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信濃道(しなのぢ)は 今の墾道(はりみち) 刈(か)りばねに
足踏(ふ)ましなむ 沓(くつ)はけわが背(せ)
=巻14-3399 東歌=
信濃路は新しく切り開らかれたばかりの道。切り株に足を踏んだりしませんように、沓をおはきなさい。という意味。
「背(せ)」とは、女の人が恋人や夫、兄や弟など、心から大事に思う男性を指す際に使う言葉。
逆の男性から女性を指す場合は「妹(いも)」を使う。
和銅6年(713)に信濃と美濃を結ぶ道が12年がかりで開通したと続日本紀に書かれている。また飛鳥時代の末期からは、信濃国における官道の開発がすすんでいた。
官道とはいえ切り株の多い道だから、奮発して沓を履いて行ってくださいと、夫を気遣っている。
沓(くつ)といっても、当時はわらじのことのようで、庶民は素足で往来していたのが一般的なのだった。
非常に素直な愛情表現で、言葉の独特の響きが魅力でもある。
この万葉歌碑は千曲市上山田温泉の千曲川堤にある千曲川万葉公園(万葉橋南側)に建っている。
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