里の家ファーム

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「私がもっとも正したい人間の欠点は攻撃性です」(ホーキング博士)

2018年03月18日 | 社会・経済

セクハラ撲滅 

国連で伊藤さん会見「WeToo」運動提唱

   毎日新聞2018年3月17日

  【ニューヨーク國枝すみれ】自身への性暴力被害を告発したジャーナリスト、伊藤詩織さん(28)が16日、国連本部で記者会見した。日本では、性被害を告発した女性に対する反発が「過酷だ」と主張。米ハリウッドから始まったセクハラ撲滅運動「MeToo(私も被害者)」の代わりに、「WeToo(私たちも行動する)」運動を提唱した。

    伊藤さんによれば、「MeToo」は日本で大きな運動に発展していない。社会の反発を恐れる被害女性が経験を共有することを尻込みするためだ。伊藤さん自身、告発後、インターネット上などで激しい中傷や脅迫を受けた。自宅に戻れなくなり、人権団体の助けで昨秋からロンドンに移住した。

 「運動の目的は誰かを責めることではなく、未来を変えること」と考える伊藤さんは、より多くの人が運動に参加しやすいように「WeToo」と呼ぶことを提唱したという。

  記者会見に同席した人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長の伊藤和子弁護士は、告発女性に対する反発は「もう一度レイプするようなもの」と強く批判。また、2016年に成立したヘイトスピーチ対策法は「インターネット上での女性に対する差別的、暴力的な発言を禁じていない」として、「法の不備」を指摘した。

 


 

  他人の気に食わない主張、行動を自分の立場を明らかにせずに暴言で封じ込めてしまう。嫌な社会になったものだ。

先日亡くなったホーキング博士の言葉です。

 小惑星の衝突で地球が滅亡する、世界的に疫病が蔓延する、大規模噴火が発生する――そんな類の話ではない。

「私がもっとも正したい人間の欠点は攻撃性です」。
「攻撃性は、洞窟で暮らしていた時代には、より多くの食べ物、土地、生殖のパートナーを獲得して生き延びるために好都合だったのかもしれませんが、いまでは私たちすべてを破滅させるおそれがあるのです」

と、語ったという。


教育技術『道徳』

2018年03月17日 | 教育・学校

森友文書改ざんで揺れる国会 
 首相答弁「至誠」はどこに? 
野党議員の落選当てこすり/再三の朝日新聞批判

   毎日新聞2018年3月16日

  春の足音は近いのに、永田町は、いや安倍晋三政権は冬の嵐に逆戻りである。例の森友学園を巡る公文書改ざん問題で「モラルの底が抜けた」の感を深める人も多いだろう。今国会でも、相変わらず安倍首相の口から飛び出す「安倍語」を聞くと、政治こそ「底抜け」の元凶ではないか、とすら思えてしまう。【吉井理記】

   永田町が騒がしい。国会では与野党の紛糾が続き、首相官邸前では、公文書改ざん問題への抗議デモが連日のように続く。

 その国会を間近に望む憲政記念館。外の騒がしさがうそのように静かな2階の一角に、吉田茂以来の歴代首相の揮毫(きごう)が並んでいる。

 書は人なり、と言う。「経国済民」で、さっそうとした筆さばきを残したのは「所得倍増」を唱えた池田勇人氏。中曽根康弘氏の「風雪磨人」は、たくましい闊達(かったつ)さが墨痕ににじむ。鳩山由紀夫氏が、祖父・一郎氏と同様にしたためた「友愛」は素朴な味だ。

 さて、渦中の安倍首相の揮毫は「至誠」の2文字である。書には疎いが、素人目にも達筆である。首相が著書「新しい国へ」などで、「郷土・長州の英雄」と仰ぐ吉田松陰が好んだ孟子の言葉「至誠にして動かざる者は、いまだこれあらざるなり」からの引用か。

  広辞苑によると、「至誠」とは「きわめて誠実なこと。まごころ」とある。公文書改ざん問題で、財務省が調査結果を国会に報告した12日、報道陣に「行政全体の信頼を揺るがしかねない。なぜこんなことが起きたのか」と嘆いた安倍首相である。ならばこそ問いたい。今国会で「誠実さ」や「まごころ」をないがしろにした言動はないのか、と。

  「『詭弁(きべん)の社会』の到来です」と嘆き悲しむのは、政治評論家の森田実さん(85)だ。

  半世紀以上、永田町をウオッチしてきた大御所だが、2年前に胃潰瘍による大量出血で死線をさまよった。それでも、風雨をついて待ち合わせた当日、喫茶店に現れた森田さん、ほとばしるような語気で続けるのだ。

  「『詭弁の社会』とは何か。当たり前の、まっすぐな道義感が薄れた社会です。国民の範たる国会で、最低限の道徳観をも打ち破るような物言いをする指導者が、喜ばれるようになってしまった」

  例えば、2月26日の衆院予算委員会でこんな一幕があった。2012年の衆院選で落選し、昨秋に返り咲いた立憲民主党の本多平直氏の質問でのことだ。話題の森友学園問題で、妻昭恵氏の関与の有無を改めて問われた安倍首相は答弁に立つたび、こんな「枕ことば」を挟み込んだ。

  「(本多氏は)議員でおられなかったからご存じないかもしれませんが、昨年の国会で何度もご説明申し上げています」

 わずか数分のやり取りの間に3回も「この場におられなかったから」を繰り返し、最後に本多氏は「失礼なことを言うな」と怒り出して審議がストップしてしまった。聞きようによっては、落選中だったことをあげつらうかのような言葉である。通っている職場や学校などで、このような発言を繰り返す人物がいたら、読者はどうお感じになるか。

 「誠実に、真っすぐ答えるのではなく、相手をあざけるかのような応対をする。そうすると、自分の支持者が『うまい』と喜ぶからです。モラルが崩壊している。さらに深刻なのは……」と森田さんが言葉を継いだ。

  今国会の森友学園問題を巡る答弁で、首相が繰り返したのが朝日新聞批判である。例えば1月31日の参院予算委。民進党の小川敏夫氏が首相と森友学園との関わりをただしたのに対し、「(学園側が)朝日新聞に『安倍晋三記念小学校』として申請したと(証言した)。朝日新聞は裏を取らず、事実かのごとく報道した」と、質問にない朝日批判を繰り広げた。

 「指導者のモラル 底抜けた」

  森田さんは「特定のメディアや企業、個人を、名指しで公然と批判した首相が、これまでいたでしょうか」と前置きし、こんな例を挙げた。

  第二次大戦後の1950年。日本がサンフランシスコ平和条約を結ぶ前年、当時の吉田茂首相が、旧ソ連や中国を含む「全面講和」を唱えた東大学長・南原繁を「曲学阿世(きょくがくあせい)の徒」と批判し、大問題になったことがある。

  「これは非公開の、オフレコの場で漏らした吉田の一言が報道されたんです。今はどうか。一国の最高指導者が、公の場、しかも国会で一メディアを繰り返し名指しで批判する。指導者の、最低限のモラルも底が抜けてしまった」

  もちろん、メディア批判は一切許されないと言っているわけではない。憲法が保障する言論・表現の自由にかかわる問題である。

 前出の小川氏とのやり取りは、朝日新聞が朝刊1面(3月2日)で「森友文書書き換えの疑い」と最初に報じる前のことだが、安倍首相は、やはり森友学園問題を巡る問いに「いや、これ、こんなことを延々とここで議論されるという、この考え方がよく分からないんですが」と言い放っていた。国会に説明責任を負う行政府の長の姿勢としてどうなのか。

  森田さんは「安倍さんのような物言いが、国会で、日本社会で受け入れられてしまうようになった。安倍さんを支持する人も、日本をそんな国にしてよいのか、一度立ち止まって考えてほしい」。

  日本の政治潮流を考察しつづけてきた政治学者、杉田敦・法政大教授は、こんな見方を披露する。

 「国会の役割は、政府の権力行使の監視です。疑念があれば、質疑で政府をチェックする。これが三権分立と立憲主義の柱です。首相が自分を監視するメディアや野党、質問をバカにし、あるいは敵視したり、正面から答えなかったりするのは、監視が煙たい、彼らが邪魔だ、と感じているからではないか、と思えてなりません」

  今回の公文書改ざん問題でも、5日の参院予算委で、共産党の辰巳孝太郎氏が「改ざんが事実なら内閣総辞職に値する。最高責任者として責任をとるのか」と問うたが、「仮定の質問には答えられない」と正面から答えなかった。

 「仮定の質問には……」という答弁は一見、もっともらしい。しかし、安倍政権自身、「答えることが困難な仮定の質問」の定義について、「個別具体的な状況が明らかではない場合」などとする答弁書を昨年2月7日に出している。辰巳氏の問いは「個別具体的な状況」を明らかにしていないのか?

  杉田さんが首をひねる。「全く考えられない、あり得ない状況を前提にした問いには答えられませんが、そうでないならただの『逃げ』です。ここにも野党や国会、三権分立を軽視するような姿勢を感じます」

  付け加えれば、安倍首相は野党時代、民主党政権が戦後補償の関係資料を黒塗りにして国会に出したことに「それはひど過ぎる! 国会軽視もはなはだしい」(月刊誌WiLL、10年7月号)と憤っていた。

  そして今国会。裁量労働制の拡大をめぐる問題で、安倍政権が国会に示した関係資料が黒塗りだらけだったことは記憶に新しい。これまた「誠実」な対応と言えるのかどうか。

   さて「保守主義者」を自任する安倍首相、1月に亡くなった思想家、西部邁さんについて「一番共鳴するところ」があると記している(96年の共著「『保守革命』宣言」)。

  西部さんとの親交が深かった評論家の佐高信さんは「本当に西部さんの考えを理解しているのか。保守の知恵はもっと深い。だれかを敵視したり、バカにしたりするような考えには至らないはずだが」と苦笑いする。

       (中略) 

  右から左まで個々人の政治信条は異なっても、宰相として「至誠」かどうか、しっかり見極める時期にきたのかもしれない。


 

  「恥知らず内閣は確実に飛ぶ」昨年同日のブログ題名である。1年たってもまだしがみついている。みっともない限りだ。

   安倍政権の強いごり押しによって教科化された「道徳教育」。これが、あの方の理想の「徳」なのか!


これ以上の犠牲者を出さないために。

2018年03月16日 | 社会・経済

自殺した近畿財務局職員が「自分1人の責任にされてしまう」のメモ! 財務省理財局でも責任押しつけの犠牲者が

  リテラ 2018.03.16.

 「このままでは自分1人の責任にされてしまう」「冷たい」──今月7日に自殺した近畿財務局の男性職員が遺したメモの詳細を、昨日夜、NHKが伝えた。

  この男性職員が書き遺した言葉は、痛ましく、生々しい“告発”だった。数枚にわたるメモには、こんなことが綴られていたという。

 「決裁文書の調書の部分が詳しすぎると言われ上司に書き直させられた」

 「勝手にやったのではなく財務省からの指示があった」

 「このままでは自分1人の責任にされてしまう」

  男性職員は仕事に真面目だったと報じられているが、本省から文書の改ざんを指示され、さらにマスコミ対応にも当たり、どんどんと心身ともに追い込まれていったとみられている。実際、現在発売中の「週刊新潮」(新潮社)によれば、親族は男性職員から「(月に)100時間を超える残業が続いていた。それも何カ月も」「鬱の反応が出ている。薬も合わず、夜も眠れない」と聞いていたと語っている。

  しかも、政府は当初、近畿財務局だけに責任を押し付ける方向で動いていた。そうした状況が男性職員を死に追い込んだのは、「このままでは自分1人の責任にされてしまう」というメモの文章からも明らかだ。

  安倍首相や麻生太郎財務相がまったく責任をとろうとしない一方で、現場の職員だけが追い詰められているこの状況には激しい怒りを感じるが、犠牲者は他にもいるようだ。

  数日前から、今度は財務省理財局の職員が自殺したという情報が流れている。しかも、2人の名前が挙がっている。

  ひとりは、理財局国有財産業務課の係長だったAさん、もうひとりは、理財局の別の課の調査主任のBさんだ。

 佐川局長の答弁チェックにかかわっていた財務省理財局職員にも自殺情報

   調べてみると、まず、国有財産業務課係長のAさんについては事実である可能性が非常に高いことがわかった。Aさんは今年1月29日に亡くなっており、これが自殺とみられているのだ。

  しかも、Aさんは直接、森友学園の土地取引にかかわったわけではないが、当時は佐川宣寿局長らの答弁チェックも担当していたという。

  また、亡くなった1月はまだ、改ざんは明らかになっていないが、すでに大阪地検の内偵捜査ははじまっており、土地取引問題が何らかの影響を与えた可能性がある。

 ただ、Aさんについては、すでに複数の新聞、テレビが財務省に取材をかけているものの、財務省が「過労死」だとして自殺を否定しているようだ。

 「警察は非公式に自殺と認めているんですが、財務省が認めないため、各社とも記事にできない状況です」(全国紙社会部記者)

  一方、もうひとりのBさんについては、いま現在も「過労死なのか自殺なのか確認がとれない」「自殺でなく自殺未遂。生存が確認された」とさまざまな情報が入り乱れている状態で、はっきりとした事実はわかっていない。

 「とにかく、財務省理財局は責任を押し付けられ、疲弊しきっている。ちょっと姿が見えないと『自殺したんじゃないか』と疑心暗鬼になっている状態です。一昨日も官邸とのパイプ役である官房長が連絡が取れなくなって、『すわ自殺か』と大騒ぎになったばかり。結局、官房長は見つかり、予算委員会の答弁に立つことになったらしいですが」(同前)

  しかし、少なくともたったの1〜2カ月のあいだに、森友学園の土地取引をおこなった部署で、自殺、あるいは自殺が疑われる件が複数もち上がっているということ自体が異常な状況だろう。

  そして、安倍首相や麻生財務相が今後も「改ざんは財務省理財局と近畿財務局がやったこと」という責任押し付けをつづければ、さらに犠牲者が増える可能性もある。繰り返すが、近畿財務局の職員は、「このままでは自分1人の責任にされてしまう」というメモを残して自殺しているのだ。

