国連がフェイスブックを批判する「ロヒンギャへのヘイト拡散の舞台」
ハフポスト 2018年03月19日 平 和博
68万人を超えるミャンマーのイスラム教徒ロヒンギャが迫害され、難民になっている問題で、国連調査団代表、マルズキ・ダルスマン氏は12日、国連人権理事会で報告を行い、ヘイトスピーチの氾濫について、フェイクブック(原文まま)を名指しで批判した。
ヘイトスピーチと暴力扇動がソーシャルメディアに蔓延している。特にフェイクブックだ。その大半は何のチェックも受けていない。
さらにミャンマーの人権問題に関する国連特別報告者のイ・ヤンヒ氏は、「怪物」という表現も使い、制御不能となっているフェイクブック上のヘイトスピーチの現状について、危機感を表明した。
ロヒンギャへの迫害は「民族浄化の典型例」とされてきた。
現地オフィスもない国で、フェイスブックは少数民族迫害における情報戦の主舞台として、責任と対応が問われている。
この批判に、フェイスブックは「世界をつなぐことが、いいこととは限らない」と、かつてのミッション・ステートメントの負の側面にも言及している。
●「フェイスブックは怪物」
ロイター通信によると、国連調査団代表のダルスマン氏は12日、国連人権理事会での報告の後、報道陣に対し、フェイスブックはヘイトスピーチの氾濫に「決定的な役割を果たしている」とし、こう述べている。
フェイスブックは、言うなれば、民衆の間に、とげとげしさ、あつれき、対立を広げる実質的な要因となっている。ヘイトスピーチは、まず間違いなくその一つだ。ミャンマーにおいては、ソーシャルメディアといえばフェイスブック、フェイスブックこそソーシャルメディアだ。
さらに、特別報告者のイ氏は、その実情について、こう報告している。
特にソーシャルメディアにおけるヘイトスピーチは、センシティブな意見、少数派の意見を抑圧する状況にある。今年1月、イスラム教徒の学生が、深夜にヤンゴンの繁華街にいたというだけで、警官に追われ、殴打され、拘束されるという事件があった。この件はソーシャルメディア上で、反イスラム感情による攻撃の発火点となり、その集中砲火がこの学生に向けられた。私自身もミャンマーにおけるイスラム教徒や少数派の宗教の立場を代弁しているため、ソーシャルメディアで、下品で、ヘイトに満ちた、暴力的な攻撃の的になっている。私が繰り返し述べているように、ミャンマーには、国際標準に沿った、差別や対立、暴力の扇動に対処する法律の制定が必要です。
さらに、イ氏も「ミャンマーではあらゆることがフェイスブックを通じて行われる」と、「ソーシャルメディア=フェイスブック」であることを指摘する。そして、報道陣にこう述べている。
フェイスブックは公的な情報発信にも使われてきた。だが、極右の仏教僧が自身のフェイスブックページを持ち、ロヒンギャや他の少数派宗教に対し、数多くの暴力やヘイトスピーチを扇動していることも、知られている。
らに、こう付け加える。
フェイスブックは今や、当初目指したものとは違い、怪物に成り果ててしまったのではないか、と懸念している。
●急増するユーザー
ミャンマーにおける「ソーシャルメディア=フェイスブック」は、そのユーザー数増加にも現れているようだ。
ニューヨーク・タイムズによると、ミャンマーにおけるフェイスブックユーザーは、2014年の200万人から、2017年には3000万人を超えたという。人口5400万人足らずの国で、その存在感は圧倒的だ。
フェイスブックはミャンマー国営電気通信事業体(MPT)と提携、データ量制限のない使い放題のフリープランに含まれていることが、その急増を後押ししているようだ。
そして、特別報告者のイ氏が指摘した「極右の仏教僧」とは、反イスラム教徒を掲げる「969運動」を主導する仏教僧アシン・ウィラス氏だ。
FBの危険性を感じ、わたしは退会した。2015年3月だった。そもそもFB自体が偏見に満ちた組織である。