里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

たねの話6

2012年01月25日 | 野菜・花・植物

 1が病気に強いといっても、親に選ばれた固定種が持っていた耐病性以上に強くなるわけでなく、元の固定種は、自家採種が繰り返されたことにより、地域で変異を重ねた病害菌にも抵抗性を獲得していたのです。つまり固定種は、気候風土に合わせ、どんな病気にも対応できる可能性を秘めています。地域外から固定種のタネを取り寄せ、栽培開始した初年度はあまりうまく育たないものが多くても、栽培した中でいちばん良くできた野菜から自家採種して、そのタネを翌年まくと、どんどんその土地に適応して、無農薬でも、時には無肥料でも、病気にかからず大きく育つ野菜に変化していきます。固定種のタネは、選抜と自家採種によって、土地に合ったタネを産み、土地がそれをまた新たに育んでくれるのです。

 

雄性不稔

「細胞質雄性不稔とは何か?」と言うと、雄性不稔とは男性に原因がある不妊のこと。人間の場合、生殖機能が不完全な男性は、1万人に1人ぐらいの割でいるそうですが、植物でも稀に見つかります。

 雌しべは普通に機能するけれど、雄しべに健全な花粉ができないので、自分の花粉では受精できない不妊症の個体を、雄性不稔株と言うのです。健全な雄しべを持つ父親役の品種を近くに植えておけばその花粉でのみ受粉し、労せずして一代雑種の種が採種できる。と、いうわけです。ただ、この雄性不稔の母親株は、自分の子孫を殖やす力がありませんから、そのままでは一回限りで母親としての役割を終えてしまいます。毎年雄性不稔株を探していたら、維持しなければならない個体数も、見つけだす労力も膨大なものになりますし、なにより年々違う母親株になっては形質も安定しません。(つづく)

Photo2006.10.3『読売』