  痛ましい事態がこれ以上広がらないためにも、権力中枢にいる本当の「犯人」を徹底追及し、責任を取らせる必要がある。(編集部)


  疑惑が露呈し始めたころ、ごみ運搬にかかわったとされる業者も自殺している。こんなに多くの命を犠牲にした「疑惑」がこれまでにあっただろうか。調べれば調べるほどに犠牲者が増えることになるのではないか。そのためにも、中枢の安倍夫妻がはやく責任をとることが重要だ。

 春めいてきたが昨夜からまた雪が積もり、今朝は除雪車が出動した。
今年は早々と君主欄が咲き始めた。


フロリダ銃乱射から1カ月

2018年03月15日 | 事件

銃規制で方針撤回、米大統領に批判

AFPBB News - 2018年3月13日

  【AFP=時事】米フロリダ州の高校で先月起きた銃乱射事件を受けてホワイトハウス(White House)が発表した一連の対策で、ライフル銃規制の一部が見送られたことから、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が銃ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」の圧力に屈したとの批判が上がっている。 

 先月14日にフロリダ州パークランド(Parkland)の高校で起きた同事件では、19歳の男が半自動式ライフルを乱射し、17人が死亡した。事件を受け対策を求める圧力を受けたトランプ氏は、殺傷能力の高いライフルについては購入可能年齢を18歳から21歳へ引き上げる措置への支持を示していた。 

 だがトランプ政権が11日に発表した対策にはこうした措置への言及がなかった上、ホワイトハウスが先に提案していた、インターネット上や展示会で販売される銃器の購入者に対する経歴調査強化も盛り込まれることはなかった。 

 ベッツィー・デボス(Betsy DeVos)教育長官はその代わり、トランプ氏が提唱し議論を呼んでいる教職員武装化の方針を重視する意向を表明。教育関連団体が反対する中、NRAが支持する同措置の実現に「迅速に取り組む」と宣言した。 

 トランプ氏はツイッター(Twitter)への投稿で、銃購入年齢の引き上げについては各州の判断に任されると説明。「(控えめに言っても)政治的支持があまりない」と書き込んだ。 米国では、トランプ政権発足後の1年間で史上最悪規模の銃乱射事件が3件も発生しており、トランプ氏に対しては、発表された対策では全く十分ではないとする批判が高まっている。 

 民主党のチャック・シューマー(Chuck Schumer)上院院内総務はツイッター投稿で、政府の対応を非難。「この国では銃による暴力がまん延しており、大きな一歩を踏み出すことが求められているのに、ホワイトハウスはNRAを怒らせまいと、小さな一歩しか踏み出さなかった」と書き込んだ。【翻訳編集】AFPBB News

 

 

全米の高校生が銃規制強化訴え、フロリダ銃乱射から1カ月
  
CNN 2018.03.15

 

  米フロリダ州の高校で1カ月前に起きた銃乱射事件を受け、全米の高校生が14日、授業を抜け出して犠牲者を追悼し、銃規制強化を求める抗議運動に参加した。

 抗議運動は東部のメーン州から西部のカリフォルニア州まで米国各地で現地時間の午前10時ごろから始まり、フロリダ州の高校で死亡した17人をしのんで、17分間、授業を抜け出した。

アフリカや欧州など世界各国の学生も同日、米国の学生に連帯して抗議運動を展開した。

 全米の抗議デモはこの日1日を通して続いた。参加者はオレンジ色のシャツを着たりプラカードを掲げたりしてデモ行進し、学校での銃乱射事件再発を防止するため、議員に行動を呼びかけた。

 ロサンゼルスの高校では、犠牲者をしのんで生徒たちが地面に横たわるダイインを展開。首都ワシントンのホワイトハウス前にもデモ参加者が詰めかけた。

 フロリダ州パークランドでは、事件現場となったマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒たちが夜明け前から起き出して、何百本もの風車でキャンパスを彩った。

 24日には同校の生徒が首都ワシントンで大規模なデモを計画している。このため14日の抗議運動は当初、それほどの盛り上がりは期待されていなかった。しかし全米で参加者が増え続ける中、その場で参加を決めた生徒もいた。

 全米の学生が授業を抜け出して犠牲者を追悼し、銃規制強化を求める抗議運動に参加した。


 CNNのニュースビデオなどみると、高校生だけでなく、小中学校にも及び、多くの学生たちが抗議の声を上げ始めている。


形骸化する「裁判官の独立」 “お友だち”と”あんな人たち”

2018年03月14日 | 社会・経済

大飯原発が14日に再稼働! 差し止め判決を出した地裁裁判長は左遷、一変した控訴審…裁判所で何が起きているのか

大飯原発福井訴訟弁護団・島田広弁護団長インタビュー

  リテラ 2018.03.13.

   福島第一原発事故から7年。事故直後はすべて止まっていた原発だが、現在までに高浜原発3、4号機、伊方原発3号機(定期点検中)、川内原発1、2号機が再稼動し、さらに明日3月14日には大飯原発3号機までもが再稼動する見通しとなっている。

  大飯原発といえば、住民らによる運転差止め訴訟で2014年5月、福井地方裁判所の樋口英明裁判長(当時)が3、4号機の運転差止めという判決を出した原発だ。しかし、この判決に対して関西電力(関電)がすぐに控訴。差止めは確定されなかった。

  しかも、この判決後、露骨な圧力を思わせる事態が起きる。差止め判決を出した樋口裁判長は大飯原発訴訟の後、高浜原発の差止め訴訟を担当。15年4月に高浜原発再稼働差し止めの仮処分を出すのだが、その後、名古屋家裁に“懲罰左遷”される。そして、後任の裁判長は、高浜の樋口判決を覆して再稼働を決定してしまったのだ。

 これは、再稼働に躍起になっている政権と原発ムラの圧力が司法にまで及んでいたという証明だろう。

  となると、懸念されるのは前述した大飯原発訴訟の控訴審の行方だ。名古屋高裁での再稼働をめぐる審議はその後3年続き、昨年2017年11月に結審、いつ判決がなされてもおかしくない状態だ。14日の再稼働は避けられないが、もし、控訴審で一審の判決が維持されれば、再び停止に追い込む可能性もある。

  しかし、現在の状況をみていると、高裁判決で一審の樋口判決は覆されてしまうのではないか。そんな懸念がわいてくる。そこで、今回、一審で樋口判決を引き出した原告側弁護士で、現在は控訴審の弁護団長を務める島田広弁護士にインタビューを敢行した。

  現在、訴訟はどのような状況になっているのか。島田弁護士の証言から浮かび上がってきたのは、再稼動にひた走る政府と電力会社を忖度しているとしか思えない裁判所の醜悪な姿だった。原発事故7年、訴訟の最前線を検証する。(編集部)

 

一審で差し止め判決が出たのに、再稼働のために控訴した関西電力

──まず、島田さんが大飯原発の訴訟に関わることになった経緯についてお聞きしたいんですが。

 島田 1998年に弁護士になり、入ったのが高速増殖炉もんじゅの訴訟を手がけていた法律事務所でした。そのため最高裁判決までもんじゅ訴訟に関わったのです。結果は敗訴でしたが、そうした過程から、日弁連のエネルギー・原子力部会にも入り、日本の原発問題についての問題意識を持っていました。そして2011年3月の原発事故をきっかけに、翌年の大飯原発福井訴訟に関わり、昨年4月から団長を務めています。

 ──2014年、福井地方裁判所の樋口英明裁判長(当時)が大飯原発3、4号機の運転差止めという判決を出したときも、訴訟を担当されていたわけですよね。

 島田 ええ。樋口判決は画期的なものでした。福島第一原発事故の被害と向き合い、原発災害は、憲法上最も重要な価値を持つ“人格権”を奪うものであり、その具体的危険が万が一でもあるのだから、原発の運転を差し止めるのは当然と判断したわけですから。また、関電の経済性優先、安全軽視の姿勢を厳しく批判していました。

  私たちも必死でしたが、この判決はやはり樋口裁判長の姿勢、裁判官としての良心も大きかったと思います。従来の原発訴訟では、行政による安全審査の結果を安易に信用し、それをなぞるだけのような判決が多かったのですが、樋口さんは、自分が疑問に思った安全性の問題点は、迷わず関電に釈明を求めました。そこには樋口さんの強い危機感があったのでしょう。しかし関電は、裁判所からの疑問にきちんと答えようとしなかった。そうした態度が関電が敗訴した大きな要因です。

 ──しかし、判決後、関電がこれを不服とし、控訴しました。その結果、地裁で差止め判決が出て、現在でも控訴審が続いているのに、大飯原発は14日、再稼動してしまう。それ自体が大きな問題と思えます。すでに燃料も運び込まれました。

 島田 法的にはともかく、道義的には非常に問題があると思います。裁判所がきちんと判断して、判決を出しているのに、それを無視しているのですから。運転差止め判決の効力は、判決が確定してから生じるものなんです。ですから関電は樋口判決を確定させないために控訴してきたのでしょう。こうした横暴を止めるためにも、なんとか控訴審は勝たないといけないとがんばってきたのですが。

 ──その控訴審は現在、どういう状況ですか。

 島田 名古屋高裁金沢支部での控訴審は、実質審議に入って3年続き昨年11月に結審しました。現在、判決についてはまだ正式な通知はありません。しかし高裁の審理は、一審の樋口裁判長の時とは真逆で、前半の2年間は、ほとんど何も進まなかったのです。私たち原告側と関電側がお互いに言いたいことを言って、書面のやり取りをしていたのですが、しかし行司役、つまり裁判所が何もしない。本来なら裁判所が指揮をするべきなのですが、それがない。最近は争点整理が重要視され、裁判所が双方の言い分が噛み合っているか、疑問があるかなど精査、指揮するのですが、それが一切ない。お互いが言いっ放しという状態が続きました。しかも関電は、こちらが提起した問題点にまともに答えないことも多く、仕方がなく、弁護団で争点整理表を作って、突きつけたほどです。樋口判決を放置し、裁判を進めず、原子力規制委員会の安全審査の結果だけを待っていた。そんな印象を持っています。東京大学名誉教授であり前原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦氏の証人尋問だけはしましたが、島崎氏の証言で指摘された数々の疑問点を解明するために住民側が行った証人尋問は全部却下し、「くさいものに蓋」といわんばかりに強引に審理終結を図ったのも、そうした姿勢の表れです。

差し止め判決を出した樋口裁判長に左遷以外にも…最高裁の露骨な原発推進人事

 ──一方、樋口裁判長の人事については、どうお考えですか。大飯原発での判決後、名古屋家裁に“懲罰左遷”され、最高裁判所事務総局民事局にいたエリート裁判官が後任の裁判長となり、高浜の樋口判決を覆して再稼働を決定しました。

 島田 原発訴訟では、最高裁による不可解な人事がしばしば見うけられます。いま進行している大飯原発の控訴審でも同じようなことがありました。2014年5月に樋口判決が出て、8月に控訴審の進行協議がもたれました。当時の高裁裁判長は関電側にも「きちんと主張しなさい」と厳しく言っていたのです。しかしその裁判長はあっさりと転勤になってしまった。そして11月に審理が始まったのですが、次にきた裁判長は、当時の最高裁事務総局のトップである事務総長の戸倉三郎氏の同期の裁判官で大学の後輩でした。戸倉氏の出身大学から同期で裁判官になったのは3人しかいないのですが、その一人なのです。知らない間柄であるはずがなく、当時は、露骨なことをするものだと思ったものです。もちろん、単なる「偶然」だと説明することは可能でしょうが、「李下に冠を正さず」とはおよそかけ離れた不可解な「偶然」であることは間違いなく、しかも、この後任の裁判官によって強引な結審が図られたことも、客観的事実です。ますます疑いは深まったとみざるを得ません。

  また結審後ですが、大飯原発は今年1月に再稼動の予定が、神戸製鋼所グループの検査データ改ざん問題で、その製品が使われていたことで、延期されました。そのため、きちんと検証すべきだと弁論再開の申し立てをしましたが、放置されたままです。その後も、大飯原発の地盤調査の誤りを指摘する意見書を専門家に作成してもらい、審理するよう弁論再開の申し立てをしましたが、今のところ、裁判所からは何の反応もありません。裁判所の職責である真実の解明を放棄して、かたくなに結審にこだわる姿勢の異常さが、際立っています。

 ──樋口氏の高浜判決後、福井地裁に異動してきた裁判官3人は全員が事務総局経験者でしたし、当時原発訴訟に対する最高裁の露骨な介入として問題になりました。

 島田 最高裁の原発訴訟に対する姿勢には、疑問を感じることばかりです。そもそも1992年の伊方原発訴訟の最高裁判決以降、いわゆる伊方方式と言われているものですが、裁判所は訴訟を起こした住民側が乗り越えることが困難な高いハードルを課しています。またもんじゅの最高裁判決を見た時にも、「これが原発に対する最高裁の態度か」と強く感じた経験がありました。本来最高裁は法律審なので、控訴審が確定した事実認定を前提として、それをいじらずに判断しなければならないはずなのです。しかしもんじゅ訴訟では、そこをいじった。最高裁はこんな政治的な判決を書くのか、とつくづく思い知らされた一件でした。福島事故の際に、司法の責任を問う声があがったのは、当然でした。

  ──やはり最高裁も政府からの圧力、もしくは忖度で、再稼働を阻止するような判決を出したくないということなのでしょうか。

 島田 福島事故後は、その教訓を生かそうという動きも裁判所で確かにあったのです。事故後、原発関連訴訟を扱う裁判官を集めた研究会が2回行われています。こうした研究会での議論は、最高裁判所から全国の裁判官への“意思伝達”の意味もあるものなのですが、1回目は、闊達な議論があり、裁判所による踏み込んだ安全審査に前向きな裁判官も多く、私たちも期待しました。しかし2013年の2回目の研究会は、その雰囲気は全く違うものでした。旧保安院と違って原子力規制委員会は頑張っているんだから、その判断を尊重すべきだ、だから従来の伊方方式でよい、というのが基調でした。この2回目の研究会報告を目にしたとき、私は、裁判官の「引き締め」を図る、最高裁の露骨な意思表示だと感じました。

