元2世信者らネット署名開始 計40団体・個人 呼びかけ人に
「しんぶん赤旗」2022年10月18日
統一協会(世界平和統一家庭連合)の解散命令(宗教法人格取り消し)を求めるネット署名が17日、始まりました。小川さゆりさん(仮名)、作家の冠木結心さんといった統一協会の元2世信者たちや識者、「全国統一協会被害者家族の会」など計40の団体・個人が呼びかけ人になっています。
署名期間は1カ月を予定し、永岡桂子文部科学相、葉梨康弘法務相、甲斐行夫検事総長に提出します。署名では、解散命令を速やかに裁判所へ請求するよう求めています。
署名と同時に提出予定の申し入れ書では、解散を求める理由として、▽統一協会による被害は重大で今なお継続している▽刑事裁判を含め複数の裁判で同協会の組織的違法性が認定されている▽国がこの問題に対処してこなかったことが間違い―などと指摘しています。そのうえで、統一協会は「全国民に被害をもたらす宗教法人」だと強調しています。
また申し入れ書は、同協会が先祖の因縁で不幸になるなどの教義によって恐怖を与え精神的に追い込み、不幸を避ける方法として高額な献金をさせると指摘。これらが信者らの経済的困窮を生み出し、脅迫観念にかられた親が子どもに信仰を強要する根本的な原因だとしています。
解散命令が出れば、税制優遇を失います。他方で、過去の被害は直ちに回復されません。このことから解散命令とは別に、被害の予防・救済や2世への社会的支援のための制度の整備が求められるとしています。
署名は17日午後6時半時点で、2万3千人の賛同が寄せられています。
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旧統一教会に対する岸田首相の本気度はどの程度なのか 「調査」でシロならお墨付き与える恐れも
「東京新聞」2022年10月18日
◆「調査」で何ができる?限界は?
では、宗教法人法に基づく「調査」では一体何ができるのか。
同法は1996年の改正で、宗教法人が法律に違反するなど、解散命令等に該当する疑いが出た場合、法人幹部や関係者に業務や管理運営について報告を求めたり、質問したりできる規定ができた。
しかし、これまでに一度もこの権限が行使されたことはない。旧統一教会に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏は「政府は信教の自由などを理由に解散命令請求や質問権の行使に慎重な姿勢に終始していたが、踏み込んだ対応だ」と話す。
ただ、質問権行使は初となるだけに、文化庁の進め方は慎重だ。まずは25日に専門家を集めた会議を開き、どういう場合に質問権を行使できるのか、基準づくりを始める。基準案が固まったら、法律家や宗教団体関係者らでつくる国の宗教法人審議会で、基準案や、教団側への質問項目について意見を聞いて、ようやく具体的な調査に入る。
◆いつまで?「断定的に申し上げられない」
調査はいつ終わるのか。岸田首相は17日の国会で「少なくとも年内には(質問の)権限の行使はしたいが、いつまでに、とは断定的に申し上げられない」と明言しなかった。
調査には限界が多い。施設の立ち入り調査をするには宗教法人側の同意が必要となり、強制力が働かない仕組みとなっている。宗教法人側が質問を拒否したり、うそをついたりしても、科されるのは10万円以下の過料にすぎない。
文化庁の調査能力という点でも懸念が残る。実務を担う宗務課の本年度の定員は8人、予算はわずか4700万円だ。体制としては心もとない。
しかも宗務課の調査・判断能力についてはすでに裁判所から疑問符が付けられている。2014年に鳥取地裁米子支部は、教団を巡る訴訟の和解調書に「従前の宗務行政の適法性・妥当性に疑問の余地がないわけではない」と国の対応を批判する文言を記した。その後、国が猛反発してこの部分は削除されたが、宗務課自身がこの訴訟の中で「宗教法人法上、宗務課は統一教会の行う伝道活動、霊感商法、献金献身の強要の実態について調査を行うことは困難」と自らの限界を吐露している。
◆調査している間に被害は拡大
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)などは、調査能力に乏しい文化庁の判断を待つのではなく、すでに積み上がった数多くの判例などを基に実態把握をすれば、すぐに解散命令請求を出せるはず、という立場で、再三にわたって文化庁に申し入れてきた。
いまさら調査を一から始めるとかえって手続きに時間がかかる。全国弁連は17日、「その間に被害が拡大する懸念も否定できない」との声明を出した。
消費者庁に設けられた霊感商法などの対策検討会の委員で弁護士の菅野志桜里氏は「すでに弁護団やジャーナリストらが積み上げた教団の組織的な法令違反行為を裏付ける裁判資料や内部証言はあまたある。これを活用すれば、解散命令請求まで1年も2年もかかる事案ではない。宗務課の体制を強化し、民間の資料を生かして事実の分析をきちんと進めるのかどうかが、岸田政権の本気度を測る試金石となる」と指摘する。
一方、上越教育大の塚田穂高准教授(宗教社会学)は質問権の行使が、必ずしも解散命令請求に結び付かない点に懸念を示しつつ、こう語る。
「質問権の行使は解散命令請求に進む唯一の道ではない。民事・刑事の違法事案の蓄積などから解散命令請求の要件が整うならば、遠回りせずスピード感をもって請求すべきだ。初の質問権行使の手続きや準備にもたつき、質問や調査が不首尾に終われば、かえって教団にお墨付きを与えることになりかねない。この点を非常に危惧している」
◆デスクメモ
衆院「解散」といえば首相の伝家の宝刀だが、今や旧統一教会の「解散」も、それに匹敵する重大な政治決断を伴う。初の質問権行使はその前段かと思ったら、自民党議員の声を聞くとどうにも心もとない。もし、単なる時間稼ぎなら、世論に岸田内閣の「解散」を求められるだろう。(歩)
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今日は降ったり止んだり、写真も取り忘れていたので昨日アップしなかった1枚を。色がきれいなのですよ。