飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム(中部):長野県、上田市 蚕養国神社

2012年08月13日 | 万葉アルバム(中部)

たらちねの 母がその業(な)る 桑すらに
願へば衣(きぬ)に 着すとふものを 
   =巻7-1357 作者未詳=


  母が仕事で扱っている桑(くわ)でさえ、心から願えば、着物として着ることができるというのに。(かなわぬ恋も願えば実る。)という意味。

脇の説明版には、「”為せば成る 為さねば成らぬ何事も”のこころで積極的に生きたい」と添えられていた。

蚕(かいこ)は、桑の葉を食べて美しい絹を作り出すことから、古代人は蚕を神秘的な存在と考えていたようだ。
たらちねのは母の枕詞。


大星神社(上田市中央北3-2478-2)

 上信越自動車道・上田菅平ICを降りて上田市内に向かうとほどなく大星神社が見えてくる。

 この万葉歌碑は大星神社の摂社として佇んでいる蚕養国神社(こがいのくに)境内に建てられている。
上田地方は養蚕業がさかんで繊維産業に係わる人も多く、蚕糸業界の尊祟神として蚕養国神社(こがいのくに)を昭和16年に建立をした。養蚕・生糸から始まった上田市産業文化の発展を願い、平成19年に神社脇に万葉歌碑が建立された。
小さな古びた摂社に比べて万葉歌碑は大きく堂々としているような雰囲気を感じさせる。
昭和初期には盛んな養蚕業で上田市もかなり活気づいたようだ。現在は所々にそのなごりが感じられる。

 長野県歌「信濃の国」の3番後半部分には、蚕都上田の養蚕業が日本経済の命運を左右する程重要であることが歌いこまれている。
 「しかのみならず 桑とりて 蚕飼い(こがい)の業(わざ)の 打ちひらけ 細きよすがも 軽(かろ)からぬ 国の命を 繋ぐなり」

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