  そこにはさまざまな要因があるかと思います。善意に解釈すれば、政治的な問題では、政権に反するような判決を書くと、裁判所自体、非常に強い政治的な攻撃にさらさる危険がある。そういうこと恐れているのかもしれません。1970年前後、裁判官の思想、信条を理由とする自民党などからの裁判官・裁判所批判、いわゆる青法協事件も経験している。もうひとつは裁判所といえども内閣に予算を握られているので、ものが言えない部分もあるでしょう。さらに安倍政権になって、最高裁判事の人事権を実質的に行使、介入し始めた。これまでは慣例として、最高裁が推薦すれば、選任権のある内閣はそれを選任してきた。しかし安倍政権は“今度は俺が選ぶ”と。これは大きい。最高裁判事の人事権に実質的にタッチするようになった安倍政権の存在は、相当な影響があると思います。

 ──しかも安倍首相は加計学園の監事という“お友だち”を最高裁判事に任命しました。こうした介入は裁判所にとってプレッシャーになります。さらに政権を忖度した判決がなされる危険性もある。

 島田 樋口さんがなぜ名古屋家裁に行くことになったのか、外部からは伺いしれませんが、客観的事実として、この人事を見た他の裁判官にとって萎縮効果は大きかったでしょう。もちろん、一般的な民事事件では、多くの裁判官は公正な判断を示そうと真摯に努力しています。しかし、こと原発訴訟となると、こうした萎縮効果が、裁判官に重くのしかかるのです。

地盤調査、基準地震振動…控訴審で明らかになった関西電力のデタラメ

 ──そういった点をふまえると、控訴審の判決は理不尽な結果になる可能性が高いのでしょうか。

 島田 私たち住民側は、論戦では関電を崖っぷちに追い詰めました。控訴審では重要なことが明らかになりました。それが安全性の根幹に関わる地盤、そして基準地振動の過小評価の問題です。大飯原発の場合、耐震設計の基準とする地震動“基準地震動”は過去に起きた地震の平均値に設定されています。これはつまり、それ以上の大地震を想定していないということですが、しかし、関電は、大飯原発の地域性を考えればそれで十分、つまり施設下には硬くて均一な地層が広がっているからそれを超える地震はこないと主張してきました。断層の傾きなどの不確かな条件も厳しい条件設定をした、と。それが関電の主張の核心でした。私たち住民側も、関電の主張の信憑性を疑ってはいたものの、関電からは簡単なグラフしか出してこなかったこともあり、データを見ても問題点がはっきりしない。それが、島崎氏の関電のデータの不充分さを指摘した証言をきっかけに、複数の専門家に関電のデータを精査してもらった結果、関電の主張がデタラメだったことが次々わかってきたのです。

 ──具体的には、どういう部分がデタラメだったのでしょうか。

 島田 まず、関電が調査したのはほんの表層のみで、3kmを超える震源断層までの地下構造は詳細にはわからないこと。また最新技術を使えば、関電が行った地盤調査のさらに数倍の深さの調査が可能でより正確なデータが取れるのに、それも行っていなかったのです。さらに地盤調査の評価の結果もごまかしています。関電は地層の重なり具合の調査について図を添えて「地層の歪みは認められていない」と規制委員会に報告しましたが、その図を専門家に見てもらったところ、その歪みが一目瞭然だったのです。つまり「想定外」の大地震は起こり得るということです。

  また、関電が基準地震動を計算する際に使った計算方法では、大幅な過小評価になることが判明し、さらに規制委員会の審査についても、政府の地震本部の評価方法や規制委員会が定めた審査ガイドに違反していたことも、島崎氏は指摘しました。

 ─ようするにろくな調査もせず、その結果もごまかしだった、と。地盤や想定の地震規模というのは安全性の根幹のところなのに、ひどい話ですね。

 島田 まだあります。関電は施設の地盤は均質で硬さを示すP波速度は秒速4.6kmの硬い地盤だと主張しましたが、京都大学の助教授であった赤松純平氏が関電の計測データを確認したところ、広い範囲でそれを下回っており、地盤が不均質だとわかったのです。審査ガイドでは均質な地盤以外は三次元探査が必要となっていますが、それも行われていません。さらに、基準地震動と原発施設に影響を与える短周期の地震動についても、不可解なデータ操作がなされています。短周期の地震動は、地表近くの地盤による増幅の影響を受けやすいのですが、関電は自らの調査解析の結果、原発直下に近い地盤に地震動を増幅しやすい低速度層(比較的ゆるい地盤)が確認されたのに、それを無視して計算していたのです。その他、不都合な一次データの不記載などもありました。

  このように、関電の地盤調査は問題だらけです。私たちは、様々な精査をし、他の専門家からの裏づけもとり、そして裁判において3人の専門家の証人尋問、証拠調べを求めましたが、裁判所からは却下されました。先ほど述べたように、新たな意見書に基づく弁論再開もなされていません。

それでも露骨に関電の肩をもつ裁判所、形骸化する「裁判官の独立」

 ──証拠調べの請求が軒並み却下されたんですか? 客観的証拠もあり、関電の主張のデタラメさもわかっているのに。

 島田 それがいまの裁判所の態度です。関電側は、裁判所をなめてかかっている感じさえします。裁判所に対しては行政の安全審査に提出した資料を示すだけで、疑問点には何をきかれても前と同じような主張を繰り返すだけ。そして最終的に安全審査が通れば、裁判所もそれに従うだろうと。逆に言えば、裁判所に厚い信頼を持っているなとさえ思うほどです。関電は一審でも裁判官からの求釈明に対しまともに答えなかった。それで負けたとも言えますが(笑)、しかし今回も基本的に一緒です。住民側が指摘した疑問点にはなるべく答えないという姿勢で、同じような話を繰り返し、核心部分はごまかし答えない、不都合なデータは明らかにしない。福島事故の後も体質は変わらないのでしょう。

 ──そうした関電や裁判所の姿勢を変えるためにはどうしたらいいんでしょうか。

 島田 問題の根本は、こと原発をめぐる訴訟においては、不当な人事と「研究会」を通じた最高裁の圧力が高まる中で、「裁判官の独立」が形骸化し、究極の無責任体質の隠れ蓑に転化しているのではないかと疑われることです。もちろん、樋口判決のほかにも、大津地裁、最近の広島高裁など、圧力をはねのけて勇気ある判決を書く裁判官がいることは重要ですが、圧力に屈する、というか、屈するという明確な意識すらなく最高裁に追随する裁判官が多いのです。

  こうした状況を転換するのは、相当難しいと思います。国民が「おかしいだろう」と知り包囲していく。そんな世論の高まりしかないのかもしれません。官僚司法制度そのものへの疑問を掘り起こして、かねてから日弁連が主張している法曹一元制(裁判官、検察官を弁護士経験者から任用する制度)など、裁判官の任用システムをダイナミックに変えない限り難しいでしょうね。原発の問題に関して言えば、再稼動に反対する市民は多いですから、具体的に行動を起こしていく人が一人でも増えていくことしかないでしょう。

  福井県は原発集中地です。そして大飯原発の下にゆるい地盤があること、基準地震動が過小評価されていることがはっきりした。これは深刻な問題です。このままでは、大飯原発を大きな地震が襲ったとき、福島第一原発事故のときのような「想定外」の事態に陥ることは、大いにあり得るのです。

  今後、政治が変わらない限り再稼動は相次ぐでしょう。しかし、その安全性は誰が保障しているのでしょう。規制委員会は「安全だとは言わない」といい、政府は規制委員会の安全審査に合格したのだから動かすのだという。国民の基本的人権を守るべき裁判所は最後のストッパーですが、実はそこに、行政追随、最高裁追随の究極の無責任体質が広がっているとしたら、住民が安心できるわけがないでしょう。

  私の力はとても小さなものですが、司法の世界に身を置く者の一人として、原発をめぐる無責任ぶりをどうにかしなければという強い思いがあります。放置していたら福島の人々に本当に申し訳ないですからね。そのためにも樋口判決を守っていくことが大切だと思っています。

 ■島田広

 弁護士。1968年、愛媛県生まれ。東京大学法学部卒業後、1995年に司法試験に合格。1998年福井弁護士会に登録。2012年に大飯原発福井訴訟弁護団に参加、2017年4月から同弁護団長。著書に「動かすな、原発―大飯原発地裁判決からの出発」(岩波ブックレット 共著)がある。またネット動画「福島事故の反省はどこへ 〜崖っぷちの関電を救済する名古屋高裁金沢支部〜」(170820大飯原発訴訟控訴審現状報告)https://www.youtube.com/watch?v=fgDDOBK0R4Uも配信中。


つぶせ、安倍独裁体制!

2018年03月13日 | 社会・経済

この期に及んで他人事の安倍首相と官僚に責任押し付けの麻生財相に
国民の怒りが爆発! 官邸前の抗議デモがすごいことに

   リテラ 2018.03.12.

   きょう、財務省が発表した改ざんの内容報告によって、もとの文書には安倍昭恵夫人の名前が記載されていたこと、さらには安倍晋三首相や麻生太郎財務相の名前まで記されていたのに、ことごとく削除されていたことがわかった。

  まさに森友問題は、安倍首相らががっつりかかわった末に約8億円も値引きして国有財産が支持者に払い下げられただけではなく、その事実が露呈しないよう公文書を改ざんするというあるまじき国家的犯罪を犯した、民主主義国家の土台をぶち壊す大事件となった。

  にもかかわらず、きょうの会見で麻生財務相は「問題の最高責任者は理財局長の佐川」と言って罪を被せ、安倍首相にいたっては、こう言い放った。

 「行政全体の信頼を揺るがしかねない事態」

 「なぜこんなことが起きたのか、全容を解明するため、調査を進めていく」

  なぜこんなことが起きたのか、だと? それはあんたの保身からはじまって公文書偽造事件が起きたんじゃないのか━━。

  このような無責任かつ、この期に及んでしらばっくれる総理に対する怒りから、今晩、官邸前には大勢の市民が抗議に殺到。官邸前の歩道は人で溢れかえり、前に進めない人びとの列が長蛇となっている。21時現在、その人数は増える一方だ。

  そして、集まった人々は、怒りに満ちた声で、「ホントのこと言え!」「安倍は辞めろ!」「佐川じゃなくて麻生が辞めろ!」とコールして訴えつづけている。

  まさにコールの通りだろう。官邸前は安保国会の2015年を彷彿とさせるほどの盛り上がりをみせているが、これ以上、安倍首相をのさばらせては、いよいよこの国は独裁を許すことになる。だからこそ、その危機を市民は阻止しようとしているのだ。

  問題はメディアだ。いまも官邸前には市民の抗議の模様を数多くのマスコミが取材しているが、政権の顔色を伺ってか、この問題を改ざんではなく「書き換え問題」と報じつづけている。

  何度でも言うが、この問題は国家的犯罪だ。それを矮小化するようであれば、メディアは死んだも同然である。(編集部)


公文書は「民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」

2018年03月12日 | 社会・経済

財務省、森友文書の報告書に安倍昭恵氏の名前 消された文言はこれだ

財務省による一連の書き換えは「有印公文書変造罪に当たる」と指摘する声も…

  ハフポスト2018年03月12日 吉川慧

   森友学園への国有地売却に関する決裁文書をめぐる疑惑で、財務省が3月12日、文書の書き換えがあったことを認める調査結果を、与野党に報告した。

   その上で、国有地の借地契約や売買契約に関する決裁文書について「書き換え前」と「書き換え後」を比較するかたちで作成された。

   このうち、「特例承認の決裁文書(1)『普通財産の貸付けに係る承認申請について』」(平成27年2月4日)では、近畿財務局と森友学園との打ち合わせについて言及した部分を削除。そこには、安倍昭恵氏の名前があった

 以下に、削除された部分を紹介する。

  H26.4.28

  近畿財務局から森友学園に対し、資料提出を速やかに行うよう要請したところ、森友学園から(1)当初計画していた本年7月の大阪府立審議会への諮問を本年12月に変更したいので、その前提で対応してほしいとの要望とともに、(2)豊中市との開発協議を急ぐ必要があるため、大阪府が小学校新設に係る設置計画書を受理した段階で、近畿財務局から豊中市に「森友学園との本財産の契約を締結することを証する」旨の文書を提出してもらいたいとの要望あり。

  なお、打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が並んで写っている写真を提示。)

 

 さらに報告書では、決裁文書から「安倍晋三総理」や「麻生太郎財務大臣」という名前が記された森友学園の概要を説明する部分が、まるごと削除されていることも明らかになった。

  麻生太郎財務相は12日午後、記者団の取材に対応。書き換えを認めた上で、「誠に遺憾。私も深くお詫びを申し上げる次第だ」と陳謝した。

 書き換えの背景について麻生財務相は、当時の理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官の名前を挙げ、「佐川の(国会での)答弁と決算文書の間に齟齬があった、誤解を招くということで佐川の答弁に合わせて書き換えられたのが事実だと思います」と述べた。

 ■公文書は「民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」

 公文書の扱いについては、公文書管理法で定められている。

  同法では公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」と位置づけている。

その上で、「経緯も含めた意思決定に至る過程」を「合理的に跡付け、又は検証」するために、行政機関に公文書の作成を義務づけている。

 同法に基づく「行政文書管理規則」では、今回の土地取引のような国有財産(不動産)の処分に関する決裁文書の保存期間は「30年」と定められている。

  郷原信郎弁護士は3月8日付のブログで、公文書の書き換えがあった場合には「『有印公文書変造・同行使』という犯罪に当たる」と指摘している。

  有印公文書変造罪(155条第2項)は、公共機関や公務員が押印、署名した文書・図画を変造することを禁じており、違反した場合は1年以上10年以下の懲役となる。

 

 

 

