日17日のNY時間外、ロンドンの取引時間帯に金が急騰したのは、こうした環境変化を映したものといえよう。