「安倍晋三総理」「麻生太郎大臣」もカット。森友学園文書から日本会議の記述消える

森友学園の概要を説明する部分に書かれていた。

  ハフポスト 2018年03月12日  安藤健二

  学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書をめぐる疑惑で、財務省は3月12日午前、文書に書き換えがあったと認める調査結果を出した。決裁文書では、「安倍晋三総理」や「麻生太郎財務大臣」という名前が登場する、森友学園前理事長の籠池泰典(本名:籠池康博)氏のプロフィールに関する部分が、まるごと削除されていた。

 記述が削除されたのは、2015年4月30日付けの《特例承認の決裁文書(2)「普通財産の貸付けに係る特別処理について」》という文書。

   削除された部分では、森友学園前理事長の籠池泰典(本名:籠池康博)氏のことを、日本会議の大阪版にあたる「日本会議大阪」の代表・運営委員と紹介。

   この日本会議と連携する議員懇談会の副会長に「安倍晋三総理」、特別顧問に「麻生太郎財務大臣」、会長に「平沼赳夫議員」と書かれていた。

該当箇所の全文は次の通り。

 ■該当箇所の全文

 (2)理事長

 籠池康博氏(別添名刺参照)

   同氏は「日本会議大阪(注)代表・運営委員」を始めとする諸団体に関与している。

 (注)日本会議大阪は、全国的な国民運動団体である「日本会議」(美しい日本の再建と誇りある国づくりのために政策提言と国民運動を推進することを目的として設立された任意団体)が平成9年に設立されたのに呼応する形で、大阪に根付いたより広汎な国民運動を推進すべく、平成10年6月に設立された任意団体。

 なお、国会においては、日本会議と連携する組織として、超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長には安倍晋三総理らが就任。

 

 

 

改ざんは佐川局長でなく安倍首相の答弁と整合性をとるために行われた
  
リテラ 2018.3.12より一部抜粋

 

 では、改ざんは誰を守るために、行われたのか。
 実は、2月下旬より前に「改ざん」が必要な答弁をおこなっていたのは、佐川氏ではなく、安倍首相だった。
 安倍首相は2月17日の衆院予算委員会で、追及する野党の質問に逆ギレし、こう言い放った。
「私や妻が関係していたということになれば、これは、まさに私は間違いなく、総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」
 だが、この答弁は大嘘で、公文書にははっきりと、昭恵夫人や安倍首相の名前、いかに総理夫人の存在を近畿財務局が重く受け止めていたかが記載されていた。「答弁に合わせて書き換え」が必要となったのは、まさに安倍首相のこの答弁ではなかったのか。
 安倍首相も麻生財務相も、これからも佐川氏に責任を押し付けて有耶無耶にするつもりなのだろうが、そんな話が通用するはずがない。改ざん前文書によって、森友問題の本質が安倍夫妻にあることは明らかになった。そして、そうした事実を国民に伏せるために、公文書を改ざんするという国家的犯罪まで起こしたのだ。このまま安倍夫妻を逃げ切らせるわけにはいかない。(編集部)

 


7年が・・・・・

2018年03月11日 | 社会・経済

雨宮処凛がゆく!第43回  2018年2月21日

3・11から7年〜遺族が見る「大切な人の夢」〜の巻

 東日本大震災から、あと少しで7年となる。

   ついこの間のことだったような気もするし、だけど気がつけば東京で暮らす私は震災や原発事故のことを忘れている時間が増えていたりして、毎年「3・11」が近づくたびに、何か言い訳のように「あの日から◯年」なんて原稿を書いている気もする。

  だけど、「忘れない」ということ以外に、できることは多くない。

  連載を読み返してみると、昨年の3月には「3・11後の『不思議な体験』について〜『魂でもいいから、そばにいて』」という原稿を書いている。

  タイトル通り、震災後の不思議な体験を集めた本『魂でもいいから、そばにいて――3・11後の霊体験を聞く』について書いたものだ。津波で流されたはずなのに、いつも同じ場所に立っている親友。津波で亡くなった兄の壊れた携帯から届いた「ありがとう」のメール。大切な家族を亡くした人にとっては、「不思議な体験」そのものが、「頑張れよ」というメッセージになっている。ひとつひとつのエピソードに、深い喪失が刻まれている。

  その前年、2016年の2月には「『呼び覚まされる霊性の震災学』から思う『時間』」という原稿を書いている。こちらは、東北学院大学の「震災の記録プロジェクト」(金菱清ゼミナール)の学生たちが、被災地でフィールドワークを重ねて得た「不思議な体験」をまとめた『呼び覚まされる霊性の震災学 3.11 生と死のはざまで』について書いたものだ。

  東日本大震災以降、現地で語られる「タクシーに乗る幽霊」など不思議な話の数々。だけど、「幽霊話」と言うには、ちょっと違う。震災の日まで、自分の近くで生きていた人々だからだ。震災から5年が経とうという時期に刊行された本書は、大災害によってある日突然失われた膨大な命について、生きている人たちがそれぞれの折り合いをつけようとしている記録に思えた。

  さて、そんな東北学院大学の「震災の記録プロジェクト」が、「あの日」から7年という節目を前に、また本を出版した。タイトルは『私の夢まで、会いに来てくれた―― 3.11 亡き人とのそれから』。16年11月から、約一年かけて「震災遺族が抱く夢」をテーマに聞き取り調査を進めてきた、その集大成である。本書には、「遺族が見る亡き人の夢」が27編、収録されている。

  「おばけだぞ〜」。亡くなった妻がおどけた口調で言い、かぷっと夫の鼻を噛む夢。

  津波からの避難が遅れ、4人だけが助かった大川小学校の生徒だった少年は高校生となった今、友達の夢を見るという。高校の教室に、亡くなった小学校の友達が大勢いる夢だ。

  警察官として避難誘導をしていた時に津波にのまれた男性の母は、「冗談だから。俺がいないこんな状況なんて、冗談なんだからね」と夢の中で息子に言われる。

  一方で、震災前から津波の夢を見ていたという人もいる。

  津波で両親と義姉を亡くした女性は、何年かに一度のペースで自分が津波に遭う夢を見ていたという。もがいて助かろうとする時もあれば、もう避けられないと襲ってくる波をじっと見ていることもあった。が、最後は必ず津波に巻き込まれるという夢。

  30代の長男を亡くした女性は、震災の1年ほど前から奇妙な夢を頻繁に見ていたという。黒くて大きなもやもやとした恐ろしいものが自分の上にのしかかってくる夢だ。3・11後にぱったりと見なくなったその夢を、息子に死の危険が迫っている予知夢だったと考えている。

  また、小学2年生の弟を亡くした男性は、震災の2年ほど前から「弟が死ぬ夢」を見ていたという。半年に一度くらいのペースだったが、震災の一年前は3ヶ月に一度くらいの頻度となっていた。弟が死ぬ、とわかっているのにどうにもできない夢を繰り返し見ていたのだ。

  夢ではなく、「大津波が来ればいいのに」という言葉を残していた子どももいた。小学2年生で津波によって亡くなった男の子は、震災2日前、朝食を食べている時にそう口にしたという。「大津波が来たら、おうちもみんな流されちゃうんだよ」と言われると、「流されてもいい。そしたらコト(自身の名前)、学校に行かなくていいもん」と答えたという。一体、何があったのか。どうして学校に行きたくなかったのか。問うてみたくとも、当人は既にこの世にいない。

  本書には、死を覚悟した瞬間の極限状況も描かれている。

  語り手の男性は、家族とともに自宅が津波に襲われ、隣の家が流され始めるのを見る。窓の外には大型トラックが迫ってくる。ぶつかったら、間違いなく自分たちの家も流される。その時、男性の義父はベランダに出て「最後の一服だからつきあえ」とタバコを差し出したのだという。そうして津波の濁流の中、自宅ベランダでタバコを吸う二人。吸い終わると義父はベッドの下からコルク板を引っ張り出し、母につかまるように差し出し、「いや〜、俺の人生、好き勝手やらせてもらったから楽しかった。だけど、お前たちは気の毒だなぁ」などと言い始めたという。不思議とみんな冷静になり、男性も財布から免許証を取り出してジーンズのポケットに入れた。死んだあと、身元がわかるようにするためだ。死を覚悟する瞬間とは、こんなふうに冷静になるものなのだろうか。

  結局、この家族は助かったものの、男性には深い悔いが残る。助けを求める女性の声が聞こえたものの、どうすることもできなかったからだ。そして後日、声が聞こえた場所から女性の遺体が発見される。「助けて」という声が聞こえたのに、助けられなかった。そんな後悔を、本書では少なくない人が語っている。

  登場する中には、津波で亡くなった家族と決していい関係ではなかった人もいる。母親を憎んでいた娘。息子を叱ってばかりいた父親。その父親は息子を亡くした今も、夢の中で言うことを聞かない息子をげんこつで殴ったり、叱ったりしているという。目が覚めると、申し訳ない気持ちでいっぱいになる、と語る。

  一方で、子どもを亡くしながらも、生きていた時のように過ごす人もいる。

 12歳の三男を亡くした母親は、今も食卓に三男の食事を並べ、誕生日にはケーキを買い、プレゼントを選んでいる。が、もうすぐ震災から7年。成長した三男が何を欲しがるのかだんだんわからなくなってきたことが寂しい、と語る。また、幼稚園児だった娘を亡くした母親は、生きていれば中学生となる娘のために制服を作ったという。

  幼稚園児が、中学生になる。そして12歳の少年は、19歳になる。7年という年月を子どもの年で考えると、改めて驚かされる。

  そして私たちの上にも、同じ7年という年月が流れた。

  7年前の3月、私は大切な人をちゃんと大切にしようと思った。いろんなことを、できるだけ言葉にしようと思った。そして原発事故を前にして、絶対に黙らないでいようと決めた。それまでも黙っていない方ではあったけど、おかしいことにはおかしいと、いちいち声をあげようと決めた。

  東日本大震災で、私は親しい人を誰一人、亡くしていない。だけど、これまで多くの大切な人を亡くしてきた。その人たちが出てきた夢を今、思い出そうとしても思い出せない。この本に登場する遺族の中には、夢の記録をつけている人もいる。そうしないと、忘れてしまうからだろう。それくらい、大切な夢。

  夢の話なんて。そう思う人もいるかもしれない。だけど、それに対してある遺族は言う。

  「夢をね、壊さないでほしい。テレビ番組なんかでも、科学者が脳の働きのせいとか解説するけど、最後の司会の人が『科学でも解明できないことがあります』と言ったりするじゃない。私たちは、それを信じてる。理屈じゃないのよ」

  「夢の話なんて家族以外にはしないはずなんです。ましてや取材とか、よほど仲よくなった記者に聞かれでもしない限り、話さないだろうから、表には出ないと思います。でも、夢の話は絶対に誰かのためになる。被災地で声を出せない人に夢の話が届いたら、心の復興を助ける一つにはなると思うんです」

  心の復興。おそらく、今、一番置き去りにされていることだ

  どうしたら、それに少しでも役立つことができるのか。わからないまま「あの日」が近づくたびに、こうしてあの日にかかわる言葉に触れ、書くことしかできない。

 


 

   避難指示解除に伴い、支援が打ち切られている。戻ったにしても、そこで生活できる基盤まで戻るわけではない。さらに、自主避難者に対するもともと少なかった支援もさらに削られている。汚染された水はいまもなお増え続けている。7年、まだまだ現在進行形である。

 


日本のジェンダーギャップ指数はこんなに低い

2018年03月10日 | 社会・経済

なぜ日本のジェンダーギャップ指数はこんなに低いのか。“男女平等”の社会は男性も生きやすい

ハフポスト 2018年03月09日

 

「国際女性デー」特別対談 
  大崎麻子さん×長野智子「ハフポスト日本版」編集主幹

  ダボス会議を主催する「世界経済フォーラム」は、男女格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」を毎年発表している。

 日本は世界144カ国中114位。2016年より順位を落とした

 そもそも、ジェンダーギャップ指数とは?

 なぜこんなに低いの? どうしたら上がるの?
 日本で女性の国会議員が増えないのはなぜ?

   3月8日の「国際女性デー」を機に、元国連職員で、女性のエンパワーメントの専門家の大崎麻子さんと、20年来の友人であるハフポスト日本版編集主幹の長野智子がディスカッションした。

  「ジェンダー問題って、本当は男女の問題なんです」と大崎さんは語る。男女平等の社会は、実は日本の男性も生きやすいのかもしれないーー。

 

ジェンダーギャップ指数って何なの?

 長野:ジェンダーギャップ指数、114位。なぜ、日本はこんなに低いの?

大崎:ジェンダーギャップ指数は、「健康と生存率」、「教育」、「経済活動への参加と機会」、「政治への参加」の4つの領域で、男女間の格差がどれくらいあるかを見ています。

   日本の順位が低いのは、「経済」と「政治」の分野。「経済」では、男女間の賃金格差が大きい。「経済」でも「政治」でも、方針決定に関わるポジションに占める女性割合が著しく低い。

両方、女性の決定権に関する部分ですよ。

   男も女も、みんな労働しています。専業主婦家庭でも同じ。夫は報酬のある有償労働。妻は、家事、育児、介護、看護などの人のお世話、ケアの労働。すごく重要な、家族の生存や幸せのための労働だけど、お金が入らないんですよね。

 男がやるべきとされる労働はお金が入り、女がやるべきとされる労働は無報酬。

   これが男女の不平等の根源的な問題の一つです。しかも、働いても、男女間の賃金格差は大きい。(ジェンダーギャップ指数は)そこら辺の男女間の差を見るんですよね。

   政治は、国の法律、制度、予算分配を通じて「社会のありよう」を決める場。経済は今の資本主義の世界だと、「生きる力 イコール 経済力」なんですよね。

長野:あえて聞くんだけど、私はそんなに働きたくないと思う人もいっぱいいて、夫のお金で生活したい。女性活躍とか自分が働かないことを責められてる気がするっていう人もいると思うんですよ。

 そういう人に対してどう思う? それでも経済力を持つのは大切なの?

 大崎:一生、夫が元気で、稼いで、企業の終身雇用に守られる。DVの問題もなく、お互いを尊重するし合っている。そういう前提なら、妻が家庭内の無償のケア労働を担うという選択はアリでしょう。

   戦後の製造業を産業の基盤とした経済成長の時は、その分業のあり方が効率的でした。若い時は給料が少なくても、終身雇用の給与体系で、ちゃんと報酬も増えていく。
ところが、産業構造も人口動態も大きく変わりました。

 今の若い人たちは、これからはそういう時代じゃないってわかってるから。

 長野:男性の仕事も不安定化してきて、急に職を失うこともある時代になったから、女性が経済力を持って社会参加することが以前にも増して必要になってきたということか。

 大崎:ジェンダーギャップ指数って、その社会が、男女で「権利と機会と責任」を分かち合えるようなシステムなのかどうかを見てるんですよね。
根底にあるのは、どれだけ男性も女性も選択肢を持って生きていける社会かどうか。

   政治の場も男女半々くらいになれば、社会のリアリティを反映した議論や、多くの人たちのニーズをすくい上げた意思決定ができる。社会は男女半々なんだから。

   企業も、男性も女性も同じように方針決定に関わっていれば、男性も女性も働きやすい環境、つまり、男女ともに能力を伸ばし、発揮できる環境を作りやすいだろうと。

   男女が同じように方針決定に関われるような経済や社会が、持続的に成長するという認識が国際的に共有されているから、毎年、このような指数が発表されるわけです。

 出しているのは、世界経済フォーラム。世界中のグローバル企業のCEOや投資家が名を連ねている非営利の組織です。

 日本の順位が上がらない理由

 長野:他の国が(順位が)上がっているのは? エクアドルとか、日本が途上国支援していた国が(日本より)上がっちゃったって言ってましたよね。

 大崎:途上国は、国連や国際NGOなどが入って、国際社会共通の目標である「ジェンダー平等と女性のエンパワーメント」を実現できるような支援をしますからね。

   国連開発計画(UNDP)がアドバイザーとして入って、その国の政府や女性団体と協力して、ジェンダー平等の基本法や女性に対する暴力の防止法を整備したり、ある一定の議席や候補者数を女性に割り当てるクオータ制を導入するのを手伝ったりします。

 だけど日本は先進国だから、お助けがこない。

 長野:そうなると自力で上げていくしかない。自力で意思決定の場に行くしかない。

 大崎:だけど、どこの国もそうなんですけど、途上国も国連の支援が入っているとはいえ、主体は必ず市民社会。その国の一般の女性たちですよ。女性たちが連帯して、声を上げて、女性に不平等な社会の仕組みを変えてもいるんです。

 婚活のプロフィール問題

 長野:スウェーデンの漫画家のオーサ・イエークストロムさんが、朝日新聞のインタビューで「日本は、スウェーデンの50年くらい前の状況」って話をしてね。

   婚活パーティに行ったら、プロフィールに(女性は)「得意料理」を書く欄があって、同じ欄に男性は「年収」を記入するようになっていて驚愕したって。

   スウェーデンでは福祉がしっかりしているから、経済力で男性を選ぶことがまずないと。女性が結婚で男性を選ぶ条件は、家事・育児が得意であるかがポイント、という話をしていたの。

男性はこういう話をすると引き気味になるし、ともすれば「女性が自分より経済力を持つことが頭にくる」という人もいるけど、逆にそういう考え方が男性の生き方を縛り付けているのではと思う。

 大崎:ジェンダー問題って、本当は男女の問題なんです。

   日本では、「男が有償労働で家計を支える、女が家事育児、介護看護を無償でやる」という性別役割分担で来たけど、それがしんどい男性だってたくさんいる。

 長野:彼らにとってもしんどい、呪いという名の古い社会規範よね。

大崎:男性のジェンダー規範も、日本はすごく強いですよね。

   南米はマッチョ礼賛だから力が強くないと、とか。モンゴルも男が就くべき仕事は力仕事。だから、日本では女性が著しく少ない医者とか大学教授とかの職種にすごく女性が多い。女性の国会議員も多いですね。

   日本は特に、男性は、とにかく、稼いで家族を養って、辛いことがあっても「男は黙って黒ラベル」。

長野:男は黙って黒ラベル。みんなわかんないよ(笑)。

 責任の分かち合い、男性の生き方も豊かになる

 大崎:ジェンダー平等社会というのは、機会、権利、あと責任を男女間で分かち合える環境が整った社会。それが国連の定義です。

   ジェンダー平等って権利、機会って見られがちなんだけど、それだけじゃないんです。権利、機会は女性の方が圧倒的に少なかったから、女性の問題に見られるんだけど、実は、これまで男性が担ってきた家計責任を、女性も担うよねっていう側面も。

 お互い、家計責任と家庭責任を分かち合いながら生きていける社会を作りましょう、っていうのがジェンダー平等の議論の大前提としてあるんですね。

 女性にも新しい責任がある。一緒にやるのはどうすればいいか。

   やはり、子どもを安心して預けられる質の高い保育園が必要になるし、男性の長時間労働をなんとかしないといけない。そういう環境整備をするのは政治の仕事です。

   法律、政策、さらに予算分配も必要。そうした意思決定にどれだけ女性が関わっているか。ジェンダーギャップ指数は、そこを見ているんです。

長野:男の人を解放する話でもあるわけだよね。

 大崎:1998年に日本の自殺者数が急激に増加し、3万人を超えました。その大半が40〜50代の男性でした。その前年に山一證券が自主廃業し、バブル崩壊の影響が中小企業を含め、日本中に広がった頃です。

   今は、自殺対策基本法もできて、これが社会問題であるという認識が広がり、総数は減少傾向にありますが、やはり、女性よりも男性が多い。

   男性のジェンダー規範、つまり、「男は稼いで家族を養って一人前」「弱音を吐いたり助けを求めたりするのは男らしくない」という規範が男性を縛っているなと思います。

   今は年齢とともに給料が上がっていくわけではない。でも、家のローンもあるし、子どもたちの教育費もかかる。妻が働いてもローンなんて払えないから、うつ病になったとしてもパワハラに遭っても、会社を辞められない。

 長野:意思決定に女性が半分いることに抵抗を感じる男性も多いと思うけど、むしろ、男性は賛成したほうがいいのではとも思う。なんでも男の責任、って大変だよね。「同等に責任を分かち合いましょう」って、男性が主張してもいいくらい。

 大崎:それは本当にそうなんだけど、そのためには、家計責任と家庭責任を男女で分かち合えるような仕組みや環境がまず必要です。

そういう環境があった上で、実際にどう分担するかはそれぞれのカップルが自分たちで、その時その時の家族の状況で決めればいいんですよ。

 長野:私も「(フジテレビを)辞めるという決断、男だったらできたかな?」というのはすごく考える。

   私がリスクを取れたのも、やはりそのときに結婚が頭にあって、私がしくじっても夫がいてくれるというのはあった。逆に結婚を目前にした男性が、私の立場でフリーになるかなって。その辺の選択は男の人は縛られるよね。

大崎:男子学生に聞くと、「専業主婦になりたいっていう子は、無理ですね〜」っていう子が多いんですよ。

   自分ひとりで家族を一生養うのは難しいと思っているから。自分は子育てにも関わりたいし、やっぱり家庭責任と家計責任を分かち合える人がいいと。

長野:本当にそうだと思う。

   女性活躍という言葉は、ともすれば誤解を招く。上から活躍しなさいと命じられているような気がする。活躍しないといけないの? という疑問も抱く。だけど実は責任の分割っていうことだから、男女がもっと自由になれるということなのね。

   男性も立ち止まって妻に、「こういうこと本当はやりたかったんだ」って言えるし、実現の可能性も増えて生き方も豊かになるよね。

 大崎:日本は男性の「弱音吐いちゃいけない」「経済の大黒柱であらねばならぬ」っていう規範がものすごく強いから、そこをもう少し分かち合っていこうと。

長野:国会でも「働き方改革」が紛糾してるけど、こうした基本概念の共有ができてない気がする。

 どうして女性議員は少ないのか

 長野:なんで女性の国会議員って増えないんだろう?

 大崎:色々ありますけれども、まずは女の人にとっては参入障壁が著しく高い。

  「政治は男の仕事」というカルチャー。24時間オンコールだと、育児との両立は難しい。それでも頑張ると、「子どもはどうした?」と言われる。男性議員はそんなこと言われないのにね。

 選挙に出るための供託金もすごい高いですよね。

   今、衆議院に占める女性の割合は10.1%です。クリティカルマスという理論がありますが、ある場で意思決定するときに、同じ属性を代表する人が3割いないと、全体の意思決定に影響を及ぼすことはできないと言われています。

 3割以上いると、いろんな女性の声が反映されるようになる。

 長野:全く景色が変わってくるんだろうね。

 大崎:だから、最低3割いないといけない。世界中の多くの国がクオータ制(ある一定のパーセンテージを議席や、政党からの候補者数に割り当てる一時的なアクション)を導入し、まず、女性の数を増やしています。

1割程度では、全体の意思決定に女性の意思を反映させられないし、特別な人しかなれないから。

   クオータ制の話をすると、世界中で「能力のない女が入ってくる」っていう話になるんだけど、女性たちは「は? 男はみんな能力あるのか」と言い返してますね(笑)。

長野:たしかに、なぜか女が入ってくると、メディアも含めて、能力、能力ってなる。

 大崎:日本でもクオータ制に関連した動きが加速しています。

   選挙の候補者数を男女で「均等」にするよう各政党に促す「政治分野における男女共同参画推進法案」については2016年に自民党も了承しています。

   2017年に、超党派の議連がこの法案を国会に提出しましたが、9月の解散で廃案となりました。本当に残念でした。今国会では成立するよう、願っています。

そのためには、私たち女性が応援しないといけないし、メディアにも報道してほしい。

 ぜひ、注目していただきたいですね。

     .....

 3月8日は国際女性デー。女性が生きやすい社会は、男性も生きやすいはず。

 


 いろいろな意見があると思います。さまざまな場面で声をあげていくこともまた必要です。ひとつの参考意見としてお読みください。

 この間、づうっと吹雪など天気が悪く、江部乙の方も心配していたのですが、こちらも排気筒が埋まったり、ストーブが点火できなくなったり、軒の雪をよけたり、TVアンテナの件やら、通常の除雪作業のほかに雪にまつわることで手いっぱい。
 

 久しぶりに行ってみるとご覧の通り。玄関は、はるか下。屋根雪も雨が降って水を吸うと、大変な重さになってしまう。昨日は雨の予報だったので、その前に降ろしてきました。今日は天気も良く、また行ってきました。屋根から落ちた雪が軒にかかっているのを除けてきました。
それにしても、今年の雪はすごい。


佐川国税庁長官が辞任、元凶は安倍だ!

2018年03月10日 | 社会・経済

【スクープ】
   加計問題でも「公文書改ざん」疑惑が浮上

   日刊ゲンダイ 2018年3月9日

 「ゼロ回答どころかマイナス回答だ」――。8日の参院予算委は、森友問題をめぐる財務省の決裁文書改ざん疑惑で空転。野党が集中審議への出席を拒否し、テレビ中継が入る中での異例の「空回し」となった。財務省の往生際の悪さには“呆れるを通り越して怒り”しかないが、公文書改ざん疑惑は森友だけじゃなかった。日刊ゲンダイの調べで、愛媛・今治市の加計学園の獣医学部新設をめぐっても公文書改ざん疑惑が浮上したのだ。

 ■今治市が作成した国家戦略特区WG出席の報告書

  改ざん疑惑が見つかったのは、今治市の職員が2015年6月5日に国家戦略特区のワーキンググループ(WG)委員によるヒアリングを受けるため、内閣府へ出張した内容を記した「復命書」。市の職員服務規程(出張)によると、〈出張者が帰庁した場合は、速やかに復命書を提出〉とあり、同8日付で菅良二市長あてに出張内容を報告する「復命書」が作成された。

   16年秋に今治市民が、この「復命書」を情報公開請求し、一部が開示されたのだが、昨年の通常国会で加計問題に注目が集まると、市は一転して「復命書」を含む関係文書を黒塗りして非開示扱いにした。

  本紙は一部開示された当時の「復命書」と、その後、黒塗りで非開示扱いとなった「復命書」を入手。2つの文書を比べたところ、明らかに不自然な点が見つかったのだ。

   まず、一目で分かるのは、副市長や部長、課長などの印鑑が押された「供覧」の部分だ。2つの文書には印鑑の名前こそ同じだが、押されている場所や印影、数は全く違っていた。そして、出席人数も一部開示された方が少なく、肝心の「議事要旨」についても明らかに一部開示の方が黒塗りよりも記載内容が短かったのだ。

  市の公用文に関する規程には〈「復命書」等〉とあり、復命書は紛れもなく公文書だ。どちらも情報公開請求を受けて開示しているから「途中経過」や「決裁前」の文書はあり得ない。なぜ、一部公開と黒塗りで異なる2つの「復命書」が存在するのか。起案した市企画課に質問書を送ったが、「担当者がいない」などとノラリクラリで、締め切り時間までに回答は得られなかった。

 ちなみに加計問題の国会審議を振り返ると、この時のWGのヒアリングには愛媛県や今治市の職員のほかに加計学園の関係者3人も参加していたことが判明しているが、WGの議事要旨には加計学園の記載がなく、野党が「加計ありきを隠したのではないか」と追及する要因にもなった。

 「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の武田宙大氏がこう言う。

  「役所が情報開示した公文書が2種類ある時点でアウトでしょう。おそらく、一部開示の方は意図的に何かを隠したのではないか。そうとしか考えられません。現在、弁護士と有印公文書変造の罪などで市担当者に対する告発状を提出できないかを検討しています」

  安倍案件の公文書改ざんは当たり前――なんて事態になれば、もはや法治国家じゃない。こんな悪辣政権は一刻も早く総辞職に追い込むべきだ。

 

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重大政局前夜の様相 安倍辞任と霞が関総懺悔以外に道なし

日刊ゲンダイ 2018年3月9日より一部抜粋

   森友学園が設立を目指した小学校は、もともと「安倍晋三記念小学校」として開学する予定だった。その名称で寄付金も集めていた。そこで名誉校長を務めていたのが昭恵夫人であり、1年前の国会で安倍が「私や妻が国有地の払い下げに関わっていたら総理大臣を辞める」と逆ギレしたことが、すべての発端だ。

 民主主義とは似て非なる国

  それにしても気の毒なのが、7カ月も拘置所暮らしを強いられている森友学園の籠池前理事長夫妻である。彼らに証拠隠滅の恐れがあるのか。証拠隠滅というのなら、財務省や官邸の方がよほど悪質だ。

  「財務省の決裁文書問題は、首相夫妻と森友学園の関わりを隠すために改ざんや隠蔽が行われてきたということでしょう。官邸の圧力か官僚の忖度かは分かりませんが、他の省庁でも改ざんや隠蔽が問題になっている。首相夫妻を守るために、いつの間にか、霞が関の官僚が犯罪集団になっていたのです。国家を破壊するテロが進み、民主主義国家とは似て非なる日本にされてしまった。政権を守るために国民を欺くなんて、どこの独裁国家ですか。この由々しき状況を正常化するには、安倍首相が辞任し、霞が関も幹部を一掃するくらいの総懺悔をする以外にありません。安倍夫妻の問題である以上、首相が居座っているかぎり、収束しない。自民党内では憲法改正の議論が進んでいますが、もはや安倍首相に憲法改正なんてできるわけがない。法律も守れない政権が憲法に手をつけるなんて、国民感情としては許しがたいと思います。まずは膿を出し切って、腐った政府の大掃除をしないと、何も前に進められません」(本澤二郎氏=前出)


「生徒が植えた木で校舎を建てよう」

2018年03月09日 | 教育・学校
  • 森林文化協会ブログ 「山と木と人の共生」を基本理念とし、自然と人の絆を回復して緑を守り育てることを目標に、広範な活動を展開しています。

 木の学び/机と椅子の更新から考える森林の循環

「日本の木を使っているということで、温かさも感じる」

2018年03月05日

   森林文化協会の発行する月刊『グリーン・パワー』は、森林を軸に自然環境や生活文化の話題を幅広く発信しています。3月号の「NEWS」欄では、ネパールでの植林活動を続けてい学校法人自由学園(東京都東久留米市)の女子部(中等科・高等科)では、古くなった教室の机と椅子を新しくするに当たり、何年もかけて生徒自身が検討を重ねることで実践的に"木"を学ぶ取り組みがなされています。新しい机と椅子の第一陣が使われ始めたのを機に、指導に当たった自由学園非常勤講師の遠藤智史さんから、学びの過程を報告してもらいました。

     ◇

 

自由学園 ●木の伐採・搬出に携わった人たちと自由学園の生徒たちで、仲良く記念撮影

   自由学園では「木の学び」が幼児生活団(幼稚園)から最高学部(大学部)までの一貫教育の中で、随所に取り組まれている。2017年12月に新たに竣工した木造校舎「自由学園みらいかん」は、創立者羽仁吉一の「生徒が植えた木で校舎を建てよう」というスケールの大きな夢が半世紀という時を経て実現した。建物や家具に使用された木材の8割以上に、男子部高等科と最高学部の生徒・学生が、埼玉県飯能市と三重県紀北町の植林地で約70年にわたって育ててきたヒノキを活用している。

   これらの植林地の木材は、初等部の図工教材としても扱い、他にも男子部(中等科・高等科)では教室で6年間使う机と椅子を生徒が入学年に製作しており、その材料としても使用している。最高学部でも、植林地の木材を用いて東久留米市内に公共ベンチを設置したり、ネパールで森づくりを手がけたりしている。2015年からは埼玉県飯能市で新たに針広混交林化による明るい里山づくりを進めている。

生徒たちによる推進係

   こうした中で2011年に、女子部(中等科・高等科)では、教室で使っている木製の机と椅子各300台を全て更新・新調することが決まった。古くは約80年前に揃えていた物も、いくつか現役で使われていた。これまで生徒たちが何度も修繕を繰り返し、傷みが激しい物は数十台ずつ新しく買い替えていっていたようだ。老朽化と機能性の見直しがきっかけとなった今回の新調プロジェクトは、教職員がカタログから選んで揃えてしまうのではなく、生徒たちからプロジェクトを推進する係を出して、女子部の木造校舎に合う机と椅子を考えてみよう、という自由学園ならではの企画となった。

 

自由学園 ●80年使っていた机と椅子(左)と、新調された机と椅子(右)

   私がこの学びの狙いにしていることは、木製品と森林とのつながりを知り、材料の背景までを追って森林の利用と循環の意義を学ぶことである。建物にしても家具にしても、森林資源を利用することは地球環境に何かしらの変化を与え、今回の更新のように、いつか再び同じプロセスを踏んで資源を利用することになる。その際に、森林の循環に我々が積極的に関わっていくためには何ができるのかを生徒たちと考えてきた。

   係の生徒たちは、既に3代にわたって交代して学びを深めている。2012年に当時高等科2年生だった94回生から係が出され、主に椅子について取り上げて80年間の歴史を振り返り、現在に至るまでの経緯を詳細に調査した。また、専門家や木工メーカーにアドバイスをいただきながら、家具の基本的な構造やデザインを学び、係の生徒たちそれぞれが理想とする椅子のプロトタイプを完成させた。2014年から、2代目の97回生の係たちは机の考察を行い、二人用だった机を生徒の身長に合わせて使い分けられるように、一人用としてデザインした。

探し出した国産広葉樹材

   木材は、仕様や耐久性を検討した結果、広葉樹材を用いることに決まっていたが、生徒たちは自由学園が使うべき、選ぶべき材料は、どこのどのような広葉樹なのだろうかという課題に直面した。学びを深めていく中で、日本の森林率と木材自給率のギャップや、広葉樹でできた木製品の多くが外国産の輸入木材か輸入製品であることを知り、可能な限り材料の背景を追うために国産材を探すことになった。

   そこで、国産材で家具を製造している株式会社ウォールデンウッズの吉川和人氏に相談した。吉川氏から、机と椅子各300台全てを同じ樹種で統一することは国産材では難しいが、いくつかの樹種を混ぜて上手く活かせば生産できるとアドバイスを受け、岐阜県郡上市にて広葉樹人工林の造林に取り組む団体「ものづくりで森づくりネットワーク」(以下、もの森)を紹介され、団体が管理している広葉樹林から木材を提供してもらうことになった。

   2017年に、3代目の100回生が係となり、8月には、もの森代表の山口博史氏に森林を案内していただき、今回のプロジェクトのために伐採する場所を見学した。さらに、立ち木の状態で材積を割り出し、歩留まりを考慮した上で各300台のために必要な森林面積を、この森林をモデルにして理解することができた。

   10月には再び岐阜へ向かい、伐採後の状態を目にした生徒は、一言「え!?」と驚いて、ぽっかりと空いた森林の空間に唖然としていた。本当に木を伐ってしまって良かったのだろうか、という疑問が湧いたようだ。もの森で計画と施業を担当されている塩田昌弘氏、澤田良二氏から話を伺ったところ、人工林は木を利用して循環することで成り立つもので目的を持った広葉樹造林の計画が大切である、と教えていただき、生徒たちは納得した様子だった。もの森から提供していただいた広葉樹は、主に机の天板用として使われ、不足分は岐阜県内の広葉樹を用いた。最終的に製品となった樹種は、カンバ、サクラ、ブナ、ナラ、シデ、ミズメ、カエデ、コシアブラ、アズキナシ、ハンノキである。

 

自由学園 ●森林の循環を学ぶため、生徒たちは伐採前(左)と伐採後(右)に森を訪ねた

   係の生徒たちは、これまで6年間のプロジェクトをまとめ、11月に行われた学業報告会という学校行事で発表した。学びの総括では、このプロジェクトが学校の備品の新調にとどまらず、学内全体として意識を持とうとしている国際目標「SDGs」(国連で採択された持続可能な開発目標)の中でも、循環型社会の形成につながる部分があるとして、さらにこの学びを魅力的なものにしていくと締めくくった。

引き出しは授業で製作

   現在、各300台中の100台が納入され、高等科の教室を中心に使われ始めている。また、新しい机では、引き出し用の木箱を生徒たちが授業で製作して使用している。この木箱の木材は、中等科3年生の時に見学している三重県の速水林業のヒノキであり、製作時に日本の森林や林業、そして森林認証制度について学ぶ機会となった。

   生徒の感想にはこのようなコメントもあった。「新学期が明けて、教室に入った時、新しい机と椅子の木の香りに驚いた。一気に教室内が明るくなった気がする。そして、机の中にこの小箱が入ったら、もう教室とは思えないところになりそうだ。日本の木を使っているということで、温かさも感じる」

   今後2年間にわたり、残りの200台が製造される。係の生徒たちは、今年も岐阜の森林に足を踏み入れる計画でいる。また、古い机と椅子はできるだけ廃棄せずに使っていこうと考えており、これからその仕組みを作っていく予定である。

   この学びは、机と椅子が完成して終わりではなく、2021年に創立100周年を迎える自由学園が、その歴史を基に学校生活の一部を何代にもわたって考えていく取り組みである。いつか、またこの机と椅子を見直す日が来た時、生徒たちが植えて育てた広葉樹で新調する日が迎えられることを期待している。

 


大望の雨。グラインダーで削った町道もすっかり舗装が見えたのですが、夕方からはまた雪になってしまいました。湿った、重そうな雪です。


絶えぬ”虐待死”

2018年03月08日 | 社会・経済

目黒5歳虐待死 

児相が「指導措置」解除 転居前の香川で

.  毎日新聞2018年3月5日

  東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)が父親に虐待され死亡した事件で、家族が以前住んでいた香川県の児童相談所「西部子ども相談センター」が1月に児童福祉法に基づく指導措置を解除していたことが、都などへの取材で明らかになった。専門家は「香川の児相が警戒レベルを下げたため、転居先の児相の危機感が薄れた可能性がある」と指摘する。

  都などによると、傷害容疑で逮捕された父親の雄大容疑者(33)の一家は香川県善通寺市で生活していた。同県の児相は2016~17年に虐待の疑いで2度にわたり結愛ちゃんを一時保護した。17年8月には医師が顔や足にあざがあるのを見つけて通報。結愛ちゃんは「パパに蹴られた」と説明したが保護されなかった。

  児相は一家に同法に基づく指導措置を取っていた。保護者は児童福祉司による指導を受けなければならず、従わない場合は子供を施設に一時保護されたり、強制入所させられたりする。しかし、この措置は今年1月4日に解除された。昨年12月に雄大容疑者が単身で東京に転居したため危険性が薄らいだと判断したとみられる。

  結愛ちゃんらは1月に東京へ転居し、雄大容疑者と同居を再開。香川県の児相から連絡を受けた品川児相の職員2人が訪問したが、母親は「会わせたくない」と拒んだという。

  品川児相は「指導措置が解除されるなどしており、立ち入り調査が必要なほど危険だと判断できなかった」と説明。香川県の児相の久利文代所長は「個人情報に関わるので取材には応じない。対応は適切だった」としている。【深津誠、山本佳孝、潟見雄大】

 NPO理事長「考えられない対応」

  虐待防止に取り組む認定NPO「チャイルドファーストジャパン」の山田不二子理事長は1月に香川県の児相が指導措置を解除したことについて「2度も一時保護が取られている家庭であり、通常は考えられない対応」と指摘する。

  元大阪市中央児童相談所長でNPO「児童虐待防止協会」の津崎哲郎理事長は品川児相の対応も問題視する。「虐待の危険度が高い親ほど、子どもを職員に会わせたがらない。緊急性、危険性が高いと判断し、すぐに再訪問すべきだった。危機感に欠けていたと言わざるを得ない」としている。【春増翔太】

 


 

 結愛ちゃんが身体的虐待だけでなく、食事を十分に与えないなどのネグレクト(育児放棄)も受けていたようだ。

  司法解剖の結果、結愛ちゃんの体重は同じ年頃の平均体重(約18キロ)を下回る約12キロ。やせ細ってあばら骨が浮き、十分な栄養が摂取できていない状態だったという。自宅の冷蔵庫の前には棚のようなものが置かれ、子供が簡単に開けられないようになっていたという。

 痣もありやせ細った身体を見て保護しなかったのは、やはり落ち度と言わざるを得ない。

 


社会からの孤立

2018年03月07日 | 社会・経済

母と娘、孤立の末に 札幌のアパートに2遺体 82歳と引きこもりの52歳 「8050問題」支援急務

  道新 03/05

   80代の親と50代の子どもが身を寄せる世帯が社会から孤立してしまう「8050(はちまるごーまる)問題」―。全国で表面化する中、札幌市内のアパートの一室でも1月、2人暮らしの母親(82)と娘(52)とみられる遺体が見つかった。娘は長年引きこもり状態だったという。道警は母親が先に亡くなり、一人になった娘は誰にも気付かれずに衰弱死したとみている。専門家は「支援策を整えなければ同様の孤立死が増え続ける」と訴える。

  高層マンションの建設ラッシュが続く札幌市中央区の住宅街の一角。築40年の2階建てアパートの1階の部屋で2人の遺体は見つかった。道警の司法解剖の結果、2人の死因はいずれも低栄養状態による低体温症。母親は昨年12月中旬に、娘は年末にそれぞれ飢えと寒さで死亡したとみられる。捜査関係者は「2人は都会の片隅で誰にも気付かれずに亡くなった。何とか救う方法はなかったのか」と漏らした。

  道警によると、1月6日午後、検針に来たガス業者が異変に気付き、別室の住民が室内に入り遺体を発見した。ストーブには灯油が入っていたが、エラーと表示され停止していた。冷蔵庫は空で、床には菓子の空き袋や調味料が散乱していた。室内には現金9万円が残されていた。

  親子は週に1回だけ近所の銭湯に通っていた。銭湯の女性店主(78)は昨年12月26日、アパート近くの自動販売機でスポーツドリンクを買う娘の姿を目撃した。「ペットボトルを抱えて何度もしゃがみ込み、ふらふらしていた」

  女性店主の息子が駆け寄った。一言も話さなかったが、アパートの前まで送った。「もう少し手を差し伸べていれば…」。息子は今も悔やんでいる。

  近所の住民によると、母親は夫と死別後の1990年ごろに娘とアパートに入居した。当時、収入は年金だけで生活保護や福祉サービスは受けていなかった。娘は高校卒業後、就職したものの、人間関係に悩んで退職し、引きこもり状態になったという。捜査関係者によると、障害や病気があった可能性があるが、障害者手帳や病院の診察券などは見つかっていない。

  母親と交流のあった女性(84)は「親子は近所づきあいを避け、周囲に悩みを漏らすこともなかった」と証言した。この女性は数年前から生活保護を申請するようアドバイスを続けたが、母親は「他人に頼りたくない」とかたくなに拒否した。

 札幌市は、民生委員による高齢者の安否確認の対象を65歳以上の1人暮らしとしている。2012年、同市白石区で姉と知的障害のある妹が孤立死した問題を受け、知的障害者も見守り対象に加えた。今回亡くなった親子は訪問を受けておらず、市保護自立支援課の担当者は「本人たちの申請で福祉サービスを受けていなければ、孤立世帯を見つけることは難しい」と話す。

  内閣府や厚生労働省によると、全国の15~39歳の引きこもり状態の人は15年時点で推計約54万人。引きこもりの長期化で、親子で困窮する「8050問題」が課題となっており、内閣府は18年度、40~59歳の中高年を対象にした引きこもりの実態調査を初めて行う。札幌市も18年度、調査対象年齢の上限を39歳から64歳に引き上げる方針だ。

  北星学園大の岡田直人教授(社会福祉学)は「高齢や障害など要因別に縦割りで対処する現在の福祉制度では、どれにも該当しない『はざま』にこぼれる人が必ず生まれる」と指摘。「高齢化が急速に進む中、町内会や民生委員、福祉施設などの情報を束ね、どんな困りごとにも積極的に対応する専門員の配置が必要だ」と強調する。

 

 <ことば 8050問題>子どもの引きこもりの長期化により、80代の親と50代の子どもが同居する世帯が孤立や困窮に陥る状態。引きこもりの背景に病気や障害があるケースも多い。2015年4月の生活困窮者自立支援法の施行に合わせ、生活弱者支援の先駆的な取り組みで知られる大阪府豊中市社会福祉協議会の職員が名付けた。70代の親と40代の子どもを指し「7040(ななまるよんまる)問題」と呼ばれることもある。


   生活保護パッシングあるいは行政の「水際作戦」がこのような形として現れた。むごい話だ。

   ************

 毎日新聞 2018年3月6日 西田真季子(生活報道部)

記者の目 

 実情無視の生活保護費引き下げ 「最低所得層が基準」は不当

  政府は生活保護基準を10月から見直す。生活費相当分(生活扶助費)は3年間で最大5%削減される。2013年に続く大規模な削減で、生活費相当分に子育て世帯や母子世帯への加算を加えた受給額で見ても67%の世帯が減額になると推計される。国費分で年160億円の財政削減になるというが、私は、今回の引き下げは生活保護利用者の生活実態を反映していないと感じており、反対したい。

 「葬式出られぬ」「風呂は週1回」

  東京都に住む50代の女性は、体調を崩して離婚し、約10年前から生活保護を利用している。現在も通院中で、仕事に就けない。受け取る生活費相当分は月額約7万7000円。節約のため、寒くてもエアコンは午前中しかつけず、着古した服を着込み、布団に入り寒さをしのぐ。電子レンジがなく、ご飯は1合を炊いて4分の1ずつ分けて冷凍し、1食ごとにおじやで食べる。「切り下げられたら5分の1ずつに分けるしかない。光熱費をこれ以上削ると病気が悪化するかもしれない」。先行きが不安で、死にたいと思う日も少なくない。女性は「生活保護を受給するまでは過労になるほど働き、まさか当事者になるとは思っていなかった。誰でも明日は我が身と思ってほしい」と話す。

  生活保護を受け始めた理由を取材すると▽夫のドメスティックバイオレンス(DV)で離婚後、精神疾患を患い働けない▽リストラで失職し仕事が見つからない▽家族の介護▽出稼ぎで体を壊した▽東日本大震災で被災--などの答えが返ってくる。男女を問わず、いつ誰の身に起きてもおかしくないことばかりだ。

  昨年12月、弁護士らが開設した相談電話には「平日の昼食は100円で済ませる」「親戚が亡くなったのに香典を包めず葬式を欠席」「40度以上でも冷房をつけない」「風呂は週1回」など苦しい実情を訴える声が寄せられた。

 「もっと切り詰められるのでは」と言う人は、自分の身に置き換えてほしい。たとえ1カ月切り詰められても、出口が見えない生活をいつまで続けられるだろうか。長く続ければ体調を崩し、交際費を節約せざるを得ない利用者は社会から孤立してしまうのだ。

   生活保護の利用者約164万世帯の53%は65歳以上の高齢世帯だ(昨年11月時点)。無年金、低年金で、高齢で仕事が限られたりと、生活保護から脱却できる見込みは少ない。引き下げについて「死んでしまえと言われているようだ」との声を多く聞いた。1人暮らしで持病があり、10年前から生活保護を受ける大阪市の60代女性は、自営業の夫のがんが分かって廃業し、在宅で看病したため就業できず貯金もできなかった。「1000円、2000円(の引き下げ)がたまらない」と話す。

 ぎりぎりで働く若者も心身疲弊

  政府は今回、生活保護を受けていない人たちの所得階層を10段階に区切り、一番低い10%の所得層の消費水準と、生活保護世帯の消費水準を比較。保護を受けていない低所得層の方が消費が少ないとして、引き下げを決めた。

 しかし、比較対象になった最低所得層は、最低賃金ぎりぎりで働く若者も多い。最低賃金の時給1500円(フルタイムで働いて年収は280万円程度)への引き上げを求める若者グループ「エキタス」の原田仁希さん(28)は「大半は地獄のような環境で何とか生きている。働き過ぎによる過労やパワハラで心身を壊されている」と話す。

  エキタスは16年から、最低賃金時給1500円が実現したら何をしたいか、インターネットで募っている。「もやしばかりでなく鶏肉も食べたい」「帰省時に夜行バスでなく、新幹線で帰ってみたい」「離婚したい」などの声が寄せられたが、最も多かったのが「病院に行きたい」だった。

  こうした人たちと生活保護利用者を比較する方法に、原田さんは疑問を抱く。「この理屈だと低賃金化が進むほど生活保護費は削られる。生活保護費を下げずに最低賃金を抜本的に上げろと言いたい。引き下げは最低賃金近くで生きている若い労働者の問題でもある」と指摘する。

  前述した都内在住の女性の20代の長女は、高卒後に大学進学を諦めて非正規社員として働いている。1人暮らしで最低賃金に近い給与の仕事を二つ掛け持ちし、風邪をひいても仕事を休めないという。こうした人たちと、生活保護世帯を競わせるような手法に、私は疑問を感じる。

  関東で働く生活保護のケースワーカーに「最後のセーフティーネットの生活保護でしか国が支援できないのは、それほど複雑で難しい問題を抱えているから」と言われたことがある。心身に不調がある人は、割高でも近くのコンビニで買い物をしなければいけない日もある。虐待やDVで家族と住めない人も多い。個々に複雑な事情を抱え、健康な人より生活を切り詰めることが難しいケースが多い。

  生活保護制度の根拠は、憲法25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という条文だ。どんな障害や困難を抱える人も、この条文に合う生活ができる基準引き下げなのか、再考してほしい。

 


戦後史上初めての重大な国家犯罪

2018年03月06日 | 社会・経済

歴史的犯罪“公文書偽造”で安倍政権が“朝日の情報源”ツブシに動き始めた! 安倍首相が元財務次官、内調トップと密談

  リテラ 2018.03.05.

  財務省が森友学園との取引に絡んだ決裁文書を改ざんしていた──朝日新聞が先週金曜日にスクープした疑惑について、財務省は調査結果を6日までに報告するとしていたが、きょうになって麻生太郎財務相は調査の結果ではなく「方針や留意点などの調査の状況」の報告になると発言。「捜査が終わらないと個別な調査がなかなかしにくい」と言い、本サイトの予想どおり、文書の開示を拒否する予防線を張りはじめた。

  そして、こちらも案の定と言うべきか、安倍首相の子飼い議員のあいだからはいつもの「朝日バッシング」が起こっている。

 〈中略〉

 そもそも、この問題はすでに「事実か否か」というようなレベルの話ではない。事実であることは確定的なのだ。

  なぜなら、麻生太郎財務相も財務省の太田充理財局長も、改ざんを否定できず、「捜査に影響を与えるか予見しがたく、答弁は差し控える」としか言えなかったからだ。

  また、きょうの予算委員会でも「(改ざんの有無を)なぜすぐに答えられないのか」という質問に、太田理財局長は「さまざまな方面とも調整している」という、苦しい答弁に終始した。

  財務省内部の文書の有無なんて数時間もあれば調査ができる。文書が一つしかなく、改ざんがなかったら、すぐさま「ない」と否定して鬼の首をとったように「朝日の捏造だ」と喚きたてるだろう。それさえできないということは、改ざんした事実を知っているから何も言えないということを示している。

  現に、朝日がスクープした翌日3日には、毎日新聞が朝刊で首相官邸幹部が「少し言葉を書き換えた程度の話だ。大したことはない」とコメント。これは官邸も文書の改ざんを認めているようなもので、早くも「程度」の問題にすり替えようとしているのだ。

安倍首相が内調トップ・北村滋、当時の財務次官・田中一穂と密談した中身

  そしてもうひとつ、安倍政権と財務省が推し進めているのが、今回の“文書改ざん”の責任をすべて近畿財務局に押し付けて、トカゲの尻尾切りで終わらせてしまう作戦だ。

  きょうの参院予算委員会で、改ざんされた後の文書には近畿財務局管財部次長の決裁印が押されていたことが明らかにされたが、そもそもこの文書は森友問題が厳しく追及されていた昨年2月、国会に提出されたもので、財務省幹部や政権幹部の指示がないというのはありえない。改ざんを指示したのはどう考えても財務省幹部、官邸幹部だ。

  ところが、安倍政権は決裁印が近畿財務局だったことを前面に出して「近畿財務局が勝手にやった」として押し切るつもりなのである。

  ただし、そのためには、決裁印を押した当事者と朝日の情報源の口を封じる必要がある。朝日新聞の情報源は、本格捜査の世論づくりを狙う検察と、トカゲの尻尾切りにされそうになって怒った近畿財務局職員の告発というのが有力視されているが、もし近畿財務局内に情報源がいて「本省や官邸から指示を受けた」という実名証言、もしくは匿名でも指示ルートの具体的証言があれば、それこそ財務省と官邸側は言い逃れできなくなる。

  だから、官邸は週末から、朝日が物証を持っているのか、情報源が検察なのか内部告発なのか、次にどういう動きに出ようとしているのか、情報を掴むのに必死になっている。

  事実、安倍首相は朝日がスクープを飛ばした2日、参院予算委員会が終わるや否や官邸で内閣情報調査室のトップである「官邸のアイヒマン」こと北村滋内閣情報官と面談。その後、いくつかの予定をこなしたあと、有楽町のフランス料理店「アピシウス」に向かうと、再び北村内閣情報官と、日本政策金融公庫の田中一穂総裁らと会食している。この田中総裁は、第一次政権で安倍首相の秘書官を務めていただけでなく、2016年6月まで財務省官僚トップである事務次官を務めていた人物。つまり、森友学園への土地売却が決定した際の事務方の最高責任者だ。

  また、北村内閣情報官といえば、前川喜平・前文部科学事務次官の“出会い系バー通い”調査や、準強姦罪もみ消し疑惑報道では山口敬之氏が泣きついた相手とみられているように、政権批判に対するカウンター情報や政敵のスキャンダルを流してきた安倍首相の片腕。そして、もとの決裁文書の最高責任者も顔を揃える──。この面談の目的が改ざん疑惑への対応であることはあきらかだろう。

 「おそらく、決裁印を押した近畿財務局管財部次長に因果を含め、朝日への告発者を特定して、口をふさぐ作戦を話し合っていたんでしょう」(全国紙政治部記者)

朝日は証拠を小出しにする作戦か…自民党の卑劣な報道圧力

  一方の朝日はいまのところ、物証も新たな証言も出していないが、情報を小出しにする作戦ではないかと言われている。実際、加計学園問題の「総理のご意向」文書を報じたときは、当初、日時や出席者の入っていない文書を報道し、菅義偉官房長官に「怪文書」と反論させてから、文書の全容を突きつけた。今回も同じように、政権側に否定させておいて、決定的な証拠や証言を出すつもりではないかというのだ。

  だが、ここではっきりさせておかなくてはならないのは、朝日がこれ以上の物証を出さなくても、告発者に実名証言をさせられなくても、それは朝日の報道が誤報ということではまったくないし、安倍政権と財務省がシロになることも一切ない、ということだ。

  前述のように、文書の改ざんがあったことは、記事や財務省、麻生財務相の対応を見れば明らかだ。しかし、だからといって、捜査権限をもたないマスコミが、省庁内の内部文書の写しを入手しているとはかぎらない。仮に入手していたとしても、「外には出さない」という条件を付けられている可能性もある。いくら義憤にかられたとしても、官僚が秘匿された公文書を持ち出すという、リスクの高い行為を犯すことはめったにない。

  これは、実名証言も同様だ。実際、大阪高等検察庁公安部長だった三井環氏が検察の裏金問題を告発したときには、テレビ番組の収録日に別件で逮捕されるということも起こっている。義憤のために不正の告発はあっても、そんなリスクを犯してまで、物証を提供し内部告発をしようという人物は、そうそういない。

  もし「物証」や「実名証言」がなければ、権力の不正が報道できないのであれば、メディアは権力の監視なんてまったくできなくなってしまう。

  民主主義国家ではむしろ、権力や企業の不正報道について関係者の匿名証言や間接証拠だけでも十分報道する必要があり、逆に、疑惑をかけられた政府こそ、それが黒なのか白なのか、徹底調査をおこなう責任がある。挙証責任はマスコミではなく、政府にあるというのが常識なのだ。その責任も果たさずに「物証を出せ」と与党の国会議員ががなり立てることは、話のすり替えどころか、報道圧力以外の何物でもない。

公文書改ざんは民主主義の根幹を揺るがす、戦後初めての重大な国家犯罪

  そして、これがもっとも重要なことだが、今回の疑惑は、政府が都合のいいように決済印の押された文書を書き換えていた、公文書の偽造あるいは変造という犯罪であるということだ。しかも、有印公文書偽造あるいは有印公文書変造というのは、いずれも私文書偽造などとは違って、懲役1年以上10年以下の重い罰則がもうけられている重大犯罪なのだ。

  ところが、このような重大かつ深刻な国家犯罪の疑惑が浮上し、政府も事実を否定しないという状況にもあるというのに、マスコミは大きく報道しない。ネット上でも「また森友か」という空気が流れている。

  たしかに、世間は森友問題に飽きているのだろう。だが、正しくは「飽きさせられた」というべきだ。昭恵夫人の関与の発覚、籠池泰典理事長の数々の証言、音声データの発見、憲法に規定された独立機関である会計検査院の指摘……数々の事実が浮かび上がり、国有地売買の不当な取引の実態があかるみになっても、そのたびに安倍首相をはじめ関係者たちは一辺倒の答弁で逃げ、話をすり替え、国会も開かず、昭恵夫人や佐川前理財局長の招致も拒否し、事実を突きつけられても絶対に責任を認めなかった。それを繰り返すことで、安倍首相は社会のなかに「この問題はもう進展しない」「この話題は飽き飽きだ」という空気をつくり出してみせたのだ。

  しかし、今回の公文書改ざん疑惑は、この1年間追及がおこなわれてきた問題とは、もはや次元が違う。もちろん、政治の私物化によって行政が歪められたという問題も根深いが、今回は、そうした不正の証拠を国民に知られないよう事実を書き換えてしまう、民主主義の根幹にかかわるものだからだ。刑事告発を受けるような案件で省庁が公文書を改ざんしていたという事件は過去に類がなく、戦後史上初めての重大な国家犯罪であることは間違いない。

  もちろん、前述したように、政府はなんとか責任逃れをしようと躍起になり、きょうの参院予算委でも暗に近畿財務局に責任を押し付けようとしたが、こんな犯罪的改ざんを近畿財務局だけでおこなうとは到底考えられない。しかも、繰り返すが、この改ざんが財務省、官邸主導でおこなわれた可能性は高いのだ。実際、きょうは野党議員たちが近畿財務局を訪れて説明を求めたが、近畿財務局の職員は「本省の許可がなければ何もできない」と答えたという。その本省とて、“昭恵夫人案件”のこの問題で、官邸の指示もなく勝手に暴走することはあり得ない。

  つまり、政府や官邸の主導でどんな事実も書き換えられるということがまかり通れば、なんでも政府の思うどおりに物事を進めていくことが可能になる。これでは北朝鮮と変わらない独裁国家であり、法の支配が機能しない無法国家と同じだ。

  これから安倍首相は、御用メディアや自分の応援団を動員して、改ざんを「大した話ではない」「近畿財務局の暴走」などと責任転嫁しながら、その一方で朝日新聞に対して「物証を出せ」と叫び、バッシングを加速させることで問題の本質を有耶無耶にしようとするだろう。そして、国民は国民で「いつまで森友をやるんだか」と思うかもしれない。だが、再度言いたい。今回の疑惑は、政治の私物化や官僚の忖度といった問題をはるかに飛び越えた、国を揺るがす重大犯罪事件だ。これを「森友は飽き飽き」と言って看過してお墨付きを与えれば、民主主義国家としての一線を踏み外し、本格的に「権力の不正を不正だと糾弾することのできない国家」「国民が権力の奴隷としていいなりにさせられる国家」になってしまうだろう。(編集部)

 


 啓蟄とは言いながら、こちらは相変わらず雪・雪・雪⛄。
昼からは風も強まり、今も吹雪状態。
先日の雨で、屋根雪が落ち、ボイラーの排気管を覆ってしまったようで、点火せず、風呂に入ることもできなかった。
昨日はせっせと除雪作業をしたのに、また今日の雪だ。

上の赤い部分が屋根です。

こちらは最後のコリンキー
生食用のカボチャです。
皮ごと食べられるので、とても重宝しました。
こんな時期まで持つとは思ってなかったです。
普通は完熟する前に食べるのですが、このように完熟しても長期保存ができました。


新しい春を迎えて

2018年03月05日 | 社会・経済

BLOG 村尾政樹

 「たすけてと言いたいときもある」新しい春を迎えた1500人の声から見えてきたこと

   正直に言います。死んでからでは、遅いのです。

 ハフポスト 2018年03月05日

  3月に入り、春という季節を感じる日も増えてきました。週末に自宅の近くにある高校でも卒業式が行われ、卒業した生徒の嬉しそうに商店街を笑顔で歩く姿が印象的でした。

 期待よりも不安の方が大きくなる春の訪れ

  あすのばでは入学・新生活を迎える子どもたちに3万円~5万円の「入学・新生活応援給付金」を届けています。この給付金は制服や教科書など入学・新生活にかかる費用に使っていただいています。

  このたび給付金を届けた住民税非課税世帯・生活保護世帯・児童養護施設や里親など社会的養護のもとで暮らす子どもたち2,257人への大規模アンケートをはじめて行い、子どもと保護者合わせて1,500人以上から切実な生活状況や声が届きました。

 「入学(中学)では制服や運動着、ワイシャツなど最初に準備しなければいけないものがたくさんあり、10万ちょっとかかりました。」

 「高校受験、入学にかかる支出が多く不安な時期だった。給付金のおかげで入学を心から喜べるようになったと感じた。入学=不安にならず良かった。」

  お届けした給付金に対して「ありがとう」の感想も多いなか、同じくらい多かったのは入学・新生活に対する不安の気持ちでした。かかると思っていなかったお金が想像以上にかかる「ゴーストコスト(見えない費用)」や先行きが見えない状況に、子どもも保護者も漠然とした不安を抱えていました。

 給付金の機能と「入学の前や直後にもらえる」ニーズが高い理由

 これまでにも給付金を届けた子どもや保護者とお会いし、直接お話をうかがうなかで給付金の「5つの機能」が見えてきました。その「5つの機能」とは、①返さなくてもいい(給付型)、②成績不問や就職する人などにももらえる(包摂型)、③入学の前や直後にもらえる(時期適応)、④使い道が限られていない(使途自由)、⑤最低限の手続きで申し込める(手続き簡素)です。

  これらの機能はどれもが重要だと考えられますが、アンケートでは特に「入学の前や直後にもらえる」ことへお役に立てた理由を答える人が多くいました。

 実は、現行の手当で一番お金のかかる3月に児童手当も、ひとり親が利用できる児童扶養手当も支給されていません。児童扶養手当の支払い回数を見直し3月(奇数月)に支給する法案がありますが、早くて2年後の2020年3月から。また、高校などに入学する子ども(15歳)の家庭では児童手当が、高校などを卒業する子ども(18歳)のひとり親家庭では児童扶養手当が年度末にあたる3月で切れてしまいます。

  そして、費用負担を軽減するための就学援助制度も入学後に支給される自治体が少なくないなか、色んな支払いを一時的に立て替える必要があります。最新の文部科学省の調査では入学前支給を実施または実施予定の市町村の割合が小学校で41%、中学校で49%と増えてきましたが、手当の現状も含め「日々の生活は何とか切り詰めてやっていても、急な出費に対応できない」構造的な課題としてさらなる改善が求められます。

 生活がギチギチです。助けてください

 深刻な状況は、入学・新生活という局面に限った話ではありません。発表した中間報告では「貧軸(経済的な状況)」と「困軸(困りごとの状況)」の2軸で分析をしました。

  先ず「貧軸」について、保護者の就業率が74%と高い割合にもかかわらず、勤労月収の中央値は11万7千円でした。児童手当や生活保護など諸手当を含めた総年収の中央値は203万円。86%の世帯は年間300万円未満で暮らし、家庭の貯金についても76%の世帯は50万円未満か「ない」と回答しました。

また、85%はひとり親か両親がいない世帯で、18%の保護者は子どもの頃に同じようにひとり親家庭などで暮らしてきていました。健康状態についても保護者の41%は「良くない」または「どちらかといえば良くない」と回答し、生活保護を利用している保護者はその割合が63%にのぼりました。

 さらに、65%の世帯では子どもが小学校の頃までに経済的に厳しい状況になっており、入学からアンケートを実施したおよそ半年間の間で高校1年生世代の3人に1人(33%)はアルバイト経験が「ある」と回答しました。

自由記述には「たすけてと言いたいときもある」とだけ、大きな文字で書いた子どももいました。

  貧困には「自己責任」という認識も根強くあります。しかし、先ほどの局面的な支援制度の課題に加え、働いても十分な収入を得ることができない、学校の費用や家庭の生活費のために子ども本人もアルバイトをしている状況は、改めて根本的な社会構造の問題として捉えるべきです。特に、ひとり親は「世界で一番働いているのに、世界で一番経済的に厳しい」と言われている不名誉な"金メダル"の状態です。

 子どもにとっての「3つの"R"」~Right,Relationship,Recollections~

「困軸(困りごとの状況)」についても、大きな発見がありました。それは、子どもにとっての「3つの"R"」で、子どもにとっての「あたりまえ(Right)」、「つながり(Relationship)」、「おもいで(Recollections)」の3つを指しています。

  経済的な理由であきらめた経験について、「塾・習い事(保護者・69%)」、「洋服や靴、おしゃれ用品(子ども・52%)」、「スマートフォンや携帯(子ども・30%)」、「海水浴やキャンプなどの経験(保護者・25%)」、「お祝い(保護者・20%)」などの項目で高い割合がありました。なかでも、幼少期から経済的に厳しい状況が続いている世帯や子どもほど、様々な「あきらめ体験」で高い傾向となり、あきらめを積み重ねている「あきらめの連鎖」が浮き彫りになってきました。

 気をつけたいことは「経験をあきらめた=貧困」なのではなく、経済状況が子どもにとっての「あたりまえ」に影響を与え、その「あたりまえ」が奪われることで「つながり」や「おもいで」の形成も奪われるリスクが高いという現実に焦点を当てていることです。保護者と子どもの学校との関係や、子どもが学校や地域を居場所と思うかについても、幼少期からの困窮に影響がありました。

 子どもたちや保護者から本当に色んな声が届きました。最後にひとつ紹介します。

 「大人の階段をのぼることがこんなにも複雑な気持ちになるなんて、小さい頃には分かりませんでした。親がいて、家に帰ったらみんなでご飯を食べて、一緒にテレビをみて、でも、年齢があがるとだんだん忙しくなって家に帰る時間が遅くなって今まで一緒にいた時間があたりまえじゃなくなりました。」

 さらに、この子どもは「でも、それが私にとってとても良かったです」、「誰かの支えが自分にとって人生を良くしてくれます」と続けて書いています。

子どもたちは、あきらめを積み重ねながらも「大人の階段」をのぼっていきます。そこには、生き抜こうとする「強さ」をも感じ取ることができます。

  しかし、子どもにとっての「3つの"R"」が十分に保障されないまま大人の階段をのぼることは人生の糧となる大切な「子ども期」をその人から奪い、その先で待ち構えているのは先ほど述べた行き過ぎた自己責任の社会なのかもしれません。

 「背もたれのない社会」から「自分だけで抱え込まなくていい」明日へ

  自己責任論は、自分たちも同じ自己責任の条件で生活している「自分事」だから根強い側面もあります。ただ、この状況を社会課題として改善する理解や「勇断」がない限り、私たちは自分たちの手で自分たちのことを、どこにも頼れない「背もたれのない社会」へと追い込んでいくことになります。

  すべてを社会の責任だと言うつもりはありません。最後は子ども自身が自分で自分の人生を切り開き、保護者には子どもを育てる責任もあります。しかし、そのための十分な環境を社会全体で整備することは必要不可欠です。

 私は小学校6年生の春に母親を自殺で亡くし、自責の念を抱きながら子ども時代を送ってきました。しかし、自殺対策基本法で「自殺は社会課題」と明記され、少し肩の荷が下りた気持ちになれました。

  6月に成立5年を迎える「子どもの貧困対策法」も、アンケートに協力してくれた子どもたちはもちろん、すべての子どもやお母さん・お父さんにとって「自分だけで抱え込まなくていい」と希望に感じる法律であってほしいと願い続けています。

 実は、私の母親も子どもの頃にひとり親家庭で育ち、貧困の連鎖を断ち切ろうとするなかで自殺へと追い詰められました。正直に言います。死んでからでは、遅いのです。

  平成の時代も終盤にさしかかり、2018年の春は新しい時代へ移り変わるための重要なスタートライン。今から未来は始まっています。私は今を生きる子どもたち、お母さん・お父さん、そして、みなさんの「今」に笑顔があってこそ素敵な未来が広がっていくと信じています。


 

 春は卒業、進学、就職など人生の大きな節目に当たるものです。この時期、希望をなくし、自ら命を絶つ若者がいます。

 厚生労働省の「自殺対策強化月間」(毎年3月)がスタートした。1990年代末から日本の自殺者は年間3万人を超える状況が続き、2006年には自殺対策基本法が制定された。基本法に基づいて、さまざまな対策がとられ、自殺者は減少してきているが、それでもその数は年間2万人にのぼる。特に若い世代では減少率が低く、20歳代、30歳代の死因の第1位は「自殺」となっている。若者のいのちを守るために何ができるのか。